動画・映像制作用語辞典 | 名古屋映像制作研究室
逆シュート
「逆シュート」とは、ビデオカメラのシュートボタンを押したつもりが実は押せていなくて、しばらく経ってから「録画を停止しよう」と思ってボタンを押したら、その時に初めて録画が開始されるという状況です。
サッカーのオウンゴールのことではありません。カメラマンが起こす、まさにミステイクです。
逆シュートをすると、録画データには、本来無用な映像(よく映っているのは揺れ動く地面とバカな話をしている声)がだらだらと記録されていることになります。
このことにすぐに気づけばリテイクすれば良いのですが、
①「悲劇」は、OKと思って次の場所まで移動して、次のシーンを撮影しようとシュートボタンを押した時に、初めて「やってしまった!!」と気づくパターンです。
②さらに「最悪」は、これを何度も繰り返した挙句に、ようやく気付いた場合です。
③そして「惨劇」は、逆シュートを繰り返した挙句、気づかぬ間に正常なシュートに戻っていた場合です。
③は、1日のロケを終えて、プレビューしながら録画記録を書いている時に気づくパターンです。現場で録再チェックをしなかったという、あってはいけない不祥事ですが、これが案外やってしまうことでした。苦労してアレンジしたロケ先や、出演者があるロケだった場合には、被害は甚大でした。
テープ時代には誰もが一度は経験しました。
不幸中の幸いにも現場で気付いたカメラマンが、冷や汗を流しながら、こっそりプレビューする様子を想像してみてください。ディレクターに告白する勇気を讃えてください。
どうして最近は、この「逆シュート」という言葉を聞かなくなったのでしょうか。シュートボタンの機構とファインダーが改善されたのでしょう。

【関連用語】
撮影現場でのミステイク事例
1. 音声取り忘れ
カメラは回っているのに、音声さんがヘッドフォンを外していたり、レベルを上げ忘れたり。特に屋外でのインタビューで風の音しか録れていなかった時の絶望感は格別です。
2. フォーカス・カメラワーク系
「ピンボケ撮影」は今でもあります。オートフォーカスを過信して、肝心な瞬間にピントが迷子になったり。「手ブレ地獄」も、長時間の手持ち撮影で疲れてきた時によくやります。
3. 設定ミス
「ホワイトバランス間違い」で全部青っぽくなったり、「シャッタースピード設定ミス」でカクカクした映像になったり。デジタル時代になって設定項目が増えた分、新しいミスも生まれています。
4. 物理的ミス
「バッテリー切れ」「メモリー不足」は現代の新しい悩み。「レンズキャップ付けっぱなし」は今も昔も変わらぬ初歩的ミス。
5. 証拠隠滅系
「間違って消去」。特に「全部消去」ボタンを押してしまった時の、時が止まる感覚。