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名古屋の採用動画制作者が知っておきたい人事・採用事情(2)評価・処遇用語から

更新日:5 日前

人事評価


日本の人事評価制度は、高度経済成長期に導入された年功序列・終身雇用を前提としたものが多く存在していましたが、近年は多様な働き方やグローバル化への対応、そして成果主義の浸透により大きな変革期を迎えています。多くの企業で、個人の業績や能力、行動を定期的に評価し、昇給、昇格、賞与、配置などの人事処遇に反映させる仕組みが導入されています。しかし、評価の透明性や公平性の確保、評価者によるバラつきの是正、そして評価結果を人材育成やエンゲージメント向上に繋げる運用が課題となっています。形骸化を防ぎ、社員のモチベーション向上や企業成長に資する制度として機能させるため、目標設定の質の向上、評価者トレーニングの徹底、フィードバックの充実、評価プロセスのデジタル化などが進められています。また、評価の頻度を増やし、リアルタイムなフィードバックを重視する動きも見られます。


面接を受ける社員


360度評価


360度評価は、上司だけでなく、同僚、部下、関連部署の社員など、複数の視点から多角的に評価を行う手法であり、日本の企業でも導入が進んでいます。従来のトップダウン型の一方的な評価では見落とされがちな、個人の行動特性や対人関係スキル、リーダーシップなどを客観的に把握できる点が最大のメリットです。特に、管理職やリーダー層の行動変革、人材育成、組織開発に有効なツールとして活用されています。しかし、評価の匿名性の担保、感情的な評価の排除、建設的なフィードバックの実施、評価結果を処遇に直結させず能力開発に繋げる運用など、導入には慎重な設計と運用が求められます。評価者が多岐にわたるため、評価基準の統一やフィードバックの伝え方に関する丁寧な研修が不可欠であり、適切な運用がなされないと、かえって社内の人間関係を悪化させるリスクも指摘されています。



コンピテンシー


コンピテンシーは、高い成果を継続的に出す人材に共通して見られる行動特性を指し、現在の日本の人事領域では、採用、人事評価、人材育成、配置など、幅広い場面で活用されています。従来の知識やスキルだけでなく、「どのように行動したか」という視点から、個人の強みや成長ポイントを明確にすることが可能です。企業は、自社の経営戦略やビジョンに基づき、求める人材像をコンピテンシーとして具体的に定義することで、採用選考におけるミスマッチを減らし、評価の客観性・公平性を高めることができます。また、社員は自身に求められる行動特性を理解することで、具体的な目標設定や能力開発に繋げやすくなります。行動特性を言語化し、評価基準に落とし込む作業は労力を要しますが、組織全体のパフォーマンス向上と人材の戦略的育成に不可欠な概念として、多くの企業が導入・運用を推進しています。



OKR(Objectives and Key Results)


OKR(Objectives and Key Results)は、「目標(Objectives)」とその目標達成度を測るための「主要な結果(Key Results)」を組み合わせた目標管理手法です。Googleなどの成功事例が知られるようになり、近年、日本のIT企業を中心に導入が急速に進んでいます。MBOが個人の評価に強く結びつくのに対し、OKRは企業、部門、個人の目標を連鎖させ、全社的な目標達成への貢献度を可視化し、組織全体の方向性を一致させることに重点を置いています。高い挑戦的な目標を設定し、進捗状況を頻繁に確認し、目標達成の度合いを客観的に評価することが特徴です。評価と処遇を直接結びつけない運用が多く、社員のモチベーション向上や自律的な行動を促すツールとして期待されています。しかし、適切な目標設定、進捗管理、そして組織文化への浸透には、経営層の強いコミットメントと社員の理解が不可欠であり、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。



MBO(Management by Objectives)


MBO(Management by Objectives)は、社員が自ら目標を設定し、その達成度によって評価を行う目標管理手法であり、日本では1980年代から多くの企業で人事評価制度の基盤として広く導入されてきました。社員の自律性や目標達成への意欲を高めることを目的とし、設定された目標の達成度合いが、賞与や昇給などの人事処遇に直結するケースが一般的です。しかし、運用の実態としては、「ノルマ管理」に陥りやすく、挑戦的な目標設定よりも達成可能な目標に留まる傾向や、期末に評価のための数字合わせに終始してしまうといった課題も指摘されてきました。また、目標設定の適切性や評価者のスキルによって評価の公平性が損なわれることもあり、形骸化しているMBO制度の見直しや、OKRのような新しい目標管理手法への移行を検討する企業が増えています。一方で、適切な目標設定とフィードバックが機能すれば、個人の成長と組織目標の達成に貢献する有効な手法であることに変わりはありません。



