採用を「経営戦略」へ昇華させる:外部プロ活用とアウトソーシングの真髄【連載 Vol.5】
- Tomizo Jinno

- 4 時間前
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はじめに
「採用担当者が忙殺されて、考える時間がない」
「新しい手法を取り入れたいが、ノウハウも人も足りない」
これは多くの成長企業が直面する壁です。採用手法の多様化に伴い、人事業務は複雑化の一途をたどっています。もはや採用は、片手間の管理業務ではなく、高度な専門性を要するプロジェクトです。
本記事では、自社のリソースを最大限に活かすために、外部のプロフェッショナルやアウトソーシング(BPO/RPO)をどう戦略的に活用すべきか、その全体像を考えます。
1. 外部プロフェッショナルの活用:知見を「買う」選択
社内にないノウハウを一から蓄積するには時間がかかります。スピードが命の採用市場では、外部の知見を柔軟に取り入れることが勝負を分けます。
① 採用コンサルティング:戦略の羅針盤
「なんとなく採用活動をしている」状態からの脱却を支援します。
ターゲット選定、採用ブランディングの構築、KPI(重要業績評価指標)の設計など、実務の前段階にある**「勝てる戦略」**を描きます。客観的なデータや他社事例に基づいたアドバイスは、経営陣を説得し、採用予算を獲得するための強力な武器にもなります。
② 人事プロ人材のシェアリング・派遣
近年急速に普及しているのが、フリーランスや副業の**「プロ人事」**活用です。
「エンジニア採用に特化したリクルーター」や「CHRO(最高人事責任者)クラスの戦略家」を、正社員として雇うのではなく、業務委託として必要な期間・必要なミッションだけ招き入れます。即戦力のハイレベルな知見を、固定費を抑えつつ自社にインストールできるのが最大のメリットです。
③ 人材紹介(エージェント):成功報酬型の活用
「とにかく急ぎで特定のスキルセットを持つ人が欲しい」場合、人材紹介は依然として強力です。コストはかかりますが、母集団形成の手間を省き、ピンポイントで有資格者に出会えます。自社採用(ダイレクトリクルーティング等)とエージェントを、緊急度や難易度によって使い分けるポートフォリオ感覚が重要です。

2. RPO(採用代行)による「コア業務」への集中
RPO(Recruitment Process Outsourcing)は、採用プロセスの一部、あるいは全部をプロのチームに委託するソリューションです。
「コア」と「ノンコア」の切り分け
RPO活用の肝は、業務の切り分けにあります。
ノンコア業務(任せるべきこと):
スカウトメールの配信、応募者対応、日程調整、一次スクリーニングなど。これらは「量」と「スピード」が求められるため、プロのオペレーションに任せた方が圧倒的に効率的です。
コア業務(自社でやるべきこと):
最終的な見極め、候補者の意向上げ(口説き)、社内調整。これらは社員の「熱量」や「責任」が必要な領域です。
RPOを活用することで、社員は「候補者と向き合う時間」という最も付加価値の高い業務にのみ集中できるようになります。
3. SynApps's Insight:人事担当者は「作業者」から「プロデューサー」へ
これからの人事担当者に求められる役割の変化について。
従来の人事は、自分で面接もし、日程調整もし、求人票も書く「マルチプレイヤー」でした。しかし、これからは「プロデューサー」への進化が求められます。
映画プロデューサーが、脚本家、カメラマン、俳優を適材適所に配置して一つの作品を作るように、人事責任者も、「この採用課題にはどのツール(Tech)を使い、どの外部パートナー(Pro)と組み、社内の誰(Staff)を巻き込むか」を全体設計する能力が問われます。
「全部自分でやる」という美学は捨ててください。
外部のリソースを使い倒し、最短距離で経営目標(採用数・質)を達成することこそが、プロフェッショナルな人事の仕事です。
「自社の魂(コア)」さえ握っていれば、手段はいくらでも外部に求められます。組織の壁を超えたチーム作りが、最強の採用チームを生み出します。
【次号予告(最終回)】
ここまで5つの領域について解説してきましたが、これら全てのフェーズで共通して強力な武器となるのが「映像(動画)」の力です。
最終回となる次回は、映像制作会社SynAppsからの提案として「採用DXの切り札:映像活用・動画制作のROI」について。
文字や写真だけでは伝わらない「空気感」をどう伝え、採用効率を劇的に高めるか。具体的な活用シーンと制作のポイントをご提案します。
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【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、各業界の知見を収集・分析しながら、企業が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、産業ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。




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