SDGsの現状を打開する映像制作戦略
- Tomizo Jinno

- 7月27日
- 読了時間: 20分
更新日:10月11日
はじめに
2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2030年の達成期限まで残り6年となりました。17の目標と169のターゲットから成るSDGsは、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指す国際的な共通目標として、世界各国で取り組みが進められています。
日本でも政府、企業、自治体、市民社会、個人がSDGs達成に向けた努力を続けていますが、現状の進捗は多くの課題を抱えています。本稿では、日本社会におけるSDGsの現況と課題を分析し、今後の展望と必要な取り組みを考察します。特に、映像制作が意識変革と行動変容を加速させ、持続可能な社会の実現にどのように貢献できるかという戦略的な役割に焦点を当てます。名古屋の映像制作会社 株式会社SynAppsのプロデューサーは、“SDGs”に関する映像制作経験を豊富に持っており、SDGsを映像制作の力で支援します。

1. 日本のSDGs達成度の現況
1.1 国際的な位置づけと推移
国連と連携する国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が発表する最新の「Sustainable Development Report 2025」によると、日本の達成度ランキングは167カ国中19位(達成スコア80.7)となり、前年の18位から1ランク下がりました。2023年には過去最低の21位(スコア79.4%)を記録しており、日本のSDGs推進が横ばいまたは微減傾向にあることを示しています。上位を占めるのはフィンランド、スウェーデン、デンマークといった北欧諸国であり、彼らは持続可能性を社会システムの基盤として深く統合しています。
1.2 目標別達成状況の詳細分析
日本のSDGs17目標のうち、「達成済み」と判定されたのは目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のみです。これは日本の技術力やインフラの強みを示しますが、他の社会・環境課題への活用が不十分であることを示唆します。
特に深刻な課題を抱えるのは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、12「つくる責任、つかう責任」、13「気候変動に具体的な対策を」、14「海の豊かさを守ろう」、15「陸の豊かさも守ろう」の5つです。目標5と13は2016年の調査開始以来、一貫して最低評価を受けており、社会構造や文化に根差した根深い課題であることが浮き彫りになっています。
1.3 世界全体の進捗状況との比較
国連の「持続可能な開発目標(SDGs)報告2024」は、SDGsの169ターゲットのうち、順調に進んでいるのはわずか17%に過ぎず、3分の1以上が進捗停滞または後退していると警鐘を鳴らしています。COVID-19パンデミック、紛争、気候変動の悪化などが進捗を阻む主要因です 。このような世界的な停滞の中、日本の19位という順位は相対的に悪くないものの、先進国としての責任と能力を考慮すれば、より積極的な取り組みが不可欠です。
2. 深刻な課題を抱える分野の詳細分析
2.1 ジェンダー平等(目標5)の課題
日本はジェンダー平等において最も深刻な課題を抱え、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数2024」では118位、G7最下位です。国会議員の女性比率の低さや男女賃金格差が問題視され、「仕事優先、企業中心」という日本社会に根強い考え方が女性の社会進出を阻害しています。
2.2 気候変動対策(目標13)の遅れ
気候変動対策では、化石燃料燃焼による二酸化炭素排出量の多さが指摘されています。2050年カーボンニュートラルを宣言するものの、石炭火力発電への依存度が高く、再生可能エネルギー導入に遅れを取っています。政府の「やる気」の欠如やメディアの危機意識不足も指摘され、「時間軸の悲劇」を招く懸念があります。
2.3 持続可能な消費と生産(目標12)の課題
目標12では、プラスチックごみの輸出量の多さが問題です。世界全体でリサイクルされているプラスチックはわずか9%に過ぎず、日本国内の食品ロスも依然として深刻です。循環経済への転換と生産消費パターンの根本的見直しが不可欠ですが、実践例が不足しています。
2.4 海洋・陸上生態系の保護(目標14・15)
海洋環境保護では、トロール漁が海の生態系に悪影響を及ぼし、気候変動によるクラゲの異常発生や魚種の変化も報告されています。陸上生態系保護では、森林の持続可能な管理や生物多様性保全が課題です。日本は2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」を掲げています。
