なぜ「戻るボタンのないアプリ」が完成したのか
- 神野富三

- 13 時間前
- 読了時間: 3分
数年前、私はスマートフォンアプリの制作を外部に発注したことがあります。
完成した試作版を触っていて、あることに気づきました。
「戻るボタンがない」
前の画面に戻る方法が、どこにも存在しなかったのです。
バグではありません。仕様でした。
要件に書いていないものは、作られない
この問題を開発会社に伝えたところ、返ってきた答えはシンプルでした。
「その機能は要件定義書に含まれていません」
つまりこういうことです。
要件に書いていないものは、作られない。
これはソフトウェア開発では、ごく当たり前のルールです。
発注者が「想像しきる」ことはできるのか
私は要件定義書をかなり丁寧に作ったつもりでした。
このボタンを押したらこうなる
この機能を使うとこういう結果になる
できる限り細かく想像して書き出しました。
それでも、「戻る」という基本的な操作が抜け落ちていた。
ここで一つの疑問にぶつかります。
そもそも、素人がすべてを想定することは可能なのか?
答えは、ほぼ不可能です。
なぜこの問題が起きるのか(答えは予算)
開発の専門家に聞くと、この話は珍しくないそうです。
理由は明確で、
予算が限られているからです。
十分な予算があれば
専門家が要件を整理し
抜け漏れを洗い出し
ユーザー体験まで設計する
といった工程が入ります。
しかし予算が限られている場合、
👉「書かれた要件を、正確に実装する」
ここまでが契約になります。
結果として、
想定漏れ=そのまま欠陥になる
という構造が生まれます。
実は、映像制作でも同じことが起きている
この経験は、映像制作の現場にもそのまま当てはまります。
従来の映像制作では、
「売上を伸ばしたい」
「応募者を増やしたい」
といった抽象的な目的だけでプロジェクトが進むことも珍しくありませんでした。
その場合、制作側が現場で調整しながら、必要な要素を補っていきます。
いわば「暗黙の補完」です。
低予算化で変わった「前提」
しかし最近は状況が変わっています。
30万〜50万円といった低予算の案件も増え、
すべてを“現場で吸収する”ことが難しくなっています。
その結果どうなるか。
要件にないものは、やはり実装されません。
これはソフトウェア開発と同じです。
低予算案件で失敗しないために必要なこと
ではどうすればいいのか。
結論はシンプルです。
事前のすり合わせを、曖昧にしないこと。
具体的には
誰に向けた映像か
何を達成すれば成功か
どこまでを制作範囲とするか
ここを言語化して、双方で合意しておくことです。
「あとから追加」は、なぜ追加費用になるのか
制作の途中でよく起きるのが
「やっぱりこうしたい」
「この機能も入れたい」
という変更です。
しかしこれは、制作側からすると
👉 新しい要件の追加
になります。
限られた予算の中では、
追加費用なしで対応することは困難です。
まとめ
要件に書いていないものは作られない
すべてを事前に想定するのは難しい
だからこそ「予算」と「設計」が重要になる
これはソフトウェアだけでなく、映像制作でも同じです。
低予算であればあるほど、
「何を作るか」ではなく「どこまで作るか」
この線引きが、結果を大きく左右します。
映像制作のご相談について
当社では、制作に入る前の段階で
目的の整理
要件の言語化
実現可能な範囲の明確化
を重視しています。
「どこまでできるのか分からない」という段階でも問題ありません。構想レベルから一緒に整理していきます。

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