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企画

映像制作業界における「企画(書)」とは、映像の内容や演出アイデアを並べた資料ではなく、本質的には「なぜその映像を作るのか」「誰に向けて、どのような役割を果たすのか」を言語化し、制作に関わる人々の判断基準を共有するための思考の整理にあります。また「企画書」は、映像制作を開始する前提条件を明確にするための文書です。

アイデアとの違い


企画はしばしば「面白い発想」や「斬新な演出案」と同一視されがちですが、映像制作における企画は発想そのものを指しません。重要なのは、制作の背景にある課題や状況を整理し、「なぜこの映像が必要なのか」を説明できる論理を構築することです。アイデアは企画の一要素に過ぎず、企画全体を支えるのは目的と理由です。



手法との違い


インタビュー」「シネマティック」「ドローン」「ドラマ仕立て」といった言葉は、企画を実現するために用いられる「手法」であり、企画そのものではありません。



合意形成のための役割


映像制作は、発注者、制作会社、プロデューサーディレクター、スタッフなど、異なる立場の人々が関与する協働作業です。企画書は、それぞれが持つ期待や評価軸をすり合わせるための共通言語として機能します。感覚的な「良い・悪い」ではなく、「目的に合っているかどうか」で判断できる状態をつくることが、企画書の重要な役割の一つです。



制作判断の基準点


制作の現場では、撮影や編集の過程で数多くの判断が求められます。その際、企画に立ち返ることができれば、表現の過不足や方向性のズレを防ぐことができます。企画(書)は完成形を指示する設計図ではなく、制作全体を通して参照される判断基準として存在します。



台本・絵コンテとの違い


企画(書)は、台本や絵コンテカット割りといった具体的な制作資料とは役割が異なります。これらが「どのように作るか」を示すのに対し、企画(書)は「何を目指すか」「何のために作るか」を定義します。企画が曖昧なまま制作された映像は、完成度が高くても評価の軸を持たないものになりやすいとされています。



映像制作における位置づけ


映像制作業界における企画(書)とは、映像のクオリティや表現以前に、その映像が社会的・組織的に成立する理由を説明するための思考文書です。制作工程の最上流に位置し、映像制作そのものの意味を規定する工程を指す言葉として用いられています。

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1. コンセプト


映像全体を貫く中心的な考え方や視点を指します。企画においては、「この映像を一言で表すと何か」という問いへの答えに近く、演出や表現の方向性が拡散しないための軸となります。企画書では、目的や背景を踏まえたうえで設定されることが一般的です。



2. 目的(目的設定)


映像を制作することで達成したい状態や変化を指します。認知向上、理解促進、行動喚起などが代表例ですが、企画段階ではそれをより具体的な文脈に落とし込むことが求められます。目的が不明確な企画は、完成後の評価基準も曖昧になりがちです。



3. ターゲット(視聴者想定)


その映像を「誰が見るのか」を定義するための用語です。年齢や属性だけでなく、視聴者が置かれている状況や知識レベル、感情の状態まで想定することで、企画の説得力が高まります。企画は常に、制作者ではなく視聴者の側から検証されます。



4. メッセージ


映像を通じて最終的に伝えたい要点や価値判断を指します。情報量が多くなりがちな映像において、何を残し、何を捨てるかを決める基準となります。企画段階でメッセージが定まっていない場合、編集工程で迷いが生じやすくなります。



5. アウトカム(成果・到達点)


映像公開後にどのような結果が得られれば成功といえるのかを示す概念です。再生数や視聴時間といった数値指標だけでなく、理解度の向上や態度変容なども含まれます。企画では、目的とアウトカムの関係が論理的に結びついていることが重要です。

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