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動画・映像制作用語辞典 | 名古屋映像制作研究室

インタラクティブ

「インタラクティブ(Interactive)」とは、一方通行ではなく、情報のやり取りや働きかけが双方向に行われる状態を指します。

Interactiveとは、双方向性や相互作用性を意味する言葉です。



映像コンテンツにおけるインタラクティブ


視聴者が映像に対して能動的に働きかけ、その働きかけによって映像の内容や展開が変化する、あるいは追加の情報が得られるような双方向性を持つことを指します。


ストーリー分岐(マルチエンディング)

視聴者が物語の途中で選択肢を選び、その選択によってその後のストーリー展開が変わるもの。ゲームのような感覚で楽しめます。
例:Netflixのインタラクティブ作品「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」


クリック/タップ可能な要素

映像内にボタン、アイコン、テキストなどが表示され、それをクリックまたはタップすることで、詳細情報が表示されたり、関連サイトに遷移したり、別のアングルに切り替わったりするもの。
例:ECサイトの商品紹介動画で、商品をクリックすると詳細ページに飛ぶ、企業の採用動画で社員のプロフィールをクリックすると紹介動画が流れる、など。


360度動画/VR映像

視聴者が視点を自由に動かすことで、映像の中を探索できるもの。まるでその場にいるかのような体験ができます。
例:観光地のPR動画で、好きな方向を見て景色を楽しめる。


クイズやアンケート

映像中にクイズやアンケートが挿入され、視聴者が回答することで、理解度を確認したり、興味のある情報を絞り込んだりできるもの。
例:防災教育動画で、クイズに答えながら防災知識を学ぶ。


パーソナライズ

視聴者の情報や行動履歴に基づいて、映像の内容が自動的に最適化されたり、特定の情報が提示されたりするもの。
例:研修動画で、個人の進捗や理解度に合わせて解説内容が変わる。



映像制作者の多くがインタラクティブを好まない理由



1. 物語性コントロールの喪失


単一の物語の構築が困難

従来の映画やドラマの監督や脚本家は、自分たちの意図したテーマ、メッセージ、感情の起伏を、最も効果的な一つの流れで視聴者に届けることを目指します。しかし、インタラクティブ作品では、視聴者の選択によって物語が千差万別になるため、作り手がイメージする物語を創り上げることは事実上不可能です。


意図しない解釈や結末

視聴者が自由な選択をすることで、作り手が全く意図していなかった解釈や結末に到達してしまう可能性があります。


フラストレーションの蓄積

多くの分岐を用意しても、結局視聴者がすべてのルートを見るわけではありません。自分たちが苦労して作り上げたシーンや展開が、多くの視聴者には届かない可能性があるというのも、作り手にとってはフラストレーションです。



2. 制作の複雑性とそれに伴う疲弊(徒労感)


指数関数的に増える作業量

たとえわずかな選択肢でも、その後の物語は雪だるま式に分岐し、それぞれのルートで脚本、撮影、編集が必要になります。これは、通常の制作の数倍から数十倍の労力を要する可能性があり、その途方もない作業量に圧倒され、徒労感を感じ、創造的なモチベーションが削がれます。


整合性の維持の困難さ

多数の分岐がある中で、キャラクターの一貫性、プロットの整合性、世界観の破綻などを防ぐのは至難の業です。まるで巨大で複雑なパズルを解くような作業であり、純粋な創作の喜びよりも、論理的な思考と膨大なチェック作業が求められます。


技術的な制約と学習コスト

インタラクティブな映像を実装するための技術的な知識や道具は、従来の映像制作とは異なります。新しい技術の習得や、専門家との連携は、作り手にとって新たなハードルとなり、自由な発想を妨げる要因にもなります。



3.  創作者自身の価値観


新しい表現形式に挑戦し、その複雑さの中に新たな創造の喜びを見出すクリエイターもいます。特にゲーム業界出身者や、デジタルネイティブ世代のクリエイターは、インタラクティブな表現に対して積極的である傾向が見られます。

しかし、展示映像イベント映像における軽度のインタラクティブ性の創作を除き、多くの映像演出家や脚本家は、一方向性の表現形式の中で、いかにして最高の物語を紡ぐかを追求しています。根が真面目な映像演出家や脚本家にとって、一般的な映像コンテンツにインタラクティブ性を持たせることは、天文学的なシミュレーションを求められることと同じで、まさに「無理ゲー」です。

そもそも、ゲーム的なコンテンツ作りは、映像制作者とは志向性が異なるものです。

一般社会からはこの志向性の違いが認識されておらず、映像制作者が安易にインタラクティブ性を求められることがあります。このことに、映像制作者は兼ねてから違和感を感じていることを知ってもらえればと思います。

<h1 class="font_0">インタラクティブ</h1>

​【関連用語】

1. 没入型(Immersive)


視聴者がコンテンツの中に「入り込んでいる」かのような感覚を強く抱く体験を指します。インタラクティブ性が高まることで、受動的な視聴から能動的な体験へと変わり、結果として没入感が深まることが多いです。VR/ARコンテンツや360度動画などが代表的です。



2. 体験型(Experiential)


映像を単なる情報伝達の手段としてだけでなく、視聴者に特定の「体験」を提供することを目的としたコンテンツや演出を指します。インタラクティブな要素が加わることで、視聴者はより能動的に体験に参加し、記憶に残る感動や学びを得ることができます。プロジェクションマッピングを用いたイベントや、参加型のアートインスタレーションなどでも使われます。



3. パーソナライズド(Personalized)


視聴者一人ひとりの属性、行動履歴、嗜好などに基づいて、映像コンテンツの内容が最適化されたり、個別にカスタマイズされたりすることを指します。インタラクティブな選択や入力が、このパーソナライズされた体験の基礎となることがあります。マーケティング動画や教育コンテンツで特に重要視されます。



4. 分岐型(Branching)


ストーリーや映像の展開が、視聴者の選択や特定の条件によって複数に分岐していく構造を持つコンテンツを指します。これはインタラクティブ映像の最も典型的な形式の一つであり、特に「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」のような作品で顕著です。



5. XR(Extended Reality)


VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった、現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称です。これらの技術を用いた映像コンテンツは、必然的に視聴者の身体的な動きや視線、操作などに対するインタラクティブ性が極めて高く、従来の映像表現を大きく拡張するものです。

 

 

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