映像制作見積書の要点3「撮影」
- 神野富三

- 2024年6月20日
- 読了時間: 3分
更新日:3月20日
撮影費用の幅はなぜ大きいのか
BtoBのPR映像における撮影費用は、数十万円で収まるものから、数百万円規模まで大きく振れます。
その理由は単純で、
「あるものを撮るか」「無いものを作って撮るか」
この違いに尽きます。
「あるものを撮る」場合はシンプル
企業の工場やオフィスなど、「そこに既に存在しているもの」を撮影する場合、必要な要素は限られます。
ディレクター
カメラマン(+アシスタント)
撮影機材
交通費・雑費
天候や時間の制約も少なければ、予備日を設定する必要もありません。この場合、撮影は比較的シンプルに成立します。
撮影は「1日単位」でカウントされる
撮影に関わる人員や機材は、基本的に「日単位」でカウントされます。
原則は1日8時間程度(例:9時〜18時)。たとえ半日で終わる内容であっても、その日に別の案件を入れることは難しいため、1日分として計上されます。
実際の現場では長時間になることもありますが、見積もり段階で残業を前提に組むことは通常ありません。
「無いものを撮る」と一気に膨らむ
一方で、「今そこに無いもの」を撮ろうとすると、費用は一気に膨らみます。
例えば、
出演者(キャスティング・拘束)
撮影スタジオの手配
セットや美術の制作
衣装・メイク・スタイリング
小道具の調達
といった要素が一つずつ積み上がっていきます。
「絵に描いたような部屋で、人物が微笑む」といった一見シンプルなカットでも、実現するためには多くの準備とコストが必要になります。
画面に映るものはすべてコストになる
重要なのはここです。
画面に映る要素は、すべて調達コストに変換されるということです。
例えば、
特定のロケーション
特定の衣装や小道具
特定の人物像
これらはすべて、「用意する」という工程を経て初めて成立します。
つまり、ディレクターが頭の中で描いた映像の内容が、そのまま見積金額に反映されます。
正確な見積は「絵コンテの後」にしか出せない
この構造を踏まえると、本来の順序はこうなります。
シナリオを作る
絵コンテを描く
必要要素を洗い出す
見積を出す
つまり、正確な見積は絵コンテが完成しないと出せないのです。
それでも先に見積が出る理由
しかし実際のBtoB案件では、
先に予算が決まり
その範囲で企画・シナリオ・絵コンテを作る
という順序になることがほとんどです。
この場合、ディレクターは「予算内で成立する画」を前提に設計します。逆に言えば、最初に決まった予算が、映像の内容を規定することになります。
だからプロデューサーの管理が重要になる
シナリオや絵コンテが固まる前に見積が必要になる以上、
どこにコストがかかるか
どこを削るべきか
どこは削ってはいけないか
を判断し続ける必要があります。
これは現場の感覚だけでは対応できず、全体を俯瞰したマネジメントが不可欠です。
撮影費用は「何を撮るか」で決まる
撮影費用は、カメラや人件費の問題ではありません。
何を画面に成立させるか
その設計によって決まります。

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【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。(2026年1月現在)








