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採用動画制作の現状と2026年に向けたトレンド【2025.10.名古屋】


採用市場の構造変化と、映像が担う「ブランド戦略」


少子高齢化の加速と価値観の多様化により、企業の採用活動は年々難易度を増しています。もはや「採用=人を集めること」ではなく、「自社と合う人材に出会うこと」へと目的が変わりました。採用動画はいま、企業ブランドの象徴的メディアとして再評価されています。

名古屋を拠点に多数の採用映像を手がけてきた株式会社SynAppsでは、現場の企業と向き合う中で、採用映像が担うべき役割が「エンプロイヤーブランディング(雇用主としてのブランド形成)」そのものに変化していると感じています。採用を“戦術”ではなく“文化の表現”として位置づける視点が、2026年の主流になるでしょう。



1. 採用難の定常化:人材獲得は「企業価値の可視化競争」に


有効求人倍率は高止まりし、特に中小企業では人材確保が経営リスクと直結しています。求人票や条件提示だけでは応募が集まらない時代、企業の「存在意義」や「社会への貢献度」、そして「働くリアル」をどう伝えるかが採用の成否を分けます。

求職者が企業を選ぶ基準は「待遇」から「共感」へと移り、“この会社の一員でありたい”と思える理由づけが重要になっています。採用動画はその共感の媒介であり、ブランドの人格を見せる手段でもあります。



2. 採用動画の役割変化:「情報」から「体験」へ、そして「共感」へ


2000年代の採用映像は、事業内容や沿革を紹介する「動くパンフレット」でした。しかし2020年代に入り、採用動画は、社員の表情、会話のトーン、職場の空気といった非言語的情報を伝えるメディアへと進化しています。

時代

主な目的

内容・特徴

旧来(~2000年代)

会社情報の紹介

事業概要・沿革・施設紹介。ナレーション中心。

現代(2010~2020年代)

共感形成・ミスマッチ防止

社員の姿・職場の雰囲気・経営者の理念。感情訴求重視。

次世代(2026年以降)

パーパス共感・自律的選考

社会的意義・価値観への共感。候補者の“自己選抜”を促す。


Z世代以降の求職者は、「何をしている会社か」よりも、「なぜその事業をしているのか」「どんな人が関わっているのか」を重視します。つまり2026年以降の採用動画には、企業の理念(パーパス)と感情的な共感を両立させる構成力が求められます。その表現力こそが、長期的なブランド価値を支える基盤となるのです。



3. 採用動画の核心:事業の社会的意義を語る


採用動画で本当に伝えるべきは、社員の働く姿やオフィスの雰囲気ではなく、「自社が社会にどのような意味を持つのか」です。企業のパーパスを映像として可視化することが、採用活動を超えてブランドメッセージそのものになります。


Why:なぜこの事業が存在するのか 

社会的課題との関係を物語として描き、企業の存在理由を共有する。


What:どんな価値を生み出しているのか 

製品やサービスの意義を、インフォグラフィックなどを用いて視覚的に理解させる。


How:どんな人がどう実現しているのか 

日常の働き方や文化を通じて、「人」を中心に据えたストーリーを構築する。


この三層構造が明確な採用動画は、単なる広報物ではなく、企業の世界観を体験させるブランド・ドキュメンタリーになります。



4. 制作過程そのものが「ブランドの再定義」になる


採用動画の制作過程は、外部制作者との対話を通じて、企業自身が「自分たちは何者か」を再定義するプロセスでもあります。この段階で企業は、自社の価値観や理念を再整理し、内部に向けてブランドを共有することになります。

映像制作を通じて社員が自社の意義を語り直すことは、エンゲージメント(仕事への誇り)を高めるだけでなく、ブランドの一貫性を社内に根づかせる効果を持ちます。採用動画は、社外への発信であると同時に、社内への“鏡”でもあるのです。



5. 人気企業の戦略転換:惹きつけから「見極め」へ


応募者が多い企業ほど、採用動画の目的は「集客」から「選別」へと移行しています。「誰にでも好かれる映像」ではなく、「自社の価値観に共鳴する人だけに届く映像」を作る。それが、ブランドの信頼性を高める最も効果的な方法です。


Attraction(惹きつけ)

広く魅力を伝え、母集団を形成する。


Screening(見極め)

カルチャー適合を明示し、入社後のミスマッチを防ぐ。


この「惹きつけ」と「見極め」のバランスを設計することが、エンプロイヤーブランディングの実践そのものです。映像はその思想を最も直感的に伝えるメディアとして機能します。



6. オンラインとリアルの使い分け戦略:


惹きつけと見極めを分担させる“ブランド体験設計”


採用動画を単発の広報施策として終わらせず、オンラインとリアルの双方で一貫したブランド体験を設計することが不可欠です。



オンラインの役割:惹きつけ ― 共感を広げる「第一接点」

オンライン動画は、まだ企業を知らない層に「最初の印象」を形成させるツールです。目的は、応募意欲を喚起し、ブランドの入口をつくること。


主な活用例:

  • 採用LP・トップページのティザー動画

  • SNSショート動画(TikTok・Reelsなど)によるブランドの親近化

  • YouTubeや採用プラットフォームでのシリーズ展開

ここでは、明るさ・誠実さ・未来志向といったブランドトーンの統一が重要です。



リアルの役割:見極め ― 共感を深め、信頼を定着させる

一方でリアルの場では、応募者が企業を「選ぶ」段階に入っています。映像は、企業の内側を丁寧に見せ、価値観を共有する手段となります。


活用局面:

  • 合同企業説明会・大学セミナーのオープニング映像

  • 面接待合室・内定者研修での理念映像

  • 社内見学会やOB訪問イベントでのストーリー映像

オンラインは「惹きつけ」、リアルは「見極め」。この二段構えの戦略は、採用動画を“ブランド体験の設計装置”へと昇華させます。



7. まとめ:採用動画は、企業ブランドの最前線へ


採用動画とは、人を集めるための広告ではなく、企業の存在意義を可視化し、共感を生み、働く未来を想像させるためのブランド・メディアです。


2026年以降の採用競争は、クオリティや話題性ではなく、「どれだけ本質を語れているか」「どれだけ真実が伝わるか」というブランドの誠実さの競争に変わります。

エンプロイヤーブランディングとは、短期的な採用戦術ではなく、企業の価値観を全社で共有し、長期的に育てていく文化活動です。


名古屋で企業映像を数多く手がける株式会社SynAppsは、そうした“本質型採用動画”を通じて、企業と人を結び、ブランドとしての採用活動を支援しています。


📍 採用動画制作事例(名古屋)|株式会社SynAppsご相談・お問い合わせはこちらから。


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【執筆者プロフィール】

株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。(2025年10月現在)

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