2.5 飢餓と食料アクセス(目標2)の課題
目標2は日本で「重要な課題がある」と評価されています。食料供給は十分でも、食品ロスと低所得者層の「食品アクセス問題」が深刻化しています。子どもの貧困対策としての「こども食堂」は増加していますが、運営資金やボランティア不足が課題です。また、生活習慣病による「過剰栄養」と、高齢者や若年女性、小中学生に見られる「低栄養」が混在する「栄養障害の二重負荷」も問題です。
3. 政府の取り組みと制度的枠組み
3.1 SDGs推進本部の設置と活動
日本政府は2016年5月、内閣総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」を設置し、政府一体でSDGs達成に取り組んでいます。定期的に会合を開き、「SDGs実施指針」の策定・改定などを行っています。
3.2 ジャパンSDGsアワードの実施
2017年からSDGs推進本部が主催する「ジャパンSDGsアワード」は、優れた取り組みを行う企業や団体を表彰し、社会全体のSDGs推進を促しています。毎年200~300件の応募があり、多様な分野の先進事例が表彰されています。
3.3 各省庁の主導的役割
経済産業省は企業のSDGs経営推進や技術革新を支援し、外務省は国際協力や日本の取り組み発信で中心的な役割を担っています。各省庁が専門性を活かしSDGs推進に取り組む体制が構築されています。
3.4 地方自治体との連携
政府は「SDGs未来都市」の選定や「自治体SDGsモデル事業」を通じて地域レベルでのSDGs推進を支援しています。2023年までに累計182都市が選定され、地域特性を活かした独自のSDGs戦略を展開しています。成功事例には、さいたま市の多様なステークホルダー連携、鯖江市の女子高校生によるまちづくり、下川町の循環型森林経営 41 などがあります。
4. 企業・経済界の取り組み状況
4.1 企業のSDGs取り組み状況
2024年の調査では、日本企業の29.7%がSDGsを理解し既に取り組んでおり、取り組みたい企業と合わせると「SDGsに積極的」な企業は54.5%と過去最高水準に達しました 。しかし、2025年にはこの割合が初めて低下し「SDGs疲れ」が指摘されています 。中小企業では、人的・資金的リソースや専門知識の不足が課題です 。
4.2 大企業の先進的取り組み事例
大企業はSDGsを事業活動の中核に統合する先進的な取り組みを進めています。江崎グリコの食品ロス削減、サントリーのサステナビリティ戦略、LIXILの高気密・高断熱リフォーム、コマツの地雷除去重機開発、パナソニックのグリーン水素活用などが挙げられます。
4.3 中小企業の取り組み課題
中小企業はリソース不足に直面しつつも、地域に密着した事業活動を通じてSDGs達成に重要な役割を果たす可能性があります 。成功事例には、水島紙店の紙袋プロジェクトによる販路拡大、シャボン玉石けんの無添加石けんへの転換、木内酒造の酒粕活用や手指消毒用エタノール製造 、TBMのLIMEX開発などがあります。
4.4 ESG投資の拡大とその影響
ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大により、企業のSDGsへの取り組みは投資判断の重要な要素となっています。しかし、実質を伴わない「グリーンウォッシュ」の蔓延が懸念されています。これは誇張、曖昧な表現、根拠の欠如など「7つの罪」に分類され、消費者や投資家の信頼を損ないます。欧州では「グリーンクレーム指令案」など厳しい規制が検討されていますが、日本では明確なルールが不足しています。
5. 市民社会・NGO・NPOの役割
5.1 市民社会組織の多様な取り組み
日本の市民社会組織(CSOs)は、SDGs推進において極めて重要な役割を果たしています。NGOやNPOは、政府や企業が対応困難な社会課題に対し、住民に最も近い立場から具体的な解決策を提供しています。特に貧困(目標1)、健康(目標3)、教育(目標4)などの分野で不可欠な存在です。こども食堂やフードバンクなど、実践的な支援活動を通じてSDGs達成に貢献しています。
5.2 市民の意識向上と行動変容
SDGs達成には、市民一人ひとりの意識向上と行動変容が不可欠です 。電気・水の節約、食品ロス削減、ごみ分別、マイバッグ持参など、日常生活で実践できるSDGsアクションは多岐にわたります。しかし、SDGsの重要性を理解していても、具体的に何をすれば良いか分からないという「意識と行動のギャップ」が存在します。
5.3 社会イノベーションの創出
市民社会組織は、革新的なアプローチで社会課題解決に取り組む社会イノベーションの担い手です。都市の遊休地を活用する「アーバンファーミング」、市民団体・研究機関・行政・企業が協働する「アサザプロジェクト」、地域商社による特産品ブランディングで地域経済を活性化する「こゆ地域づくり推進機構」など、多様な事例があります。
