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企業映像制作者が知っておきたい人事・採用事情(3)管理・制度用語から

タレントマネジメント


タレントマネジメントは、個々の社員が持つスキル、経験、能力、潜在力を一元的に把握し、それらを企業の戦略目標達成に最大限に活かすための戦略的な人材管理の取り組みです。日本の企業では、少子高齢化による労働力人口の減少、グローバル競争の激化、DX推進による事業構造の変化といった背景から、限られた人材をいかに有効活用し、組織全体のパフォーマンスを最大化するかが喫緊の課題となっています。そのため、社員の採用から配置、育成、評価、報酬、そして退職に至るまでの一連の人事プロセスにおいて、個人のタレントを可視化し、最適な人材配置や能力開発を行う重要性が高まっています。タレントマネジメントシステム(TMS)の導入により、人事データの集約・分析が進み、データに基づいた人事意思決定を行う「データドリブン人事」の実現を目指す企業が増えています。これは、従来の属人的な人材管理からの脱却を図り、より客観的・戦略的な人材活用を推進する動きと言えます。



サクセッション・プランニング


サクセッション・プランニングは、企業の将来を担う重要なポジション(経営層、部門長、特定の専門職など)について、早期に後継者候補を見出し、計画的に育成していく取り組みです。現在の日本企業において、これは単なる「補充」ではなく、事業継続と持続的成長のための経営戦略上の重要課題として認識されています。特に、団塊の世代の引退が進み、ベテラン社員の知識やノウハウの承継が急務となる中で、次世代リーダーの育成は喫緊の課題です。また、グローバル市場での競争力を高めるためには、多様なバックグラウンドを持つリーダーを育成し、グローバルリーダーシップを発揮できる人材を確保することも不可欠となっています。企業は、後継者候補の特定、育成プログラムの策定、社内外での研修機会の提供、計画的な職務経験の付与などを通じて、将来の経営陣や幹部候補を戦略的に育成しています。これは、企業の持続的な成長を支えるための長期的な人材投資として、ますますその重要性を増しています。



ピープル・アナリティクス


ピープル・アナリティクスは、人事データ(採用、評価、異動、給与、勤怠、エンゲージメントサーベイなど)を収集・分析し、その結果を人事戦略や意思決定に活用する取り組みです。現在の日本では、人事領域におけるデータ活用の重要性が急速に高まっています。従来の経験や勘に頼りがちだった人事判断に対し、データに基づいた客観的な分析を行うことで、採用のミスマッチの低減、離職率の改善、社員のパフォーマンス向上、人材育成の最適化、組織課題の特定など、様々な効果が期待されています。特に、タレントマネジメントシステムの普及やHRテックツールの進化により、データの収集・分析が以前よりも容易になったことが背景にあります。しかし、分析を行うための専門知識を持つ人材の不足や、データの統合・クレンジング、そして分析結果を実際の施策に落とし込む運用力など、導入・運用には多くの課題も存在します。それでも、データドリブンな人事の実現は、企業の競争力強化に不可欠な要素として注目され続けています。



エンゲージメント


エンゲージメントは、社員が会社や仕事に対して抱く「愛着度」「貢献意欲」「熱意」の高さを指し、現在の日本企業において、社員の生産性向上や離職率の低下、企業業績への貢献に直結する重要な指標として位置づけられています。少子高齢化による労働力不足や終身雇用の変容により、優秀な人材の獲得と定着が企業にとって不可欠となる中で、社員のエンゲージメントを高めることは経営戦略上の優先事項となっています。企業は、定期的なエンゲージメントサーベイの実施を通じて、社員の意識や満足度、課題を把握し、それに基づいた組織改善や施策(働きがいのある職場環境づくり、キャリア形成支援、適切な評価・報酬、コミュニケーションの活性化など)を推進しています。特に、単なる「満足度」だけでなく、社員が自律的に組織目標に貢献しようとする「主体的な意欲」を引き出すための取り組みに重点が置かれるようになっています。



