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人事政策におけるエンプロイヤー・ブランディングの重要性と映像制作が果たせる役割

更新日:10月11日

私は長年、企業向けのPRビデオを企画制作するプロデューサーディレクターとして活動してきました。その長い経験で、一貫して感じてきたことがあります。それは、「良い会社は、良い会社に見える」という厳然たる事実です。ビジネスモデルや収益モデルがうまく機能し、社員満足度が高い企業は、そのままで魅力的に映ります。一方で、そうでない会社をどんなに巧みに描こうとしても、期待するほど良い会社には見えないのです。


そしてもう一つ、それはこれまで自社の映像コンテンツを持たなかった素晴らしい企業が、会社PRや採用動画を制作した際に、その映像を見た既存社員の皆様が心から感動し、自社を心から誇りに思う姿を何度も見てきたことです。


これらの経験から、私は人事政策の一環として「エンプロイヤー・ブランディング」つまり、雇用主としてのブランディングが、既存社員のロイヤリティ向上と新人採用の効果、双方において極めて重要な役割を果たすと確信しています。


良好な関係の職場仲間のグループショット


1. 既存社員のロイヤリティ向上


企業内部におけるエンプロイヤー・ブランディングの強化は、既存社員の会社に対する誇り、満足度、そして帰属意識を醸成し、結果としてロイヤリティの向上に直結します。


企業文化と価値観の浸透による一体感の醸成


良い会社が映像を通じて自社の姿を表現することは、社員が日頃漠然と感じている「良い部分」を明確なメッセージとして認識する機会となります。企業が掲げるビジョン、ミッション、そして従業員を大切にする価値観が映像やその他のチャネルを通じて具体的に示されることで、社員は「自分たちの会社は素晴らしい」という確信を深めます。これにより、社員は単なる労働力としてではなく、企業の一員であるという強い一体感を抱くようになります。



自己肯定感とモチベーションの向上


特に、これまで自社の映像制作の機会がなかった優良企業がPRビデオを作成した際に社員が感激する現象は、まさにエンプロイヤー・ブランディングの核心を突いています。社員は、外部に向けて発信される自社の魅力的でプロフェッショナルな姿を見ることで、「このような素晴らしい会社で働いている」という自己肯定感を高めます。この肯定感は、日々の業務におけるモチベーションの向上に繋がり、生産性の向上や離職率の低下といった具体的なメリットをもたらします。



インナーコミュニケーションの活性化と組織力の強化


エンプロイヤー・ブランディングは、社員間の共通認識を醸成し、社内コミュニケーションを活性化させる効果も持ちます。企業が自社の強みや魅力を明確に打ち出すことで、社員はそれらを共有し、互いに語り合うきっかけを得ます。これは、部署間の連携強化や新しいアイデアの創出に繋がり、結果として組織全体の結束力とパフォーマンスを高めます。ロイヤリティの高い社員は、自社の「アンバサダー」として、外部に対して企業の魅力を自然に発信する存在にもなります。


2. 映像制作プロセスの体験が企業風土を耕す


私が長年携わってきた映像制作は、完成した作品が持つメッセージ性だけでなく、その制作プロセス自体が、企業内部に多大な良い影響を与えることを実感しています。エンプロイヤー・ブランディングの観点から見ると、この「体験」が企業風土を豊かに耕す、非常に重要な要素となり得るのです。



社員間の連携


映像を制作する過程では、企業内の様々な部署や立場の社員が連携し、協力し合う機会が生まれます。会社の歴史、製品やサービスの強み、働く人々の想いといった「企業の宝物」を改めて掘り起こし、それをどのように表現するかを議論する中で、社員同士のコミュニケーションが活発化し、互いの業務や役割への理解が深まります。



誰もが主役


また、撮影に協力する社員は、普段とは異なる「主役」としての体験を通じて、自信や達成感を味わうことができます。カメラの前で自社の魅力を語ることは、自社の存在意義や自身の仕事の価値を再認識する貴重な機会となります。これは、社員一人ひとりのエンゲージメントを高め、自社への愛着を育むことに直結します。