6. 教育分野におけるSDGs推進
6.1 学校教育での取り組み
次世代を担う若者への教育はSDGs達成に極めて重要です。文部科学省は、学習指導要領の改訂を通じて、持続可能な社会の創り手を育成する教育(ESD)を推進しています。小学校から高校まで、各段階でSDGsの理念をカリキュラムに組み込み、地球規模の課題を「自分事」として捉え、解決に向けて行動する力を育成しています。
6.2 高等教育機関の貢献
大学をはじめとする高等教育機関は、SDGsに関する研究・教育の中核的役割を担っています。SDGsを軸とした教育プログラムを展開し、学際的なアプローチで社会課題解決に取り組む人材を育成しています。岡山大学のイネ品種開発研究や北海道大学の森林復興プロジェクトなど、具体的な貢献事例があります。
6.3 生涯学習とリカレント教育
社会人を対象とした継続的な学習機会の提供も重要です。文部科学省、経済産業省、厚生労働省は「リカレント教育」を推進し、社会人の学び直しを支援していますが、国際労働機関(ILO)の推奨する実施率は日本でわずか4.3%にとどまっています。
7. 地域レベルでのSDGs推進
7.1 SDGs未来都市の取り組み
政府は2018年から「SDGs未来都市」の選定を開始し、自治体レベルでのSDGs推進を支援しています。選定された都市は、地域の特性を活かした独自のSDGs推進戦略を策定し、住民参加型の取り組みを展開しています。これにより、地域住民の生活の質向上、地域の活性化、新たなビジネスチャンス創出といった効果が生まれています。
7.2 地域コミュニティの参画
SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会の実現には、地域コミュニティレベルでの取り組みが不可欠です。町内会、自治会、商店街組織、ボランティア団体など、様々な地域組織がSDGs推進に参画し、住民ニーズに直接対応した具体的で実践的な活動を展開しています。例えば、山形県飯豊町の「いいで未来カフェ」では、若者のアイデアを行政が伴走して実行する計画が進んでいます。
7.3 地方創生との連携
SDGsと地方創生は、持続可能な地域づくりを目指す点で共通の理念を持っています。多くの地方自治体が、地方創生の戦略にSDGsの視点を組み込み、地域の魅力向上と課題解決を同時に推進しています。新潟県妙高市の「SDGsツーリズム」 や北海道名寄市のもち米6次産業化 など、地域資源の活用や新たな雇用創出につながる事例があります。
8. 国際協力とグローバルパートナーシップ
8.1 ODAを通じた国際貢献
日本は政府開発援助(ODA)を通じて、開発途上国のSDGs達成支援に積極的に取り組んでいます。従来の経済協力に加え、「人間の安全保障」と「質の高い成長」を理念に掲げ、社会課題解決や環境保護に重点を置いた包括的な支援を展開しています。日本の技術力や経験を活かしたインフラ開発、環境技術移転、人材育成支援などが注目されています。
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8.2 多国間協力の推進
日本は国連、G7・G20などの国際会議、地域協力機構を通じた多層的な国際協力を展開し、グローバルなSDGs推進における責任を果たしています。気候変動、海洋汚染、感染症対策など、国境を越えた課題に対しては国際的な協力が不可欠であり、日本のリーダーシップが期待されています。
8.3 民間セクターの国際展開
日本企業の海外事業展開を通じたSDGs貢献も重要です。現地での雇用創出、技術移転、社会インフラ整備など、企業活動を通じた開発途上国の社会経済発展への貢献が期待されています 。国際的なサプライチェーンにおける人権配慮や環境保護など、責任ある企業行動の推進も重要な課題です。
9. 現在直面する主要課題の分析
9.1 構造的課題の根深さ
日本のSDGs推進における最も深刻な問題は、ジェンダー不平等、気候変動への対応遅れ、持続可能でない消費パターンなど、多くの課題が構造的で根深いことです。これらの解決には、社会システム全体の変革、価値観の転換、制度の根本的見直しなど、長期的かつ包括的なアプローチが不可欠です。
9.2 表面的な取り組み(グリーンウォッシュ)の蔓延
企業のSDGsへの取り組みが活発化する一方で、実質的な変革を伴わない「グリーンウォッシュ」が懸念されています。これはSDGsを単なる広報戦略やマーケティングツールとして利用する傾向であり、消費者や投資家の信頼を損ない、真の社会課題解決にはつながりません。欧州では厳しい規制が導入されつつありますが、日本では法整備が求められています。
9.3 官民連携の課題とサイロ化
政府、企業、市民社会など多様なステークホルダー間の連携は進んでいるものの、依然として「サイロ化」(組織間の縦割り)の課題が残っています。情報や資源の共有が不十分なため、相乗効果を生み出しにくい状況です 。SDGsの複雑な目標達成には、異なるセクターが連携し、それぞれの専門知識とリソースを持ち寄ることが不可欠です。
