名古屋市のスポーツ振興の現状と課題 |映像制作会社からの提案
- Tomizo Jinno

- 7月8日
- 読了時間: 30分
更新日:10月11日
はじめに
名古屋市は中部地方の中核都市として産業、文化、教育の拠点としてだけでなく、スポーツ振興においても重要な役割を担っています。
近年、健康寿命の延伸、地域コミュニティの活性化、経済効果の創出といった観点から、スポーツの持つ多面的な価値が再認識され、地方自治体においてもスポーツ振興は重要な政策課題の一つとして位置づけられています。
名古屋市においても、市民の健康増進、競技力向上、スポーツを通じた地域活性化を目指し、様々な施策が展開されてきました。特に、2026年には愛知県・名古屋市を中心に「第20回アジア・アジアパラ競技大会」の開催を控えており、これに向けたスポーツインフラの整備や市民のスポーツ意識の向上といった機運が高まっています。しかしながら、その一方で、高齢化の進展、ライフスタイルの多様化、スポーツ施設の老朽化など、様々な課題も顕在化しています。
本レポートでは、名古屋市におけるスポーツ振興の現状について、施設整備、市民スポーツの推進、競技スポーツの振興、地域連携の観点から詳細に分析いたします。その上で、現在名古屋市が抱える課題を抽出し、持続可能なスポーツ振興策のあり方を探り、名古屋の映像制作会社、株式会社SynAppsがが映像制作の力でできる貢献策を提案します。

1. 名古屋市におけるスポーツ振興の現状
名古屋市は、市民の誰もが生涯にわたってスポーツに親しむことができる環境を整備するため、多岐にわたる取り組みを進めています。
1.1 スポーツ施設の整備・充実
スポーツ振興の基盤となるのは、市民が気軽に利用できるスポーツ施設の存在です。名古屋市は、多様なニーズに応えるべく、総合型体育館、屋内・屋外プール、テニスコート、野球場、陸上競技場など、市内各所に公立のスポーツ施設を整備しています。
・主な公立スポーツ施設
日本ガイシスポーツプラザ(名古屋市総合体育館)
国際規模の大会も開催可能なメインアリーナ、プール、トレーニング室などを有する総合施設であり、市民の利用も活発です。2026年アジア競技大会の会場の一つとしても活用される予定です。
パロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市瑞穂公園)
陸上競技場、ラグビー場、野球場、テニス場などを擁する広大なスポーツ公園です。特に瑞穂公園陸上競技場は、名古屋グランパスエイトのホームスタジアムとしても知られ、サッカーJリーグの試合が開催されるほか、陸上競技の大会にも利用されています。改修工事が進められており、アジア競技大会のメイン会場の一つとなる予定です。
名古屋市体育館
市内各区に設置されており、地域住民の身近なスポーツ拠点として機能しています。バドミントン、卓球、バスケットボールなどの屋内スポーツを中心に、様々な種目で利用されています。
その他
市内には他にも、市民プール、テニスコート、ゴルフ場(庄内川ゴルフ倶楽部)など、多種多様なスポーツ施設が点在しており、市民のスポーツ活動を支えています。
・施設の利用状況と課題
これらの施設は、市民に広く利用されていますが、一方で利用時間の集中、老朽化による改修の必要性、特定の種目への偏りといった課題も抱えています。特に、都心部に近い施設や人気のある施設では予約が取りにくい状況が見られます。また、利用料金の適切性も、市民の利用促進を考える上で重要な要素です。
1.2 市民スポーツの推進
名古屋市は、市民が日常生活の中でスポーツに親しむことができるよう、様々な機会を提供しています。
▷主な取り組み
スポーツ教室の開催
各スポーツセンターや体育館では、子どもから高齢者までを対象とした多種多様なスポーツ教室が開催されています。水泳、ヨガ、エアロビクス、球技など、レベルや年齢に応じたプログラムが提供されており、市民のスポーツ参加を促進しています。
健康づくりイベントの実施
ウォーキングイベント、体力測定会、ラジオ体操など、気軽に健康づくりに取り組めるイベントを定期的に開催しています。これらのイベントは、運動習慣のない市民がスポーツを始めるきっかけとなることを目指しています。
総合型地域スポーツクラブの育成・支援
地域住民が主体となり、多世代・多志向に対応したスポーツ活動を展開する「総合型地域スポーツクラブ」の育成を支援しています。これにより、地域に根差したスポーツ活動の拠点づくりと、市民の主体的な参加を促しています。名古屋市内には複数の総合型地域スポーツクラブが活動しており、地域コミュニティの活性化にも貢献しています。