リテンション


リテンションとは、優秀な人材の離職を防ぎ、企業に定着させるための様々な施策や戦略を指します。現在の日本では、労働力人口の減少と、転職に対する抵抗感の低下により、人材の流動性が高まっていることから、企業にとってリテンションの重要性がかつてないほど高まっています。特に、獲得にコストをかけた優秀な人材や、事業の核となる専門人材が流出することは、企業の競争力低下に直結するため、その防止は喫緊の課題です。企業は、社員のエンゲージメント向上、適正な報酬・評価制度の整備、魅力的なキャリアパスの提示、研修制度の充実による能力開発支援、ワークライフバランスの推進、ハラスメント対策など、多角的な施策を講じています。また、社員が「この会社で働き続けたい」と思えるような良好な人間関係や企業文化の醸成も、リテンションを高める上で不可欠な要素として重視されています。



ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)


ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、性別、年齢、国籍、人種、障がい、性的指向、価値観など、多様な属性を持つ人材を受け入れ(ダイバーシティ)、それぞれが持つ能力を最大限に発揮できるような環境を整備し、組織に貢献できる状態を作る(インクルージョン)取り組みです。現在の日本では、少子高齢化による労働力不足、グローバル競争の激化、そして社会全体の意識変化を背景に、企業の持続的成長に不可欠な経営戦略として、D&Iの推進が加速しています。女性活躍推進や外国人材の活用、高齢者の継続雇用などが具体的な取り組みとして挙げられます。D&Iは、多様な視点やアイデアが生まれることでイノベーションを促進し、企業文化を豊かにするだけでなく、多様な顧客ニーズに対応できる競争優位性を生み出すと期待されています。しかし、単に多様な人材を集めるだけでなく、それぞれの違いを尊重し、誰もが平等に活躍できる包括的な組織文化を醸成することが大きな課題となっています。


ダイバーシティのイメージ


ワークライフバランス


ワークライフバランスは、仕事と私生活の調和を図り、どちらか一方に偏ることなく、充実した人生を送ることを目指す考え方です。現在の日本では、長時間労働の是正、少子化対策、女性活躍推進、そして個人の価値観の多様化を背景に、その重要性が高まっています。「働き方改革」の推進によって、有給休暇の取得義務化や時間外労働の上限規制などが法制化され、企業には具体的な取り組みが求められています。企業は、フレックスタイム制度、テレワーク(リモートワーク)、短時間勤務制度、育児・介護休業制度の拡充など、多様な働き方を可能にする制度を導入しています。これにより、社員は子育てや介護、自己啓発、地域活動など、個人のライフステージやニーズに応じた働き方を選択できるようになり、社員のエンゲージメント向上や離職率の低下、生産性向上に繋がると期待されています。



働き方改革


働き方改革は、日本が直面する少子高齢化に伴う労働力人口の減少、働く人々のニーズの多様化といった課題に対応するため、政府主導で推進されている社会全体の取り組みです。多様な働き方を可能にすることで、一人ひとりの労働者が意欲と能力を存分に発揮できる社会を目指しています。具体的には、2019年4月に施行された働き方改革関連法によって、時間外労働の上限規制の導入、年次有給休暇の確実な取得、同一労働同一賃金などが義務化・推進されました。これを受けて、企業は長時間労働の見直し、柔軟な勤務制度(フレックスタイム、裁量労働制、リモートワークなど)の導入、生産性向上に向けた業務プロセスの改善、ハラスメント対策の強化など、多岐にわたる対応が求められています。働き方改革は、単なる労働時間の削減だけでなく、社員のエンゲージメントや生産性を高め、企業の持続的な成長を実現するための重要な経営戦略と位置づけられています。



健康経営


健康経営とは、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、企業が積極的に従業員の健康維持・増進に投資することで、組織の活性化や生産性の向上、企業イメージの向上、ひいては業績向上へと繋げる経営戦略のことです。現在の日本では、労働力人口の減少、医療費の高騰、社員のメンタルヘルス不調の増加といった社会課題を背景に、その重要性が高まっています。経済産業省が「健康経営優良法人」を認定する制度を設けるなど、国を挙げた推進が行われています。企業は、定期健康診断の徹底、ストレスチェックの実施、過重労働対策、メンタルヘルスケアの強化、生活習慣病予防のための健康増進プログラムの提供、オフィス環境の改善など、様々な取り組みを実施しています。健康経営は、社員のエンゲージメントやモチベーション向上に繋がり、企業の持続的な成長を実現するための重要な投資として、多くの企業が導入・推進しています。



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