組合活動を支援する映像制作会社
- Tomizo Jinno

- 7月27日
- 読了時間: 14分
更新日:4 日前
私たちBtoBビジネス映像制作会社の仕事は、企業や行政機関以外にも、さまざまな団体組織から映像制作の依頼を受けます。中でも「組合」の幹部の皆さんは、組織内の情報共有や啓発、機運高揚に映像制作の力が有効であることを、よくご存知です。株式会社SynAppsのプロデューサーは、この地方に拠点を置く組合様の映像制作経験も豊富です。
【目次】

1 組合とは何か?
組合とは、共通の目的や利益を持つ人々が集まり、互いに助け合いながら活動する組織のことです。この概念は非常に広く、その形態や目的によってさまざまな種類が存在します。企業における労働組合、農業における農業協同組合、消費者による生活協同組合などがその代表例です。これらの組織は、個人では解決が難しい課題に共同で取り組むことで、構成員の生活や事業をより良くしていくことを目指します。
組合の基本的な定義から、その歴史、種類、役割、現代における課題を考えて、名古屋の映像制作会社 株式会社SynAppsがその活動を支援する映像コンテンツの制作を提案します。
1.1 組合の基本的な概念と定義
「組合」という言葉は、英語の「cooperative」や「union」に対応し、協力や結合といった意味合いを含んでいます。経済学や社会学の観点から見ると、組合は「非営利の協同組織」として定義されることが多く、その活動は構成員自身の利益を最大化することを目的としています。株式会社のような営利企業が株主の利益を最優先するのに対し、組合は「組合員」と呼ばれる構成員の福利厚生や事業の安定を第一に考えます。
組合の根底にあるのは、相互扶助(Mutual Aid) の精神です。これは、「一人ひとりの力は小さいが、みんなで力を合わせれば大きなことができる」という考え方に基づいています。この精神は、歴史的に見て、経済的弱者や社会的に不利な立場に置かれた人々が、自らの生活を守るために団結したことから生まれました。
1.2 組合の歴史的背景と発展
組合の歴史は、18世紀から19世紀にかけての産業革命期に遡ります。この時代、工場制度の導入により、多くの人々が劣悪な労働環境や低賃金に苦しんでいました。こうした状況の中で、労働者たちは自分たちの権利を守るために団結し、労働組合 を結成するようになりました。イギリスで生まれたこの動きは、やがて世界中に広がり、労働者の権利向上、労働時間の短縮、賃金の引き上げなどに大きな役割を果たしました。
同じ頃、農村部では、小規模な農家が市場での交渉力を高めたり、肥料や種を安く仕入れたりするために、農業協同組合(農協) を組織し始めました。また、都市部では、消費者が高品質な商品を適正価格で購入するために、生活協同組合(生協) が誕生しました。イギリスのロッチデール先駆者組合は、近代的な協同組合の原型として知られており、組合の運営原則(後述)を確立しました。
日本においても、明治時代から協同組合運動が盛んになり、特に農村の貧困問題解決のために、産業組合法が制定されました。これが現在の農協や漁協の礎となっています。
2 組合の種類とそれぞれの役割
組合と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。ここでは、代表的な組合をいくつかご紹介します。
2.1 労働組合
目的: 労働者の賃金、労働時間、労働環境などの労働条件を改善し、労働者の経済的・社会的地位を向上させること。
活動: 会社との団体交渉、ストライキなどの争議行為、組合員の福利厚生事業(共済、レクリエーションなど)、政策提言など。
特徴: 企業や産業ごとに組織されることが多く、企業経営者との対等な立場で交渉を行う「労働者の代表」としての役割を担います。
2.2 農業協同組合(農協、JA)
目的: 農業生産の効率化、農産物の安定的な販売、農家の生活向上。
活動: 共同での農産物出荷(販売事業)、肥料や農機具の共同購入(購買事業)、貯金や融資などの金融事業、共済事業など。