スポーツ情報の提供
市のウェブサイトや広報誌、SNSなどを通じて、スポーツイベント情報、施設情報、健康づくりに関する情報などを積極的に発信しています。
▷市民スポーツ推進における課題
市民スポーツの推進においては、参加者の固定化、運動習慣のない層へのアプローチの難しさ、ボランティア人材の確保、情報発信の強化などが課題として挙げられます。特に、共働き世帯や子育て世代など、時間的制約のある層へのスポーツ機会の提供は今後の検討課題です。
1.3 競技スポーツの振興
名古屋市は、市民の競技力向上を支援するとともに、プロスポーツチームや実業団チームの活動を後押しし、スポーツ文化の醸成にも力を入れています。
▷主な取り組み
プロスポーツチームとの連携
・名古屋グランパスエイト(Jリーグサッカー)
ホームタウン活動を通じて、地域の子どもたちへのサッカー教室開催や、市民へのサッカー観戦機会の提供など、地域貢献活動を活発に行っています。市は、ホームゲームでの広報活動支援や、練習施設の利用に関する協力などを行っています。
・中日ドラゴンズ(プロ野球)
長年にわたり名古屋を本拠地とし、多くの市民に愛されています。市は、ナゴヤドーム(バンテリンドーム ナゴヤ)周辺の環境整備や、市民球場など公共施設の提供を通じて、球団の活動を支援しています。
・その他
バレーボールのジェイテクトSTINGS、バスケットボールの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、B.LEAGUE所属のシーホース三河(ホームアリーナは安城市ですが、名古屋市内でも試合開催実績あり)、バスケットボールの豊田合成スコーピオンズなど、多くの実業団チームが地域に根ざした活動を行っています。市は、これらのチームが地域との交流を深めることを奨励し、イベント開催への協力や広報支援などを行っています。
競技団体への支援
各種目の競技団体に対し、大会開催補助や選手育成補助などを行っています。これにより、アマチュアスポーツの振興と競技レベルの向上を支援しています。
優秀選手・指導者の育成
若手選手の育成プログラムや、指導者向けの研修会などを通じて、名古屋から将来のオリンピック選手やトップアスリートを輩出するための基盤づくりを進めています。
▷競技スポーツ振興における課題
競技スポーツの振興においては、特定競技への支援の偏り、若年層の競技離れ、指導者不足、活動資金の確保などが課題として挙げられます。また、プロスポーツチームとの連携強化や、地域におけるスポーツ観戦文化のさらなる醸成も重要です。
1.4 スポーツを通じた地域連携・地域活性化
スポーツは、地域住民の連帯感を醸成し、地域経済を活性化させる重要な要素です。名古屋市は、スポーツイベントの開催や地域コミュニティとの連携を通じて、地域活性化に取り組んでいます。
▷主な取り組み
大規模スポーツイベントの誘致・開催
・名古屋ウィメンズマラソン
世界最大級の女子マラソンとして国際的にも高い評価を得ており、国内外から多くのランナーが参加します。これにより、名古屋市の国際的な知名度向上、観光客誘致、経済効果に大きく貢献しています。
・名古屋シティマラソン
市民ランナーが参加しやすいハーフマラソンやクォーターマラソンの部を設け、幅広い層の市民にランニングの機会を提供しています。
・2026年アジア競技大会・アジアパラ競技大会
2026年に開催されるアジア競技大会・アジアパラ競技大会は、名古屋市にとって歴史的なイベントとなります。これに向けて、競技会場となる施設の改修・新設、交通インフラの整備が進められています。また、大会の成功に向けて市民ボランティアの募集や、開催機運を盛り上げるための広報活動が展開されています。この大会は、名古屋市のスポーツインフラの向上だけでなく、市民のスポーツ意識の醸成、国際交流の促進、経済効果の創出といった多大な波及効果が期待されています。
地域スポーツイベントの支援
各区や地域の住民が主催する小規模なスポーツイベントや大会に対し、広報支援や一部補助金制度を設けることで、地域に根差したスポーツ活動を活性化しています。
スポーツツーリズムの推進
大規模スポーツイベントと連携し、名古屋市の観光資源をPRすることで、スポーツ観戦と観光を組み合わせたスポーツツーリズムの推進を図っています。
▷地域連携・活性化における課題
地域連携・活性化においては、大規模イベント開催時の交通混雑や宿泊施設不足への対応、イベント後のレガシー形成、地域住民の主体的な参画の促進、スポーツを核とした新たな地域ブランドの確立などが課題として挙げられます。
