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映像制作会社の知られざる実相

「映像制作」と聞いて、あなたはどんな映像を思い浮かべるでしょうか?


「映像制作の仕事をしています」と人に話すと、「テレビのお仕事ですか?」「アニメを作っているんですか?」「映画は作らないんですか?」といった質問をよく受けます。しかし、私たちの主要なフィールドである「B2B映像」という分野を思い浮かべる方は、ほとんどいらっしゃいません。



公開されない映像が基本だった時代


私たちB2B映像制作者の仕事は、近年こそウェブでの公開が増えましたが、ほんの10年ほど前までは、一般の方々(制作意図の対象外の人)の目に触れることはまずありませんでした。映像制作者が皆、「テレビで放送されたい」と願っているわけではありません。むしろ、「一般大衆向けではない」ことに誇りを感じているクリエイターもいるのです。



テレビ、アニメ、映画。確かにそれらも手掛けました


実は、行政が市民向けにPRする特番や、教育用のアニメーションビデオ、フィルムで撮影する広報映画など、テレビ、アニメ、映画の制作に携わった経験はあります。制作を一式請け負ったことも少なくありません。ではなぜ「テレビの仕事ですか?」と聞かれても「違います」と答えるのか。それは、そうした仕事は私たちの幅広い制作活動のごく一部に過ぎず、「そればかりではない」という説明が難しいからです。



「企業の映像を作っています」と答えると…


「企業の映像を作っています」と答えると、多くの場合、相手の方は途端に興味を失ったような表情になり、話題を変えようとします。そこで「時々テレビCMを作ることもありますよ」と付け加えると、「え!?どこのCMですか?」と食い入るように質問されます。有名企業の名前を挙げれば会話は弾み、放送量の多いCMの話をすれば、さらに根掘り葉掘り聞かれることもあります。逆に、あまり知られていない企業や商品のCMの話をすると、相手の視線が泳ぎ始め、「話題を変えなければ」と感じているのが伝わってきます。



テレビ=メジャー、プロという誤解


テレビ番組やCM、映画の映像を作る人には「メジャーな存在」「プロフェッショナル」という先入観が根強くあるようです。そして、私たちのように一般企業向けにビジネス目的で制作する、メディアに載らない映像を手掛ける者(会社)は、マイナーで、せいぜいセミプロと見なされがちです。一般の方々のこうした認識は、実情を知らないゆえに仕方ないと諦めていますが、しかし、今は「メディアに載る映像=素晴らしい映像」とは決して言えません。



その道のプロは密かに仕事を続けている


映像に限らず、どんな分野にも専門技能を要する様々な職業があり、そこには熟練のプロフェッショナルが存在します。しかし、そうした業界で優れた仕事をしている人が皆、世間に知られているわけではありません。むしろ、世間には全く知られていない人が、誰よりも卓越した仕事をしていることは多々あります。同様に、映像の世界でもメディアに取り上げられることのない場所で、驚くほど素晴らしい作品を生み出しているクリエイターが数えきれないほど存在します。



実績作品を吟味する重要性


私から切に願うのは、ご自身の会社や仕事のPRのために映像制作を検討される際には、そのクリエイター(プロデューサー、シナリオライター、ディレクター)が手掛けた映像を、ご自身の目でしっかりと確かめてから、「この作品を作った人になら任せられる」と判断していただきたいということです。「テレビ番組を作っている会社だから安心だろう」「テレビCMを作っているから大丈夫だろう」といった先入観に囚われず、そのクリエイターが実際に制作した映像を見て、「これほどのものを作れるなら信頼できる」と判断してください。

ご自身の価値観で構いません。映像の良し悪しを自分で責任を持って判断しない限り、B2B映像においては、制作会社から心から満足できる映像が納品されることは難しいでしょう。それがこの世界の現実なのです。

「映像制作」と聞いてどんなジャンルの映像を思い浮かべますか?
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