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映像制作の契約と見積もりの流れ|シナリオで仕様を明確化する方法

映像制作契約の現状と課題


近年、映像制作業界ではようやく契約書を交わすことが定着してきました。特に、初めて取引する企業や面識のない業者に制作を依頼する場合、制作内容や金額の齟齬を防ぐため、書面でのエビデンスを残すことが重要だからです。

しかし実際には、広告代理店との取引で多く見られるのは以下のパターンです。

  • 書面上では契約済み

  • 実際の作業内容は受注後に調整

これは、映像ソフトというプロダクトの特性によるものです。



映像制作の契約方法:契約書と発注書の違い


映像制作契約には主に2種類あります。


  1. 契約書(正式契約)

    • 内容:制作内容・金額・納期など詳細を正確に記述

    • 利用シーン:初めて取引する場合、信頼関係が未確立の場合

  2. 発注書(覚書)

    • 内容:納品物の名称・金額・納期のみ

    • 利用シーン:継続取引、信頼関係がある場合


初めて映像制作会社に依頼する場合は契約書を用意することが推奨されます。



映像制作における「仕様」の定義


工業製品やコンピュータソフトには標準化された仕様がありますが、映像制作には標準仕様がありません。では、映像ソフトの要件(仕様)はどのように定めればよいのでしょうか。


設計図を読み取って計算している様子


シナリオが映像制作の要件定義になる


映像制作における「シナリオ」は、以下を文字で整理した書類です。

シナリオを読むことで、「何を撮るのか」「どう撮るのか」「イラストか実写か」「動きはあるか」などの情報が時系列で把握できます。

弊社の考え方は次の通りです。

「お客様がシナリオを読んで思い描く映像が期待に沿うようにシナリオを書き、その期待を上回る映像を納品する」


シナリオを仕様化して見積もりを作る


シナリオをもとに、制作に必要な項目を洗い出します。

  • 撮影日数

  • 準備資材

  • 編集技術


ここには経験的な主観が入ります。「この撮影には1日必要」「この編集には時間がかかる」といった計算は、経験や映像の品位によって変動します。

その上で、想定した仕様に基づき単価を積算し、見積書を作成します。経験豊富なプロデューサーが作ると、見積もりは大きくぶれません。



シナリオ作成には費用がかかる


映像制作契約のプロセスには明確な矛盾があります。

  • シナリオがないと仕様が決まらない

  • 仕様が決まらないと見積もりが作れない


しかし、見積書にはシナリオ作成費用の項目があるのです。シナリオは建築の設計図に近く、作成には1~2週間かかる場合があります。10分程度の映像のシナリオ作成費は、10〜20万円が相場です。

しかし契約前にシナリオを提出し、発注が見送られるとプロダクションにとって損失になります。そのため、広告業界では「金額と納期だけ決めて制作に取り掛かる」という習慣が根付いています。




  • クライアント:「見積書がなければ発注の可否を判断できない」

  • プロダクション:「シナリオがなければ見積書は作れない」


この永遠の課題を、弊社がどのように解決しているかはお問い合わせいただければご説明します。


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【執筆者プロフィール】

株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。(2025年11月現在)

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