2. 名古屋市におけるスポーツ振興の課題
これまでの現状分析を踏まえ、名古屋市におけるスポーツ振興が現在直面している主要な課題を深掘りします。
2.1 スポーツ施設の老朽化とアクセシビリティ
名古屋市が保有する公立スポーツ施設には、建設から相当の年数が経過し、老朽化が進んでいるものが少なくありません。
▷老朽化の影響
安全性への懸念
設備の劣化は、利用者の安全性を脅かす可能性があります。定期的な点検や補修は行われているものの、大規模な改修や建て替えが必要な時期を迎えている施設もあります。
機能性の低下
最新のスポーツニーズに対応できない設備やレイアウト、バリアフリー化の遅れなど、施設の機能性が低下しているケースが見られます。例えば、トレーニングルームの機器が旧式である、更衣室やシャワーの設備が不十分であるといった声も聞かれます。
維持管理コストの増大
老朽化が進むにつれて、修繕費用や光熱費などの維持管理コストが増大し、市の財政を圧迫する要因となります。
▷アクセシビリティの課題
地理的偏在
市内全域にスポーツ施設が点在しているものの、交通の便が良い場所や住宅密集地に近い場所に集中している傾向があり、公共交通機関でのアクセスが困難な地域や、車がないと利用しにくい場所も存在します。これにより、一部の市民にとってはスポーツ施設へのアクセス自体が障壁となっています。
時間的制約
市民のライフスタイルが多様化する中で、早朝や夜間、休日など、特定の時間帯に利用が集中し、予約が取りにくい状況が常態化しています。また、仕事や家事、育児などで時間的制約の多い層にとっては、利用可能な時間帯が限られることがスポーツ参加の妨げとなっています。
ユニバーサルデザインの不足
高齢者、障がい者、乳幼児連れの保護者など、多様な利用者が安心して快適に利用できるようなユニバーサルデザインが十分に配慮されていない施設も存在します。スロープや手すりの設置、多機能トイレの整備、分かりやすい案内表示など、改善の余地がある施設が見られます。
2.2 市民のスポーツ参加率向上への挑戦
名古屋市は市民のスポーツ参加を促すための様々な施策を行っていますが、依然として運動習慣のない層が存在し、その参加率向上は大きな課題です。
▷課題の要因
運動への意識の低さ
「運動は苦手」「時間がない」「何をすればよいかわからない」といった理由で、スポーツへの関心が低い市民が一定数存在します。健康への意識は高くても、具体的な行動に移せないケースが見られます。
ライフスタイルの多様化と時間的制約
共働き世帯の増加、長時間の勤務、育児や介護など、現代社会における市民のライフスタイルは多様化しており、スポーツに費やす時間を確保することが難しい現状があります。特に、通勤時間や家事・育児に追われる世代にとっては、スポーツ活動への参加は後回しになりがちです。
情報提供の不足とマッチングの難しさ
どのようなスポーツが自分に合っているのか、どこで活動できるのか、といった情報が十分に届いていないケースがあります。また、スポーツ経験の有無や体力レベルに応じた適切なプログラムや活動場所を見つけることが難しいと感じる市民もいます。特に、初心者やブランクがある人にとっては、最初の一歩を踏み出すハードルが高いと感じられることがあります。
参加への経済的障壁
スポーツ施設の利用料金やスポーツ教室の受講料、用具代などが、一部の市民にとって経済的な負担となり、参加を諦める要因となることがあります。
2.3 競技力向上と次世代育成の課題
名古屋市からは、過去に多くの優秀なアスリートが輩出されていますが、競技力のさらなる向上と次世代を担うアスリートの育成には、依然として多くの課題が存在します。
▷課題の要因
指導者不足と質の格差
専門的な知識と経験を持つ指導者の数が限られていること、また、指導者間の質のばらつきが大きいことが課題です。特に、若年層の指導においては、競技力だけでなく、人間形成も重視されるため、高い資質が求められます。
練習環境の不備
特定の競技においては、十分な練習施設や時間、適切な環境が確保されていないケースが見られます。例えば、専用の練習場がない、他団体との併用で時間が限られる、最新のトレーニング機器が不足している、といった問題です。
競技人口の減少
少子化の影響もあり、一部の競技では若年層の競技人口が減少傾向にあります。これにより、将来の競技レベルの低下が懸念されます。
学業との両立支援
アスリートを目指す子どもたちにとって、学業との両立は大きな課題です。部活動の時間的制約や、専門的な指導を受けられる機会の少なさなどが、学業と競技の両立を困難にしています。
