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課題を明確にすることから始まる採用動画の多様な利用法 | 名古屋の映像制作会社の提案

更新日:5 日前

はじめに


現代の採用活動において、映像コンテンツは欠かせない要素となっています。特に「採用動画」は、企業の魅力や働く環境を視覚的に伝える効果的な手段として注目されています。しかし、単に動画を制作すれば効果が期待できるというものではありません。

❶どこで

❷誰に

❸どのような目的で見せるコンテンツ

であるかによって、そのつくりかたや効果は大きく変わります。


採用勝ち組企業が採用する「エンプロイヤーブランディング」

一例として、近年、企業の採用活動においては、単なる求人情報の提供に留まらず、「エンプロイヤーブランディング」という考え方が重要視されています。これは、企業を「働く場」として魅力的に見せるためのブランド戦略であり、いわゆる採用勝ち組企業が実践する先進的な取り組みです。しかし、エンプロイヤーブランディングは、通常の年次計画に沿って進められる採用活動とは異なる性質を持ちます。これはあくまでも企業のブランド力を高めるための活動であるため、経営企画部や広報宣伝部といった部署と密接に連携し、長期的な視点と異なるフェーズで戦略的に実施されるべきものです。採用活動の個別の施策と連動させつつも、企業全体のブランディングの一環として、一貫性のあるメッセージを発信することが成功の鍵となります。


しかし現実の採用環境は業界、地域、職種によって、さらには企業規模や知名度によって大きく差がついてます。この多様な状況に対して、採用動画の作り方も多様な選択肢があります。本解説では、採用動画の多様なテーマと目的、そして戦略的な企画の重要性について詳しく説明します。


目次

2.1 企業の採用サイト・コーポレートサイト

2.2 求人サイト・転職サイト

2.3 ソーシャルメディア(YouTube、LinkedIn、Twitter等)

2.4 合同説明会・イベント会場での短時間視聴動画

2.5 学校での企業説明会(短時間視聴)

2.6 企業説明会・オリエンテーション等のオフライン長時間視聴動画

4.1 企業紹介・ブランディング系動画

4.2 職場環境・社風紹介動画

4.3 社員インタビュー・体験談動画

4.4 業務内容・仕事紹介動画

4.5 研修・教育制度紹介動画

4.6 新卒採用向け動画

4.7 中途採用向け動画

4.8 特定職種・専門職向け動画

5.1 定量的な効果測定

5.2 定性的な効果測定

5.3 継続的な改善

執筆者

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会社説明ビデオを視聴するリクルーターたち


1 名古屋の採用事情と動画戦略の必要性


人気企業や豊富な予算が集まる首都圏の採用市場と比較すると、名古屋の企業は独自の採用課題に直面しています。企業としてのブランド認知度や採用にかけられる予算の制約など、限られたリソースの中で優秀な人材を惹きつける工夫が求められます。このような環境下でこそ、採用動画の戦略的な活用が競合他社との差別化を図る鍵となります。単に情報を羅列するのではなく、企業の魅力や働くリアルを「映像」という形で効果的に伝えることで、求職者の心に響くアプローチが可能になります。特に、企業規模や知名度で劣る場合でも、動画を通じて社風や社員の魅力を具体的に見せることで、「ここで働きたい」という応募意欲を喚起することができます。



2 配信プラットフォームと目的の関係性


「誰に、何を、どう見せる?動画活用の3つの視点」


採用動画を企画する際の最も重要な認識は、WEB上の動画とテレビCMの根本的な違い、さらに会社説明会などの機会に視聴する動画コンテンツは視聴動機の種類、深さが全く異なることを理解することです。


テレビCM: 不特定多数の視聴者に企業名を認知させることを主目的とし、受動的な視聴者に対して短時間で印象を残すことが求められます。


WEB動画: 視聴者が能動的にクリックして視聴するメディアであり、クリックした時点で、視聴者はすでに企業や求人情報に対して何らかの興味を抱いています。


オフライン視聴動画: 会社説明会や選考プロセスなどで視聴される動画は、さらに深いコミットメントを示す視聴者を対象とし、最終的な意思決定に必要な詳細情報の提供が求められます。


この3段階の視聴動機の違いを理解せずに「まず社名を知ってもらう」というテレビCM的な発想でWEB動画やオフライン動画を制作することは、極めて非効率的です。それぞれの段階で、視聴者の関心レベルに応じた、より踏み込んだ具体的な情報を提供すべきなのです。



2.1 企業の採用サイト・コーポレートサイト


「知りたい!に応える、企業サイトの詳細解説動画」


企業の公式サイトを訪れる求職者は、すでに企業名を検索したり、求人情報から誘導されたりして、明確な興味を持っています。このプラットフォームでの動画は「社名認知」ではなく、「応募意欲の向上」と「入社後のミスマッチ防止」が主目的となります。