表3:日本における主要な構造的SDGs課題と具体例
10. SDGsが進まない本当の理由と、今後のあり方
SDGsの達成が世界的に停滞している背景には、「誰一人取り残さない」という理念とは裏腹に、SDGsが経済的・政治的利益に左右されやすいという現実があります。
10.1 SDGsが進まない本当の理由
10.1.1 目先の利益優先
多くの企業や国家にとって、SDGsへの本格的な取り組みは短期的なコスト増大や競争力低下のリスクと捉えられがちです。気候変動対策やジェンダー平等への投資は、すぐに収益に結びつくとは限らず、目先の経済成長が優先される傾向にあります。
10.1.2 不十分なインセンティブ
SDGsに取り組むことによる明確で強力なインセンティブ(優遇措置、市場からの評価など)が不足しているため、自主的な取り組みの加速には限界があります。
10.1.3 意識と行動のギャップ
SDGsへの認知度は高まっていますが、「自分事」として捉え、具体的な行動に移すところまでには至っていない人が依然として多いのが現状です。
10.1.4 グローバルな課題の複雑性
気候変動や貧困、紛争といったグローバルな課題は、特定の国や組織だけでは解決できないほど複雑に絡み合っています。国際的な協調が不可欠であるにもかかわらず、各国の国益や政治的対立がSDGs達成に向けた連携を阻害しています。
10.2 今後のあり方:停滞を打破するために
現状を打破し、SDGsの達成期限である2030年に向けて進捗を加速させるには、以下の3つの視点が不可欠です。
10.2.1 「SDGsの経済化」から「SDGsを社会のOSにする」へ
SDGsを経済活動の「付加価値」や「マーケティングツール」として捉えるのではなく、企業活動や社会システムの根幹をなすOS(オペレーティングシステム)と位置づける必要があります。
10.2.2 インセンティブの再設計と規制の強化
SDGs達成に貢献する企業や個人を積極的に評価・支援する「ポジティブ・インセンティブ」を強化する一方、環境や社会に悪影響を与える活動に対しては、炭素税の導入や厳格な規制強化といった「ネガティブ・インセンティブ」を適用する仕組みが必要です。
10.2.3 「小さな行動」の連鎖を可視化する
個人の小さな行動が大きな変化を生むことを示すことで、意識と行動のギャップを埋めることができます。SDGsに取り組む人々のストーリーや、具体的な行動がもたらす社会的なインパクトを映像コンテンツなどを通じて可視化し、共感と行動の連鎖を生み出すことが重要です。
10.2.4 つながりと共創の意識
地球規模の課題は一国や一企業の努力だけでは解決できないことを示し、多様な主体との連携や協働の重要性を訴える必要があります。映像技術を活用した体験コンテンツは、グローバルな課題をより身近に感じさせ、他者への共感や連帯感を育むことができます。
11 新しい時代の映像制作の役割
11.1 「目先の利益優先」への問いかけ:短期的価値と長期的価値の再考
コンテンツの方向性
一見すると経済的合理性に反するようなSDGsの取り組みが、長期的に見ていかに企業や社会全体の持続可能性を高めるのかを、具体的な事例を通して多角的に提示します。
具体的なアイデア「未来への投資」シリーズ
エピソード1:再生可能エネルギーへの転換による初期投資の負担と、長期的なエネルギーコスト削減、環境負荷低減、新たな雇用創出のストーリーを描く。
エピソード2:サプライチェーンにおける人権尊重の取り組みが、一時的なコスト増につながる一方で、ブランドイメージ向上、リスク低減、従業員のエンゲージメント向上に貢献する事例を紹介する。
エピソード3:自然資本への投資(森林保全、水資源保護など)が、短期的には収益に繋がりにくいものの、長期的な事業継続の基盤となり、新たなビジネスチャンスを生む可能性を示す。
視聴者への問いかけ
「私たちの選択は、目先の利益だけを追求するものですか?それとも、次世代にとってより良い未来への投資ですか?」
11.2 「不十分なインセンティブ」への問いかけ:内発的動機と共感の醸成
コンテンツの方向性
金銭的なインセンティブだけでなく、SDGsに取り組むことによる個人の充足感、社会とのつながり、未来への希望といった内発的な動機に焦点を当て、共感を呼び起こします。
具体的なアイデア:「小さな選択、大きな未来」ドキュメンタリー
日々の生活の中で、サステナブルな選択(地産地消、省エネ、フェアトレード製品の利用など)を実践している人々のライフスタイルや価値観を紹介する。彼らの行動が、どのように地球や社会に貢献しているかを具体的に描き出す。
SDGs達成に取り組むNPO/NGOの活動に密着し、その活動を支える人々の情熱や使命感、そして活動を通して得られる喜びや達成感に焦点を当てる。