一貫指導体制の不十分さ
小・中・高・大学、そして社会人と、競技レベルの段階に応じた一貫性のある指導体制が十分に構築されていない場合があります。これにより、有望な選手が途中で競技を断念してしまうケースが見られます。
資金調達の難しさ
アマチュアの競技団体や個人のアスリートにとって、遠征費、用具代、コーチング料など、活動資金の確保は常に大きな課題です。
2.4 スポーツと地域コミュニティとの連携強化
スポーツは地域コミュニティの活性化に大きく貢献する可能性を秘めていますが、現状ではそのポテンシャルを十分に引き出せていない側面があります。
▷課題の要因
市民参加の促進と主体性の欠如
地域で開催されるスポーツイベントや活動において、一部の地域や参加層に偏りが見られ、幅広い市民の参加を促すことができていない場合があります。また、行政主導のイベントが多く、地域住民が主体的に企画・運営に参加する機会が不足していることも指摘されます。
総合型地域スポーツクラブのさらなる普及と機能強化
名古屋市内には総合型地域スポーツクラブが複数存在しますが、その数や規模は、市民の多様なニーズをカバーするにはまだ十分とは言えません。また、クラブ運営における人材不足や資金面での課題も存在します。
企業・団体との連携不足
地域企業や大学、NPO法人など、様々な団体がスポーツ振興に関わる可能性を持っていますが、これらの連携が十分に図られていないケースが見られます。特に、企業の社会貢献活動(CSR)としてスポーツ振興を位置づける動きは加速していますが、具体的な連携事例はまだ限定的です。
スポーツを通じた地域課題解決への貢献
スポーツが持つ健康増進、教育、経済効果といった側面だけでなく、例えば高齢者の孤立防止、青少年の健全育成、地域活性化といった社会課題の解決にどのように貢献できるかという視点が、まだ十分に浸透していない場合があります。
2.5 2026年アジア競技大会後のレガシー形成
2026年のアジア競技大会は、名古屋市にとって大きなチャンスであると同時に、大会終了後のレガシーをいかに形成していくかという重要な課題を内包しています。
▷課題の要因
施設の有効活用
大会のために新設・改修される競技施設が、大会後も継続的に市民に利用され、有効活用されるかどうかが課題です。維持管理費の増大、利用者の減少などが懸念されます。
高揚感の維持
大会開催に向けて高まる市民のスポーツへの関心や、地域の一体感が、大会終了後に低下してしまう可能性があります。いかにしてこの高揚感を維持し、市民のスポーツ活動へつなげていくかが重要です。
人材の活用
大会運営を通じて育成されるボランティアや専門人材のノウハウが、大会終了後も地域スポーツの振興に活用されるような仕組みづくりが求められます。
経済効果の継続
大会期間中に期待される経済効果を、大会後も継続的に名古屋市の経済発展につなげていくための戦略が必要です。スポーツツーリズムのさらなる推進や、スポーツ関連産業の育成などが考えられます。
国際交流の継続
大会を通じて生まれる国際的なネットワークや交流を、大会後も継続的に発展させていくための取り組みが必要です。
3. 今後のスポーツ振興における展望と提言
名古屋市が持続可能なスポーツ振興を実現し、市民の健康と幸福、地域の活性化に貢献していくためには、これまでの課題を踏まえた上で、戦略的な取り組みを推進していく必要があります。
3.1 スポーツ施設の戦略的再編とユニバーサルデザイン化の推進
老朽化対策とアクセシビリティ向上を両立させるため、中長期的な視点に立ったスポーツ施設の戦略的再編計画を策定すべきです。
老朽化施設の改修・建て替え計画の推進
施設の優先順位付けを行い、計画的な改修や建て替えを進めることで、安全で機能的な施設環境を確保します。この際、単なる修繕に留まらず、省エネ化やデジタル化など、将来を見据えた改修を行うことが重要です。
多機能化・複合化の推進
限られた敷地を有効活用するため、体育館とプール、トレーニング室、コミュニティスペースなどを複合化した施設整備を進めることで、多様なニーズに対応し、利用者の利便性を向上させます。
ユニバーサルデザインの徹底
すべてのスポーツ施設において、高齢者、障がい者、乳幼児連れの利用者など、誰もが安全かつ快適に利用できるよう、スロープ、手すり、多機能トイレ、エレベーター、分かりやすい案内表示などのユニバーサルデザインを徹底します。これにより、利用者の裾野を広げます。
民間活力の導入とPFI/DBO方式の検討