ノーレイティング


ノーレイティングは、従来の「A、B、C」といった段階評価(レーティング)を廃止し、社員に対する相対的な順位付けや年次の評価を行わない評価制度です。GE(ゼネラル・エレクトリック)などの大手企業が導入したことで注目され、日本企業の一部でも試行的な導入が進んでいます。この制度の主な目的は、従来の評価が抱える形式化や評価者・被評価者の負担、そして評価が社員のモチベーション低下に繋がる可能性といった課題を解消することにあります。ノーレイティングでは、定期的な(週次や月次などの高頻度な)1on1ミーティングを通じた継続的なフィードバックとコーチングを重視し、社員の能力開発とパフォーマンス向上をリアルタイムで支援します。評価結果が処遇に直結しないことで、社員は安心して挑戦できる環境が生まれると期待されますが、一方で、報酬決定の仕組みの明確化や、評価者のフィードバックスキルの向上が不可欠であり、従来の評価に慣れた企業文化の中で定着させるには時間と労力を要します。



職務等級制度


職務等級制度は、社員の職務内容や職責の価値に基づいて等級を定め、それに応じた報酬を支払う制度です。日本の多くの企業で採用されてきた年功序列や属人的なメンバーシップ型雇用とは異なり、個人の能力や年次ではなく、「どんな仕事をしているか」を評価の軸とします。グローバル化やジョブ型雇用の浸透、専門性の高い人材の獲得競争が激化する中で、日本企業においても導入が加速しています。特に、IT企業や外資系企業では早くから取り入れられており、専門職の評価や報酬の透明性を高め、優秀な人材の定着を促す効果が期待されています。しかし、職務内容の定義や等級の設計には高度な専門知識が必要であり、日本の多くの企業に根付く「異動や配置転換で様々な職務を経験させる」という慣行との整合性をどう図るかが課題となります。明確な職務定義が社員のキャリアパスを限定する可能性も指摘されています。



役割等級制度


役割等級制度は、組織内における個人の「役割」の価値や責任の大きさに応じて等級を定める制度です。職務等級制度が「職務内容」に焦点を当てるのに対し、役割等級制度は「組織の中で何を期待され、どのような貢献をするか」という役割に重点を置きます。年功序列制度から脱却しつつも、職務の流動性が高い日本企業の特性に合わせやすいという点で、近年導入する企業が増えています。特に、階層が少なくチームでの協業を重視する組織や、頻繁な配置転換がある企業で導入されやすい傾向にあります。社員は自身の役割を明確に理解し、その役割を果たすために必要な能力開発に繋げることができます。一方で、役割の定義や評価基準が曖昧になりやすいという課題もあり、評価者のスキル向上や、役割が変化した場合の柔軟な等級見直しが必要となります。社員の主体性や自律性を引き出す効果も期待されています。



ジョブ型雇用


ジョブ型雇用は、職務内容、責任、求められるスキルなどを明確に定義し、その職務に適した人材を雇用する形態です。欧米企業では一般的ですが、日本ではメンバーシップ型雇用が主流でした。しかし、デジタル変革(DX)の加速、グローバル競争の激化、そして労働人口減少による人材不足を背景に、日本企業でも急速に注目され、導入を検討・推進する企業が増えています。専門性の高いIT人材やデジタル人材、グローバルビジネスを担う人材の獲得において特に有効とされています。社員は自身の職務内容が明確になることで、専門性を深めやすく、成果への意識が高まります。企業側は、必要なスキルを持つ人材をピンポイントで採用でき、生産性向上が期待できます。一方で、職務内容以外の経験が積みにくくなる可能性や、頻繁な配置転換が困難になる点、職務内容の定義や見直しに多大な労力がかかる点が課題として挙げられています。



メンバーシップ型雇用


メンバーシップ型雇用は、特定の職務内容を限定せず、企業に「メンバー」として雇用され、会社が必要とする様々な業務に従事する日本の伝統的な雇用形態です。新卒一括採用、長期雇用、年功序列、そして企業内での幅広い配置転換や異動が特徴です。社員は特定の専門性よりも、ゼネラリストとしての能力や企業への忠誠心が求められ、様々な経験を積む中でキャリアを形成していきます。この雇用形態は、社員の離職率が低く、企業内での知識やノウハウの蓄積が容易であるというメリットがありました。しかし、変化の激しい現代においては、専門人材の不足、個人のキャリア自律への意識の高まり、多様な働き方への対応の遅れといった課題が顕在化しています。ジョブ型雇用への移行や、メンバーシップ型雇用の良い面を残しつつジョブ型のエッセンスを取り入れる「ハイブリッド型」の模索が、多くの日本企業で進められています。


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