動画・映像制作用語
【ラウドネス】
loudness
「ラウドネス」とは、人間の聴覚が感じる音の大きさのことです。
物理的な音の強さ(音圧レベル)とは少し異なり、同じ音圧レベルの音でも、周波数の違いによって人間が感じる大きさが違うため、それを考慮した「聞こえの大きさ」を表す指標がラウドネスです。
音量との違い
音量 (Volume) は、物理的な音の強さやエネルギーを表します。
ラウドネス (Loudness) は、人間の耳が実際に感じる音の大きさを表します。
例えば、人間の耳には低音や高音は、同じ音圧レベルの中音に比べて小さく感じられます。多くの放送局やストリーミングプラットフォームでは、ラウドネスの基準値を定めており、コンテンツはその基準に沿って制作・配信されることが求められています。基準を超えたコンテンツはノーマライズされて送出されます。
これによって音量の均一化、音の聞こえのバランス(美しさ)を調整しています。
よく使われる単位
主な音楽配信サービスではこれら単位を使用して基準値が設けられています。
LUFS( Loudness Units Full Scale )EBU(欧州放送連合)
LKFS( Loudness K-weighted Full Scale ) ITU (国際電気通信連合)
映像信号のγ(ガンマ)値とよく似た概念
どちらも、物理的な信号の強さ(光の強さ、音の大きさ)と、人間が知覚する強さ(明るさの感じ方、音の聞こえ方)との間の非線形な関係を補正・調整する目的を持つ点で共通しています。
γ値(ガンマ補正)
映像信号の輝度(明るさ)は、通常、リニア(直線的)な特性を持っています。
しかし、人間の目は暗い部分の変化には敏感ですが、明るい部分の変化には鈍感という非線形な特性を持っています。
ガンマ補正は、この人間の視覚特性に合わせて、映像信号の輝度を非線形に変換する処理です。これにより、暗い部分の階調をより豊かに表現し、効率的に情報量を配分することができます。
ラウドネス
音声信号の物理的な強さ(音圧レベル)はリニア(直線的)な特性を持っています。
しかし、人間の耳は周波数によって音の聞こえ方が異なり、同じ音圧レベルでも周波数によって感じる大きさが異なります。また、時間的な音の強さの変化に対する感じ方も非線形です。
類似点
人間の知覚特性への対応
どちらも、物理的な信号の特性を、人間の目や耳の非線形な知覚特性に合わせて調整する技術です。
非線形な変換
信号をリニアな特性から非線形な特性へと意図的に変換する処理を行います。
より自然な表現
補正を行うことで、人間にとってより自然で、情報が豊かに感じられるような表現を目指します。
規格化の重要性
再生環境による差異を少なくし、制作者の意図した見え方・聞こえ方をなるべく忠実に再現するために、業界内で規格化が進められています。

【関連用語】
1. dB (デシベル)
音圧レベルを示す単位で、人間の聴覚に対する音の大きさを対数で表します。
2. VU (Volume Unit)
音声信号のレベルを示す単位で、特定のインピーダンスを持つ回路における電圧または電力レベルを測定するために使用されます。
3. Hz (ヘルツ)
周波数の単位で、音の高さ(低音・高音)を表します。
4. サンプリングレート (Sampling Rate)
デジタル音声において、1秒間に音の波形をサンプリングする回数を示す単位(例:44.1kHz)。数値が高いほど、元の音に近い音質が得られます。サンプリング周波数とも言います。
5. ビット深度 (Bit Depth)
デジタル音声において、各サンプリング点の音の振幅を何段階で表現するかを示す単位(例:16bit、24bit)。数値が高いほど、ダイナミックレンジが広がり、より細やかな音量表現が可能になります。