公共施設の運営において、民間企業のノウハウや資金を活用するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)やDBO(デザイン・ビルド・オペレート)方式の導入を積極的に検討することで、効率的な施設運営とサービスの質の向上を図ります。
ICTを活用した利用促進
施設の予約システムをオンライン化し、スマートフォンなどから簡単に予約・確認ができるようにすることで、利用者の利便性を高めます。また、リアルタイムでの施設利用状況の表示や、空き状況に応じた割引制度の導入なども検討すべきです。
3.2 市民のスポーツ参加を促す多角的なアプローチ
市民一人ひとりが、それぞれのライフスタイルや体力レベルに合わせてスポーツに親しめるよう、よりきめ細やかなアプローチが必要です。
▷「スポーツを始めるきっかけ」の創出
初心者向けプログラムの拡充
運動経験の少ない層や、体力に自信のない層を対象とした、ウォーキング、軽体操、ストレッチなど、気軽に始められるプログラムを充実させます。専門家による個別相談会や、体験型のイベントを増やすことも有効です。
オンライン・デジタルコンテンツの活用
自宅で手軽にできる運動プログラムをオンラインで配信したり、フィットネスアプリとの連携を図ったりすることで、時間や場所に縛られずに運動できる環境を提供します。
企業・職場と連携したスポーツ促進
企業内での健康経営を促進するため、企業内でのスポーツ活動や健康イベントの実施を支援する制度を設けます。昼休みや就業後の時間を利用した運動機会の提供を促します。
▷多様なニーズに応じたプログラム開発
子育て世代向けプログラム
親子で一緒に参加できるスポーツ教室や、託児サービス付きのプログラムを開発し、子育て中の保護者もスポーツを楽しめる環境を整備します。
高齢者向けプログラム
健康寿命の延伸を目指し、転倒予防、認知症予防に特化した運動プログラムや、地域住民との交流を目的としたレクリエーションスポーツを推進します。
障がい者スポーツの振興
障がい者が安心して参加できるスポーツ教室の開催、専用用具の貸し出し、指導者育成など、障がい者スポーツのさらなる普及・発展を支援します。
▷情報発信の強化とパーソナル化
「スポーツコンシェルジュ」機能の設置
市民が自身の興味や体力レベルに合ったスポーツ活動を見つけられるよう、相談窓口やウェブサイト上で、個別のニーズに応じた情報を提供する「スポーツコンシェルジュ」機能を構築します。
SNSやデジタル媒体を活用した情報発信
若年層にも響くような、魅力的なコンテンツをSNSや動画サイトで積極的に発信し、スポーツへの関心を喚起します。
地域密着型情報提供
各区の広報誌や地域の回覧板、公民館での掲示など、地域に根差した情報提供も継続し、デジタルデバイドによる情報格差を解消します。
3.3 競技力向上と次世代アスリート育成の戦略的推進
名古屋市から世界で活躍するアスリートを輩出し続けるため、競技力向上と次世代育成に重点を置いた戦略を推進します。
一貫指導体制の構築と強化
小学校から高校、大学、そして社会人へと、各年代における競技特性と発達段階に応じた一貫性のある指導体制を構築します。特に、部活動改革の動きの中で、地域の総合型クラブや競技団体が受け皿となるよう支援を強化します。
指導者の育成・確保と質の向上
専門知識に加え、スポーツ教育学やスポーツ心理学など幅広い知識を持つ指導者の育成プログラムを充実させます。指導者と選手のマッチング支援、指導者の待遇改善なども検討すべきです。
練習環境の整備と高度化
特定競技に偏らず、各競技のニーズに応じた練習施設の整備や、最新のトレーニング機器の導入を進めます。専門性の高いスポーツ科学センターとの連携も強化し、科学的なアプローチに基づくトレーニング環境を提供します。
タレント発掘と育成プログラムの強化
幼少期からの運動能力テストやスポーツ体験を通じて、将来有望なアスリートを発掘する仕組みを強化します。発掘された才能に対しては、専門コーチによる指導、栄養指導、メンタルトレーニングなど、多角的なサポート体制を構築します。
学業と競技の両立支援
アスリートのデュアルキャリア形成を支援するため、学校と連携した学習サポート、オンライン授業の活用、進路相談など、学業と競技活動を両立できる環境を整備します。
企業・大学との連携強化
地域企業や大学との連携を強化し、アスリートの雇用機会創出や、練習場所の提供、スポーツ科学研究の共同推進など、多角的なサポート体制を構築します。
3.4 スポーツを核とした地域コミュニティの創出と活性化
