E.E.A.T.がもたらす情報の偏り:ブログの声はなぜ届かないのか
- Tomizo Jinno

- 2024年9月16日
- 読了時間: 3分
更新日:11月22日
なぜ最近、ブログ記事が検索で見つからないのか
近年、Google の検索結果には、一般のブロガーによる記事がほとんど表示されなくなりました。特に医療や法律などの専門性が高い分野では、個人による情報はまったく表示されず、ほとんどが公的機関や専門家(資格取得職業者)の記事です。その背景には、Google が重視している「E-E-A-T」の概念があることはよく知られています。
Google が重視する E-E-A-T とは
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
Experience(経験)
これらは、より信頼性の高い情報をユーザーに届けるための重要な指標として評価されています。特に医療や金融など、誤った情報が社会的に大きな影響を及ぼす分野では、高い評価基準が適用されます。
E-E-A-T の考え方自体は情報の品質向上に大いに貢献しています。一方で、その影響により、体験談や一般ユーザーの声など、生活者視点の情報にアクセスしづらくなっているという課題も生まれています。
本当に知りたい「生の体験談」にたどり着きにくい現状
例えば「多焦点眼内レンズ 体験談」などで検索すると、上位に表示されるのは多くの場合、医療機関が運営するサイトや専門家が監修した記事です。これらの情報は信頼性が高い一方、「実際に治療を受けた人のリアルな声」を探したい人にとっては、少し物足りないこともあります。
患者や利用者のリアルな経験は、数字や理論だけでは伝わらない価値があります。しかし現状では、そうした声が埋もれ、ユーザーが自分の状況に近い情報を見つけることは極めて困難です。
ブログには「権威」はなくても「価値」はある
個人ブログや生活者の発信には、専門性や権威性という意味での評価は高くありません。しかし、実際の経験や生活者の視点が社会に必要であることは確かです。
多様な意見や体験がインターネット上に存在することで、情報は補完され、より立体的で客観的な理解につながります。公式情報や専門家の意見と、個人の体験談は、本来どちらか一方が優れているというものではなく、相互に役割や価値が異なる存在なのです。
求められるのは「信頼性」と「多様性」の両立
E-E-A-T に基づいた検索品質は今後も重要であり続けるでしょう。しかし同時に、個人の声や少数派の視点にも適切にアクセスできる検索環境を維持することも大切です。
情報の信頼性と多様性を両立させるために、以下のような取り組みが望まれます。
今後に期待される取り組み例
アルゴリズムの透明性や説明責任の向上
多様な情報源――たとえば体験談やユーザー投稿など――の価値を再評価し、検索結果に適切に反映させる仕組みづくり
ユーザーのフィードバックを活かし、検索ニーズの多様化に対応できる設計
おわりに
検索エンジンの目的は、信頼できる情報を届けることだけではありません。ユーザーが知りたい形で、知りたい情報にたどり着けるようにすることです。
専門的な情報が信頼性を支えるなら、個人の声は共感や実感を支える――それぞれに固有の役割があります。双方が共存できる環境が整っていくことが、豊かな情報社会につながるはずです。

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【執筆者】
本記事は名古屋を中心とする地域の企業や団体の、BtoBビジネス分野の映像制作を専門に、プロデューサー/シナリオライター歴35年、ディレクター/エディター歴20年のキャリアをもつ株式会社SynAppsの代表が、映像制作を外注しようと考えている企業担当者に参考になるよう、参考情報を提供し、合わせて業界の後進のために、映像制作をビジネスとして営む上での知識や考え方、知っておくべきビジネス常識を綴る「名古屋映像制作研究室」の記事です。




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