視聴者のクリック動機は「この会社で実際に働くとはどういうことか」「自分に合う職場なのか」といった具体的な疑問です。したがって、表面的な企業紹介ではなく、実際の業務内容、職場の雰囲気、社員の本音、キャリアパスなど、求職者の意思決定に必要な詳細情報を提供すべきです。比較的長時間の動画でも最後まで視聴される可能性が高いため、深い情報提供が可能です。



2.2 求人サイト・転職サイト


「選ばれる理由を、求人サイトで一発提示!」


求人サイトを利用する求職者は、能動的に転職活動を行っており、複数の企業を比較検討しています。彼らのクリック動機は「他社との差別化要因は何か」「なぜこの会社を選ぶべきなのか」といった比較判断のための情報収集です。

ここでの動画は、単なる企業紹介ではなく、他社にはない独自の価値提案を明確に伝える必要があります。具体的な待遇、成長機会、働き方の特徴など、求職者の転職理由に直結する情報を簡潔かつ印象的に提示し、より詳細な情報を求めて企業サイトへ誘導することが目的です。



2.3 ソーシャルメディア(YouTube、LinkedIn、Twitter等)


「共感と専門性を届ける、SNS動画戦略」


ソーシャルメディアでは、他のプラットフォームとは異なる視聴動機があります。LinkedIn では業界情報や転職関連コンテンツを求める視聴者が多く、YouTube では企業研究や業界理解を深めたい視聴者が中心となります。

しかし、ここでも「社名認知」を目的とするのは効率的ではありません。すでに企業名や業界に関心を持っている視聴者に対し、より深い理解を促すコンテンツが求められます。業界の動向と自社の立ち位置、働く社員のリアルな声、技術力や専門性の紹介など、視聴者の専門的な関心に応える内容が効果的です。



2.4 合同説明会・イベント会場での短時間視聴動画


「ブースで惹きつける!イベント用動画のインパクト」


合同説明会に参加する学生や求職者は、すでに就職活動や転職活動を積極的に行っています。会場で企業ブースを訪れた時点で、少なくともその企業に興味を持っているか、業界について知りたいと考えています。

このような状況では、企業名の認知よりも「この企業で働く具体的なイメージ」を提供することが重要です。短時間で印象に残る内容として、実際の業務シーンや社員の生の声、入社後の成長ストーリーなどを映像で伝えることで、他社との差別化を図ります。ただし、ここでの動画は次の段階(企業説明会への参加や詳細な企業研究)への導入としての役割が強く、完結した情報提供よりも関心の醸成が主目的となります。



2.5 学校での企業説明会(短時間視聴)


「先輩の活躍を、身近に感じる学校説明会動画」


特定の学校や学部での説明会に参加する学生は、その企業や業界に対して具体的な関心を持っています。彼らのニーズは「自分の専門性や学びがどう活かされるのか」「同じ学校の先輩はどのように成長しているのか」といった、より個人的で具体的な情報です。

このような場面では、その学校出身の社員の活躍事例、学部で学んだ知識の実務での活用方法、研究内容と業務の関連性など、学生の背景に直接関連する情報を提供することが効果的です。一般的な企業紹介ではなく、「あなたたちのような学生が、なぜこの会社で成長できるのか」という具体的なメッセージが求められます。



2.6 企業説明会・オリエンテーション等のオフライン長時間視聴動画


「入社を決める、リアルと本音を伝える動画」


WEB動画よりもさらに踏み込んだ段階にあるのが、企業説明会や入社前オリエンテーション、選考プロセスで使用される動画コンテンツです。ここでの視聴者は、WEB上の「クリック」という軽い行動を超えて、実際に会場に足を運んだり、特定の時間を確保して視聴したりしている段階です。これは企業への関心が具体的な検討段階に入っていることを意味し、はるかに強いコミットメントを示しています。

この段階の視聴者が求めているのは、「本当にこの会社に入社すべきか」「自分に適した職場なのか」という最終的な判断に必要な詳細で現実的な情報です。表面的な魅力訴求や一般的な企業紹介では不十分で、入社後の現実を包み隠さず伝える責任があります。



3 オフライン視聴環境の特殊性


「離脱ゼロ!じっくり見せる、オフライン動画の強み」


オフライン視聴環境の最大の特徴は、視聴離脱の可能性が極めて低いことです。WEB動画のように「つまらなければすぐに別の動画に移る」「関心がなくなれば途中で閉じる」という行動が困難であり、視聴者は最後まで動画を見ることが前提となります。