スポーツが持つ「人を繋ぐ力」を最大限に活用し、地域コミュニティの活性化と新たな価値創造を目指します。
▷総合型地域スポーツクラブのさらなる普及と機能強化
設立支援の拡充
新たな総合型地域スポーツクラブの設立を促すため、立ち上げ段階におけるコンサルティングや資金面での支援を強化します。
運営支援の強化: 既存クラブの安定運営を支援するため、マネジメント研修、広報支援、指導者派遣などを継続的に行います。特に、ボランティア運営に頼りがちなクラブに対し、専門的な人材育成の機会を提供します。
地域拠点としての機能強化: クラブが単なるスポーツ活動の場に留まらず、地域住民の交流拠点、健康相談の場、子育て支援の場など、多機能なコミュニティハブとなるよう促します。
▷地域イベントへの市民の主体的な参加促進
企画段階からの市民参加
地域で開催されるスポーツイベントにおいて、企画段階から市民や地域団体が参画できる機会を設け、主体性を引き出します。
小規模イベントの奨励と支援
大規模イベントだけでなく、地域で気軽に開催できる小規模なスポーツイベント(例:地域対抗の運動会、〇〇公園ウォーキング大会など)を積極的に奨励し、補助金や広報支援を行います。
企業・大学との連携による地域貢献活動
地域の企業が従業員参加型のスポーツイベントを企画・実施したり、大学が学生ボランティアを派遣したりするなど、企業・大学のCSR活動と連携した地域貢献活動を推進します。
▷スポーツを活用した地域課題解決への貢献
高齢者の健康寿命延伸
スポーツを通じて高齢者のフレイル予防、社会参加を促すプログラムを地域で展開します。地域ケア会議との連携も強化します。
青少年の健全育成
スポーツ活動を通じて、青少年の規範意識、協調性、自律性を育むプログラムを推進します。非行防止や居場所づくりにも貢献できるような活動を支援します。
防災とスポーツ
スポーツ施設が災害時の避難場所となるだけでなく、スポーツを通じて地域住民の防災意識を高めるイベント(例:防災ウォーク、防災運動会)なども検討します。
3.5 2026年アジア競技大会のレガシーを最大限に活かす
アジア競技大会の成功を単なる一時的なイベントに終わらせず、名古屋市の未来に資する恒久的なレガシーとして定着させるための戦略的な取り組みが不可欠です。
▷大会施設の継続的な有効活用
国際大会誘致の推進
アジア競技大会で整備された施設を活用し、引き続き国際的なスポーツ大会やイベントを積極的に誘致することで、施設の利用率向上と国際的な都市ブランドの確立を目指します。
市民利用の促進
大会後も市民が利用しやすい料金設定や、多様なプログラムを提供することで、施設の利用機会を拡大します。市民向けのスポーツイベントや教室の開催を強化します。
多機能利用への転換
一部の競技施設については、大会終了後にスポーツ用途以外のイベント(例:コンサート、展示会)や、企業のMICE(Meeting, Incentive Travel, Convention, Exhibition/Event)利用など、多角的な活用を検討し、維持管理費の捻出と経済効果の継続を図ります。
▷「スポーツ高揚感」の持続と「スポーツ文化」の醸成
大会記憶の継承と発信
大会の感動や興奮を後世に伝えるため、アーカイブ映像の公開、記念展示会の開催、関連資料の収集・保存を行います。
スポーツ参加習慣の定着化
大会を契機にスポーツに関心を持った市民が、継続的にスポーツ活動に参加できるようなフォローアッププログラム(例:体験会後の継続参加割引、レベルアップ講座)を提供します。
スポーツ観戦文化の醸成
プロスポーツチームとの連携を強化し、市民が気軽にスポーツ観戦を楽しめる機会を増やすとともに、学校教育におけるスポーツ観戦機会の提供なども検討します。
▷大会で培われた「人材」と「ノウハウ」の活用
ボランティアネットワークの継続活用
大会で活躍したボランティアの方々が、その後も地域スポーツイベントやNPO活動で活躍できるよう、情報提供や活動支援を行います。ボランティア経験者向けの研修や交流会を定期的に開催し、モチベーションの維持を図ります。
運営ノウハウの継承と発信
大会運営で得られた大規模イベントの企画・運営ノウハウを体系化し、将来的なイベント開催や地域スポーツの発展に活かします。他の自治体との情報共有や共同研究なども有効です。
▷スポーツを核とした新たな都市ブランドの確立
「スポーツ都市・なごや」のプロモーション強化
アジア競技大会を契機に、名古屋市が「スポーツの盛んな都市」というイメージを国内外に発信し、都市ブランドの向上を図ります。スポーツと観光を組み合わせたプロモーション戦略を展開します。