特徴: 多くの農家が組合員となり、共同で事業を行うことで、個々の農家では難しい経済活動を可能にします。地域社会の基盤としての役割も大きいです。
2.3 生活協同組合(生協)
目的: 組合員である消費者の生活向上、安全・安心な商品の提供、環境保全。
活動: 共同購入や店舗での食料品・日用品の販売、共済事業、宅配サービス、福祉事業など。
特徴: 組合員が出資金を出し合い、事業の運営にも参加します。単なる買い物だけでなく、商品開発や産地訪問を通じて、生産者と消費者をつなぐ役割も果たします。
2.4 漁業協同組合(漁協)
目的: 漁業生産の効率化、漁獲物の共同販売、漁業者の生活向上。
活動: 漁獲物の共同出荷、漁船の燃料や資材の共同購入、漁場管理、金融事業など。
特徴: 漁業者一人ひとりの漁獲量を増やすだけでなく、持続可能な漁業の実現に向けた取り組みも行います。
2.5 信用協同組合(信用組合)
目的: 中小企業や個人事業主、地域住民の金融ニーズに応えること。
活動: 貯金、融資、為替などの金融サービス。
特徴: 地域の住民や中小企業が組合員となり、組合員に限定した金融サービスを提供します。地域密着型の金融機関として、大手銀行とは異なる役割を担います。
3 組合の運営原則
協同組合には、世界共通の7つの協同組合原則があります。これは、国際協同組合同盟(ICA)によって定められており、組合が健全に運営されるための指針となっています。
3.1 自発的で開かれた組合員制度
性別、社会的人種、政治的見解、宗教の区別なく、組合員としての責任を引き受ける意思のある全ての人に開かれています。
3.2 組合員による民主的な管理
組合員が意思決定に関与し、民主的に組織を管理します。一人が一票を持つのが原則です。
3.3 組合員の経済的参加
組合員は出資金を拠出し、組合の資産形成に貢献します。剰余金の配分方法も民主的に決定されます。
3.4 自立と自律
組合は、組合員によって運営され、外部からの干渉を受けません。他の組織と連携する場合でも、自立性を保ちます。
3.5 教育、研修および広報
組合員、役職員、そして一般の人々に、組合の理念と活動について教育・情報提供を行います。
3.6 組合間の協力
組合は、地域、全国、国際的な協力によって、組合員に最も効果的に奉仕します。
3.7 コミュニティへの関与
組合は、組合員によって承認された方針を通じて、そのコミュニティの持続可能な発展のために活動します。
これらの原則は、組合が単なる経済組織ではなく、社会的な役割を担う組織であることを明確にしています。
4 組合の目的と課題
4.1 目的
共同の力
個人では弱い立場でも、団結することで交渉力や経済力を高めることができます。
民主的な運営
一人一票の原則により、組合員の意見が反映されやすいです。
相互扶助
困ったときに助け合えるセーフティネットとしての機能があります。
社会的役割
地域社会の活性化、環境問題への取り組みなど、経済活動以外の面でも社会に貢献します。
情報の共有
組合員間で専門知識やノウハウを共有し、全体のスキルアップにつながります。
4.2 課題
組織の硬直化
長く続く組合の中には、意思決定が遅くなったり、旧態依然とした体質から抜け出せなかったりする場合があります。
世代交代
若い世代が組合活動に参加しにくいという問題があり、高齢化が進む組合も少なくありません。
組合員の関心の低下
組合員の多くが活動に参加せず、運営が一部の役員に任されがちになることがあります。
外部環境の変化
グローバル化やIT化の進展により、従来の組合の役割やビジネスモデルが通用しなくなるケースも出てきています。
利害の対立
組合員の中にも、立場や意見の違いから利害が対立することがあり、調整が難しい場合があります。
5 現代社会における組合の役割と展望
現代社会は、AI、IoT、ロボット技術の発展、グローバル競争の激化、働き方の多様化など、大きな変化の渦中にあります。こうした中で、組合はどのような役割を果たすべきでしょうか。
5.1 労働組合