この特性を活かして、WEB動画では敬遠されがちな「一見冗長に思える詳細な情報提供」も効果的に活用できます。業務の複雑なプロセス、社内の意思決定フロー、実際のプロジェクトでの困難と解決過程、組織の課題と改善取り組みなど、理解に時間を要する内容でも、じっくりと説明することが可能です。


人材スクリーニング機能としての詳細情報提供

「ミスマッチ解消!本音で語る、スクリーニング動画」


オフライン視聴での詳細な情報提供は、単なる情報伝達を超えた重要な機能を持ちます。それは「人材のスクリーニング」です。企業の現実的な側面、求められる能力の具体的なレベル、働き方の実態を詳しく説明することで、視聴者自身が「自分にとって適した職場かどうか」を正確に判断できるようになります。

この段階では、WEB動画では避けられがちな「ネガティブにも取られうる現実的な情報」も積極的に提供すべきです。残業が発生する繁忙期の実態、高いプレッシャーがかかる局面、求められる技術レベルの具体的な基準、チームワークが不可欠な理由、顧客対応での厳しい場面などを包み隠さず伝えることで、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的に活躍できる人材の獲得につながります。



4 採用動画の多様なテーマと分類


「目的別コンテンツで、響く動画を創る」


各プラットフォームでの視聴者のクリック動機を理解した上で、それに応える具体的なコンテンツを企画する必要があります。以下に、主要な動画テーマとその適用場面について説明します。



4.1 企業紹介・ブランディング系動画


「企業で働く『意味』を伝える、企業ブランディング」


従来の企業紹介動画は「企業名の認知」を目的としがちですが、WEB動画では「なぜこの会社で働くべきなのか」という価値提案が中心となります。企業の歴史や理念を紹介する場合も、それが求職者のキャリアにどのような意味を持つかを明確に関連付けます。

創業ストーリーを紹介するなら「挑戦する文化がある」ことを、企業理念を説明するなら「社員一人ひとりの価値観との一致」を強調します。視聴者が知りたいのは企業の基本情報ではなく、「自分がこの企業で働く意味」なのです。



4.2 職場環境・社風紹介動画


「リアルが伝わる!職場の空気、社員の笑顔」


求職者が最も知りたい情報の一つが「実際の働く環境」です。単なるオフィス紹介ではなく、「なぜこの環境が働きやすいのか」「どのような働き方が実現できるのか」を具体的に示します。

リモートワークの実際の様子、フレックスタイム制の活用事例、社員同士のコミュニケーションの質など、求職者の働き方に対する関心に応える内容を盛り込みます。特に、一日の業務の流れを時系列で紹介することで、視聴者が具体的に働くイメージを描けるようにします。



4.3 社員インタビュー・体験談動画


「本音で語る!社員の成長ストーリー」


最も効果的な動画の一つですが、単なる「やりがい紹介」では不十分です。視聴者が知りたいのは「同じような背景を持つ自分が、この会社でどのように成長できるのか」という具体的なキャリアパスです。

インタビューでは、入社前の不安や転職理由、入社後の具体的な成長体験、現在の仕事の詰まらない部分も含めたリアルな声を紹介します。特に、失敗談とそれをどう乗り越えたかのエピソードは、視聴者の共感を呼び、企業の人材育成方針を効果的に伝えます。



4.4 業務内容・仕事紹介動画


「仕事のリアルを覗く!密着・業務紹介」


求職者が応募を検討する際の重要な判断材料となる動画です。抽象的な仕事内容の説明ではなく、「一日の業務の具体的な流れ」「使用する道具や技術」「チームでの役割分担」など、求職者が自分のスキルとの適合性を判断できる詳細な情報を提供します。

特に、プロジェクトの企画から完成までのプロセスを追いかけることで、仕事のやりがいと同時に求められるスキルレベルも明確に伝えることができます。



4.5 研修・教育制度紹介動画


「未来を育てる!成長を実感する研修制度」


成長意欲の高い求職者にとって重要な判断材料となります。単に制度の説明をするのではなく、「実際にどのような成長が実現できるのか」を具体的な事例で示します。

研修を受けた社員のビフォーアフターの比較、メンター制度の実際の活用事例、資格取得やスキルアップの支援実績など、視聴者が自分の成長をイメージできる具体的な情報を提供します。



4.6 新卒採用向け動画


「社会人への第一歩!新卒を惹きつける成長の物語」


新卒学生は社会人経験がないため、働くイメージを具体的に描けるような内容が重要です。先輩社員の成長ストーリーや研修制度、キャリアパスなどを中心に構成します。また、学生が共感しやすい等身大の社員を登場させることで、親近感を持ってもらえます。企業の将来性や成長機会を強調し、長期的なキャリア形成の場としての魅力を伝えます。