スポーツ関連産業の誘致・育成
スポーツ用品メーカー、スポーツイベント企画会社、健康関連産業など、スポーツ関連企業の誘致や、既存企業の成長を支援することで、新たな雇用創出と経済活性化を図ります。
4. 名古屋の映像制作会社 株式会社SynAppsがスポーツ振興に貢献できること
名古屋のスポーツ振興が抱える課題に対し、私たち映像制作会社は単なるプロモーションビデオ制作に留まらず、戦略的な映像コンテンツを通じて具体的な解決策を提供できます。
4.1 市民のスポーツ参加を促す「導入」と「継続」の映像コンテンツ
市民のスポーツ参加率向上や、時間的・経済的・環境的制約の解消に寄与するため、私たちは以下のような映像を企画制作します。
▷「名古屋スポーツ施設ガイド」シリーズ
名古屋市内の総合スポーツ施設、区別スポーツセンター、地域スポーツセンター、さらには主要な民間フィットネス施設や特殊スポーツ施設(ゴルフ練習場、ボウリング場、テニス施設など)をシリーズで紹介する映像を制作します。
具体的な内容: 各施設の内部の様子、利用料金体系、アクセス方法、開催されている代表的なプログラム(例:高齢者向け健康体操、子どもの水泳教室、初心者向けテニスレッスンなど)を分かりやすく解説します。利用者の声や施設スタッフのインタビューを盛り込み、施設の魅力を多角的に伝えます。
ターゲット: スポーツを始めたいがどこに行けばいいか分からない層、特定の施設に興味がある層、家族で楽しめる場所を探している層。特に、老朽化が進む公共施設については、改修後の様子やバリアフリー設備を重点的に見せることで、利用への不安を払拭します。
▷「手軽に始める!名古屋 de スポーツ」ハウツー&体験映像
ウォーキング・ジョギングコース、公園での簡単な体操、自宅でできる筋力トレーニングなど、特別な道具や場所を必要としないスポーツ活動を提案する映像です。
具体的な内容: 名古屋市内の美しい公園や、通勤途中に立ち寄れるスポットなどを背景に、正しいフォームや効果的な運動方法を実演で解説します。短い尺で飽きさせない構成とし、気軽に挑戦できる雰囲気を醸成します。市民のスポーツ参加の阻害要因である「時間がない」「費用が高い」といった声に対応した内容を盛り込みます。
ターゲット: スポーツ未経験者、忙しいビジネスパーソン、子育て中の主婦・主夫、高齢者など、手軽に運動を始めたいと考えている層。
▷総合型地域スポーツクラブ活動紹介ドキュメンタリー
各区で活動する総合型地域スポーツクラブの日常を追ったドキュメンタリータッチの映像を制作します。
具体的な内容: クラブの設立経緯、多様な世代が交流する様子、複数種目を楽しめる利点、指導者やボランティアの熱意、そして参加者の声(「仲間ができた」「健康になった」など)を丁寧に描きます。クラブの活動場所の雰囲気や、年間イベントなども紹介し、地域コミュニティとしての魅力を強調します。
ターゲット: 地域のつながりを求めている層、様々なスポーツを体験したい層、家族で参加できる活動を探している層。
4.2 競技スポーツの「見る」「支える」を強化するコンテンツ
プロスポーツチームの支援や、アマチュア競技・部活動の可視化を通じて、競技スポーツの魅力を高め、スポーツ文化を醸成する映像を制作します。
▷プロスポーツチーム「密着」シリーズ
中日ドラゴンズ、名古屋グランパス、ファイティングイーグルス名古屋、ウルフドッグス名古屋、豊田自動織機シャトルズ愛知といった名古屋のプロスポーツチームに密着し、試合の舞台裏や選手・スタッフの人間ドラマに焦点を当てた映像を制作します。
具体的な内容: 練習風景、ロッカールームでの交流、試合前後の選手インタビュー、トレーナーや裏方スタッフの仕事ぶりなど、普段見ることのできない側面を映し出します。勝利への情熱や葛藤を描くことで、ファン層のエンゲージメントを高め、新規ファン獲得にも繋げます。
ターゲット: 既存のプロスポーツファン、ライト層の観戦者、スポーツに関心のある市民。
▷「未来の星」部活動支援映像
名古屋市内の小中学校や高校の部活動に焦点を当て、学生たちの練習風景、大会での活躍、仲間との絆、指導者との信頼関係などを描く映像を制作します。
具体的な内容: 各競技の魅力や、部活動を通じて得られる成長を、生徒や顧問教員のインタビューを交えて伝えます。特に、教員の部活動指導負担や指導者不足といった課題に対し、外部指導者(部活動指導員、外部コーチ)の役割と貢献を可視化し、その重要性を啓発する映像は、人材確保にも繋がります。
ターゲット: 学生、保護者、教員、地域住民、そして将来の指導者を目指す人々。