非正規雇用者やフリーランスといった、従来の労働組合の対象外だった人々をどう組織化していくかが大きな課題です。プラットフォームワーカーのような新しい働き方をする人々の権利を守るための新しい形の組合の必要性が高まっています。また、賃上げ交渉だけでなく、育児・介護と仕事の両立支援、メンタルヘルス対策など、多様な働き方に対応した福利厚生の提供が求められています。
5.2 農業協同組合
後継者不足や高齢化、TTPなどの国際的な競争激化に直面しています。IT技術を活用したスマート農業の導入支援、地域資源を活かした6次産業化(農産物の生産だけでなく加工・販売まで手掛けること)の推進、新しい流通経路の開拓など、事業の多角化が不可欠です。また、食の安全や環境問題への意識が高まる中で、持続可能な農業をどう実現していくかも重要なテーマです。
5.3 生活協同組合
eコマースの台頭により、従来の店舗や宅配サービスだけでは競争が難しくなっています。IT技術を活用した注文システムの効率化、地域コミュニティのハブとしての役割強化、高齢者向けの見守りサービスなど、社会的な課題解決に資する事業への展開が期待されています。
組合は、単なる経済団体ではなく、社会的な課題を解決する力を持つ組織として、その役割を再定義していく必要があります。例えば、気候変動対策、貧困問題、地域格差の是正など、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動も重要になってきます。
6 なぜ組合が必要なのか
組合という組織は、歴史的に見て、時代ごとの社会課題に対応するために発展してきました。産業革命期の労働者の権利保護から始まり、現代の多様な働き方やグローバルな課題に至るまで、その形を変えながらも、常に「共同の力」で問題を解決しようとする精神は変わっていません。
現代は「個」の力が尊重される一方で、貧富の格差や孤独、地域社会の崩壊といった問題が深刻化しています。こうした時代だからこそ、相互扶助の精神に基づき、人々が手を取り合い、共通の課題に取り組む組合の意義は一層高まっていると言えるでしょう。
組合は、単に経済的な利益を追求するだけでなく、人々が安心して暮らせる社会、持続可能な未来を築くための、重要な社会インフラの一つです。その存在意義を理解し、現代に合わせた新しい組合のあり方を模索していくことが、私たち一人ひとりに求められています。
7 組合活動における映像制作の役割と具体的な提案
組合活動は、組合員のエンゲージメントを高め、組織の理念を浸透させ、社会的な存在意義を広く伝えるために非常に重要です。しかし、文書や口頭だけでは伝えきれない熱意や想い、活動の成果を、映像は効果的に伝えることができます。
組合活動の目的別に、映像制作会社ができることを具体的にご提案します。
7.1 組合員向けのエンゲージメント向上
組合員の活動参加を促し、組合への帰属意識を高めるための映像です。
企画案A:活動報告ドキュメンタリー
概要: 1年間の組合活動を、時系列に沿って振り返るドキュメンタリー。各活動(春闘、レクリエーション、ボランティアなど)の裏側を、担当者のインタビューや参加者の声、現場の映像で構成します。
制作のポイント:
単なる事実の羅列ではなく、「なぜこの活動が必要だったのか」「どんな苦労や喜びがあったのか」といったストーリーを重視します。
登場人物(組合役員や活動参加者)のリアルな表情や言葉を引き出し、共感を呼び起こします。
年次総会やイベントで上映することで、組合員全体の一体感を高めます。
企画案B:組合役員紹介コンテンツ
概要: 新任の組合役員や各部署の担当者を紹介する映像。仕事内容だけでなく、趣味やプライベートな一面も交えることで、親しみやすさを醸成します。
制作のポイント:
硬いイメージを払拭するため、カジュアルな雰囲気で撮影します。
自己紹介動画、Q&A形式、役員同士の対談など、さまざまなフォーマットが考えられます。
Webサイトや組合報に掲載することで、組合員がいつでも視聴できるようにします。
企画案C:活動参加促進ショートムービー
概要: 新しいイベントやボランティア活動への参加を呼びかけるための短編映像。活動の楽しさや魅力を、テンポの良い編集で伝えます。