視聴者への問いかけ
「私たちの行動の源泉は、常に外部からの評価や報酬ですか?内なる喜びや、より良い社会への貢献こそが、真のモチベーションではないでしょうか?」
11.3 「意識と行動のギャップ」への問いかけ:具体的な行動への橋渡し
コンテンツの方向性
SDGsの重要性を理解していても、具体的に何をすれば良いかわからないという層に向けて、身近なレベルで実践できるアクションを提案し、行動への一歩を踏み出すきっかけを提供します。
具体的なアイデア:「#できることからはじめよう」チャレンジ動画
各SDGs目標に紐づいた具体的なアクション(例:食品ロス削減レシピ、プラスチックフリー生活のヒント、地域の清掃活動への参加呼びかけなど)を短尺動画で紹介し、視聴者自身が気軽にチャレンジできるような雰囲気を作る。
視聴者からのチャレンジ投稿を促し、成功事例を共有することで、参加意識を高め、行動の輪を広げる。
インタラクティブコンテンツ:
視聴者の選択によってストーリーが分岐するインタラクティブ動画を制作し、自身の行動がSDGsの目標達成にどのように影響するのかをシミュレーション体験できるようにする。
視聴者への問いかけ
「理想の未来を描くだけでなく、その実現のために今日からできることは何でしょうか?小さな一歩が、大きな変化を生み出すはずです。」
11.4 「グローバルな課題の複雑性」への問いかけ:つながりと共創の意識
コンテンツの方向性
地球規模の課題は一国や一企業の努力だけでは解決できないことを示し、多様な主体との連携や協働の重要性を訴えます。
具体的なアイデア:「Global Connectors」シリーズ
異なる国や地域で、それぞれの課題解決に取り組む人々をオンラインで繋ぎ、意見交換や共同プロジェクトの立ち上げを支援する様子を追うドキュメンタリー。
国際的な企業間連携や、政府・NGO・研究機関などの多様なステークホルダーによる共創事例を紹介し、それぞれの強みを活かした問題解決の可能性を示す。
VR/AR体験コンテンツ
気候変動による影響をVRで体験したり、フェアトレード製品の生産者の生活をARで垣間見たりすることで、グローバルな課題をより身近に感じさせ、他者への共感や連帯感を育む。
視聴者への問いかけ
「私たちが直面する課題は、決して孤立したものではありません。世界中の人々と手を取り合い、共に未来を創造していくために、何ができるでしょうか?」
これらのアイデアは、単に情報を提供するだけでなく、視聴者自身の内面や行動に深く働きかけ、SDGs達成に向けた主体的な参加を促すことを目指しています。これらのコンセプトを魅力的な映像コンテンツとして実現することで、より多くの人々の意識変革と行動変容を促進し、「SDGsが進まない本当の理由」で指摘された課題の克服に貢献できると確信しています。
11.5 まとめと展望
SDGs達成期限の2030年が迫る中、日本社会におけるSDGsの進捗は、一部の成果が見られるものの、全体としては停滞気味であり、多くの課題が残されています。特に、ジェンダー平等や気候変動対策といった構造的な問題は、短期間での解決が困難な状況です。
しかし、これらの課題を乗り越えるための鍵は、SDGsを「経済活動の制約」ではなく、「未来を創るための羅針盤」として捉え直すことにあります。政府、企業、市民社会、そして私たち一人ひとりが、SDGsを社会のOSとして内面化し、それぞれの立場で具体的な行動を積み重ねていく必要があります。
残された6年間で目標達成を果たすためには、目先の利益を越えた長期的な視点に立ち、真の変革を求める勇気が求められます。SDGsを推進する取り組みを、表面的なものから根本的な変革へと深化させることが、持続可能な日本の未来を築くための唯一の道と言えるでしょう。
SDGsを「自分事」として捉え、行動変容を促すようなコンテンツを企画・制作することは、これからの時代に不可欠な役割となるでしょう。
私たち株式会社SynAppsは、単に映像を制作するだけでなく、SDGsの概念を深く理解し、企画段階からお客様と伴走するプロフェッショナルです。
SDGsの課題に関する動画コンテンツの企画制作をお考えの時は、名古屋の映像制作会社 株式会社SynAppsまでご相談ください。
【弊社制作協力事例】
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【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、さまざまな業界の知見を収集・分析しながら、企業や団体が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、その産業分野ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。




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