▷「名古屋スポーツコミッション活動報告」映像
名古屋スポーツコミッションの多岐にわたる活動(国際大会誘致、市民参加型イベント、スポーツツーリズム、産業振興など)を体系的に紹介する映像を制作します。
具体的な内容: 誘致した大会の様子、イベントの企画・運営風景、プロスポーツチームとの連携事例、スポーツ産業振興の具体的な取り組み(例:企業誘致、新商品開発支援)を分かりやすくまとめます。これにより、コミッションの役割と成果を市民や企業、関係者に広く周知し、連携を促進します。
ターゲット: 市民、企業、スポーツ団体、行政関係者、観光客。
4.3 スポーツ産業の活性化と情報発信の最適化
スポーツ産業の規模拡大や人材不足、情報発信の課題に対し、映像制作会社として以下のような貢献が可能です。
▷「名古屋スポーツ産業ルポ」
市内のスポーツ用品製造業、施設運営業、サービス業、小売業など、様々なスポーツ関連企業に焦点を当てた企業紹介・業界レポート映像を制作します。
具体的な内容: 各企業の製品開発の裏側、サービスのこだわり、従業員の働きがいなどを紹介します。特に、技術力の高さや地域への貢献、新たな取り組み(例:健康経営支援サービス、デジタル技術活用)を強調することで、企業間の連携を促し、新たなビジネスチャンス創出に寄与します。人材不足に悩む企業のために、仕事の魅力を伝える採用活動向けの映像も制作可能です。
ターゲット: スポーツ業界関係者、求職者、地域企業、投資家。
▷2026年アジア競技大会「開催都市の準備」シリーズ
大会開催に向けた名古屋市の準備状況を、進行状況に応じて継続的に映像化します。
具体的な内容: 競技会場の改修工事の進捗、選手村やメディア施設の整備風景、ボランティア募集・育成の取り組み、交通・宿泊対策、セキュリティ体制の構築など、多岐にわたる準備の様子をリアルタイムで伝えます。大会組織委員会と連携し、大会の成功に向けた関係者の熱意と努力を映し出します。
ターゲット: 市民、国内外の競技関係者、メディア、潜在的な観光客。大会のレガシー創出計画も映像で具体的に示すことで、市民の期待感を高め、大会後のスポーツ文化定着に繋げます。
▷「名古屋スポーツ情報プラットフォーム」連携映像
名古屋市が推進するスポーツ情報の一元化に対応し、既存のウェブサイトやSNS、アプリと連携する形で、最新のスポーツイベント情報や施設利用案内などを分かりやすく伝える映像コンテンツを制作します。
具体的な内容: 月ごとの主要スポーツイベントカレンダー、新設・改修施設の紹介、特定のスポーツ教室の募集案内などを、簡潔で視覚的に魅力的な映像で配信します。多言語(英語、中国語、韓国語など)での字幕や音声オプションを提供し、外国人市民や観光客への情報提供を強化します。
ターゲット: 市民全般、観光客、スポーツイベント主催者。
これらの具体的な映像コンテンツを通じて、私たちは名古屋のスポーツ振興が直面する課題に対し、効果的かつ持続可能な解決策を提供し、市民一人ひとりがスポーツを楽しみ、健康で活力ある生活を送るためのサポートを強化していきます。
結びに
名古屋市は、これまで市民の健康増進、競技力向上、地域活性化に多大な貢献をしてきました。2026年のアジア競技大会の開催は、名古屋市のスポーツ振興にとって、さらなる飛躍のチャンスであることは間違いありません。
しかしながら、スポーツ施設の老朽化、市民のスポーツ参加率の伸び悩み、競技力向上と次世代育成、地域コミュニティとの連携強化、そしてアジア競技大会後のレガシー形成といった多岐にわたる課題に直面しています。
これらの課題を克服し、持続可能なスポーツ振興を実現するために、株式会社SynAppsは名古屋の映像制作会社として貢献したいと考えています。ぜひご相談ください。
【弊社プロデューサーの関連映像制作実績】
あいち健康プラザ展示映像(終了)
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【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、さまざまな業界の知見を収集・分析しながら、企業や団体が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、その産業分野ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。




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