4.7 中途採用向け動画


「経験を活かす!中途採用向けキャリアアップ動画」


中途採用者は即戦力としての活用が期待されるため、具体的な業務内容や使用するスキル、技術環境などの詳細な情報が重要です。転職によるキャリアアップの可能性や、経験を活かせる環境があることを具体的に示します。また、転職に対する不安を解消するため、転職者の受け入れ体制や支援制度についても紹介します。



4.8 特定職種・専門職向け動画


「専門性を極める!職種別スペシャリストの道」


エンジニア、デザイナー、営業職など、特定の職種向けの動画では、その職種特有の業務内容や使用する道具、技術的な挑戦などを詳しく紹介します。同じ職種で活躍する社員のインタビューを中心に構成し、専門性を活かせる環境があることを具体的に示します。



5 ターゲット別の動画戦略


5.1 定量的な効果測定


「数字で見る、動画のチカラ」


動画の視聴回数、視聴時間、視聴完了率などの基本的な指標に加え、動画視聴後の企業サイトへの流入数、応募数の変化なども測定します。これらのデータを分析することで、動画の効果を客観的に評価できます。



5.2 定性的な効果測定


「声に聞く、動画の響き」


面接時のアンケートや内定者へのヒアリングを通じて、動画の印象や応募への影響を確認します。また、動画に対するコメントやSNSでの反応なども重要な指標となります。



5.3 継続的な改善


「PDCAで磨く!進化する採用動画」


効果測定の結果を基に、動画の内容や配信方法を継続的に改善していきます。時代の変化や採用市場の動向に合わせて、定期的にコンテンツを更新することも重要です。



6 戦略的企画の重要性


「採用成功の鍵は、戦略性にあり!」


採用動画の成功には、制作前の戦略的な企画が不可欠です。まず、採用における課題を明確に定義し、動画によってどのような効果を期待するかを具体的に設定します。次に、ターゲットとなる求職者のペルソナを詳細に設定し、そのニーズや関心に合わせたコンテンツを企画します。

配信するプラットフォームの特性を理解し、それぞれに最適化した動画を制作することも重要です。また、他の採用施策との連携を考慮し、採用プロセス全体での動画の役割を明確にします。

制作予算と期待効果のバランスを考慮し、継続可能な動画戦略を構築することが、長期的な採用成功につながります。企業の採用ブランディングの一環として、一貫性のあるメッセージとトーンで動画を制作することで、より強い印象を与えることができます。



まとめ


「動画で変わる、採用の未来」


採用動画は、企業と求職者をつなぐ非常に有効な手段です。しかし、その効果を最大化するためには、明確な目的設定と戦略的な企画が欠かせません。配信プラットフォームの特性を理解し、ターゲットのニーズと、採用者としての目的に合わせたコンテンツを制作することで、採用活動の成功確率を大幅に向上させることができます。継続的な効果測定と改善により、時代の変化に対応した効果的な採用動画を制作し続けることが、優秀な人材の獲得につながります。

弊社へのご用命、ご相談は→こちらへ。


【弊社プロデューサー制作事例】

日本代表する企業グループのIT企業として川上に位置する企業ならではの、人材スクリーニングを企図したインタビューを多数掲載しています。インタビューの背景には、意図的にオフィスの様子を散りばめています。(上記4.3、4.7のケースです)


旋盤工という仕事の職人性とリアルを、DSLRによってシネマティックに描くことで、的確な人材の獲得と企業ブランディングを図っています。(上記4.1、4.2、4.4のケースです)


東海地方を代表するゼネコンとして、確固たる基盤を築いていることを映像で印象づけながら、職場のリアルと働きがい、社員としての「居場所がある」ことを表現してます。(上記4.1、4.2、4.4のケースです)


四日市海運グループ(非公開)

採用担当者から「港湾荷役という3Kと言われる職場であっても、働きがいがある「かっこいい」職場であることを高校生たちに見せたい」と依頼を受け、15分を超える長編で描きました。DVDに動画ファイルを入れ、県内の高校に配布して希望者に見てもらっています。

職場のリアルをかっこよく描くことで、志望動機の獲得と、人材スクリーニングを両立しました。(上記4.2、4.4、4.6のケースです)


【執筆者】

本記事は名古屋を中心とする地域の企業や団体の、BtoBビジネス分野の映像制作を専門に、プロデューサー/シナリオライター歴35年、ディレクター/エディター歴20年のキャリアをもつ株式会社SynAppsの代表が、これまでにJR東海、トヨタ自動車、矢作建設工業など、名古屋を中心とした地域の幅広い業界の採用動画を制作してきた経験を基に執筆しました。

会社概要はこちら → [当社について] [当社の特徴]


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