制作のポイント:
SNSでの拡散を意識し、15秒〜60秒程度の尺にまとめます。
アニメーションやインフォグラフィックスを取り入れ、視覚的に分かりやすくします。
キャッチーな音楽やテロップを使い、若年層の関心を引きます。
7.2 組合の理念・存在意義の浸透
組合の歴史、果たしている役割、将来のビジョンを明確に伝え、組合員や関係者の理解を深めるための映像です。
企画案D:組合の歴史をたどる映像コンテンツ
概要: 組合設立からの歩みを、年表や貴重な写真・映像資料を使いながら解説する映像。過去の偉業や困難を乗り越えてきた歴史を振り返ることで、現在の活動の重要性を再認識させます。
制作のポイント:
歴史的な事実だけでなく、当時の組合員のインタビュー(OB・OG)を交えることで、情感豊かなコンテンツにします。
入社式や新入社員研修での上映を想定し、組合の存在意義を理解してもらうためのツールとして活用します。
企画案E:ビジョンムービー「組合の未来」
概要: 組合が目指す未来像や、現在取り組んでいる新たな挑戦(ダイバーシティ&インクルージョン、SDGsなど)を伝える映像。
制作のポイント:
トップからのメッセージに加え、若手組合員が語る「私たちが目指す未来」のような企画も効果的です。
CGやモーショングラフィックスを駆使し、先進的で洗練されたイメージを演出します。
社内だけでなく、社外の関係者(経営者、業界団体など)へのアピールにも活用できます。
組合活動を社外に発信し、社会的な信頼性を高めるための映像です。
企画案F:社会貢献活動報告ドキュメンタリー
概要: 地域清掃、被災地支援、子ども食堂への協力など、組合が行っている社会貢献活動を記録した映像。
制作のポイント:
活動の様子だけでなく、受け手(地域住民や支援先の人々)からの感謝の言葉も収録することで、活動の価値をより際立たせます。
WebサイトやYouTubeチャンネルで公開し、組合のブランドイメージ向上に繋げます。
企画案G:業界団体向けプレゼンテーション映像
概要: 業界内のシンポジウムや交流会などで使用する、組合の代表的な取り組みや成果をまとめた映像。
制作のポイント:
専門的な内容を分かりやすく解説するため、インフォグラフィックスやグラフを多用します。
短時間で要点が伝わるよう、簡潔かつテンポの良い構成にします。
7.4 映像制作会社ができること(付帯サービス)
映像コンテンツの企画・制作だけでなく、以下のようなサポートも可能です。
企画コンサルティング
組合の課題や目標をヒアリングし、最適な映像企画をゼロからご提案します。
予算策定・管理
組合の予算規模に合わせて、最適な制作プランをご提案します。
撮影・編集
映像のトーンに合わせたナレーターや出演者の手配を行います。
多言語対応
グローバル企業の場合は、多言語字幕やナレーションの追加も可能です。
配信サポート
完成した映像をWebサイト、SNS、社内ポータルサイトなど、最適なプラットフォームで効果的に配信するためのアドバイスを行います。
映像は、組合のメッセージを強力に伝えるための最も有効な手段の一つです。映像制作のプロとして、組合の課題解決と価値向上に貢献する企画を、共に作り上げていきたいと考えています。
組合活動のどのような課題解決に映像を活用したいとお考えでしょうか?
具体的なテーマや目的がございましたら、ぜひお聞かせください。最適な企画をご提案いたします。こちらからご連絡ください。
【弊社制作事例】
【人事・総務部の課題関連記事】
【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、さまざまな業界の知見を収集・分析しながら、企業や団体が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、その産業分野ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。




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