成功体験の共有


さらに、完成した映像を皆で鑑賞し、成功を分かち合う体験は、一体感を醸成し、組織の絆を一層強固にします。映像制作のプロセス全体が、企業が目指す姿や大切にしたい価値観を社員間で共有し、浸透させる「場」となり、結果として、より良い企業風土を形成していく土壌となるのです。これは、エンプロイヤー・ブランディングが単なる「見せ方」に留まらない、深い意味での企業変革のトリガーとなり得ることを示しています。




3. 新人採用の効果向上


採用市場がますます厳しくなる中で、エンプロイヤー・ブランディングは優秀な人材を引きつけ、採用競争力を高める上で不可欠な要素です。


魅力的な企業イメージの確立と採用競争力の強化


「良い会社は良い会社に見える」というご指摘の通り、企業の真の姿が外部に伝わることは、採用活動において絶大な効果を発揮します。エンプロイヤー・ブランディングを通じて、企業は自身のユニークな文化、働きがい、成長機会、そして社員へのコミットメントを明確にアピールできます。これにより、求職者は企業に対してポジティブな第一印象を抱き、多くの競合の中からその企業を選ぶ動機付けとなります。特に、動画コンテンツは企業の雰囲気を直感的に伝え、求職者の感情に訴えかける強力なツールとなります。



ミスマッチの低減とオンボーディングの効率化


企業のリアルな姿を事前に伝えることは、入社後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。エンプロイヤー・ブランディングによって、求職者は入社前に企業の働き方、社員の雰囲気、企業文化などを具体的に理解することができます。これにより、「思っていたのと違った」という早期離職のリスクを低減し、採用後のオンボーディングプロセス(組織の一員としてスムーズに受け入れ、早期に活躍してもらうための、体系的かつ継続的な一連の取り組み)もスムーズに進めることが可能になります。企業にとっても、採用コストの削減と定着率の向上に繋がります。



採用ブランディングの強化と優秀な人材の獲得


今日の求職者は、給与や福利厚生だけでなく、「企業文化」「社会貢献」「キャリア成長」といった多様な要素を重視しています。エンプロイヤー・ブランディングは、これらの求職者のニーズに応える形で、企業の独自の価値提案(EVP:Employee Value Proposition)を効果的に伝達します。例えば、社員の生き生きとした姿や、やりがいのある仕事内容を映像で示すことは、潜在的な候補者に対して強い訴求力を持つでしょう。結果として、企業の魅力に共感する優秀な人材からの応募を増やし、質の高い採用を実現します。




まとめ


人事政策におけるエンプロイヤー・ブランディングは、単に採用活動を支援するだけでなく、企業の持続的な成長と発展を支える基盤となります。既存社員のロイヤリティを向上させることで、生産性の向上、離職率の低下、そして組織全体の活性化を促します。同時に、魅力的な企業イメージを外部に発信することで、優秀な人材を引きつけ、採用競争力を高めます。

エンプロイヤー・ブランディングの重要性を社内外に提唱してください。株式会社SynAppsが映像コンテンツの制作を通じて、雇用者としての御社のブランド創造をお手伝いをします。企業がその真価を社員、そして未来の社員に伝える上で、エンプロイヤー・ブランディングは不可欠な投資です。


【弊社プロデューサー制作事例】

日本代表する企業グループのIT企業として川上に位置する企業ならではの、人材スクリーニングを企図したインタビューを多数掲載しています。インタビューの背景には、意図的にオフィスの様子を散りばめています。


旋盤工という仕事の職人性とリアルを、DSLRによってシネマティックに描くことで、的確な人材の獲得と企業ブランディングを図っています。


東海地方を代表するゼネコンとして、確固たる基盤を築いていることを映像で印象づけながら、職場のリアルと働きがい、社員としての「居場所がある」ことを表現してます。


四日市海運グループ(非公開)

採用担当者から「港湾荷役という3Kと言われる職場であっても、働きがいがある「かっこいい」職場であることを高校生たちに見せたい」と依頼を受け、15分を超える長編で描きました。DVDに動画ファイルを入れ、県内の高校に配布して希望者に見てもらっています。

職場のリアルをかっこよく描くことで、志望動機の獲得と、人材スクリーニングを両立しました。


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【この記事について】

本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、さまざまな業界の知見を収集・分析しながら、企業や団体が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、その産業分野ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。


【執筆者プロフィール】

株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。

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