カットバック
「カットバック」とは、複数の異なる場所で同時に進行している出来事を、交互に描写する編集技法です。視聴者に複数の出来事が並行して起こっていることを示し、緊張感や臨場感を高めます。物語の中で同時に進行している異なる出来事や場所を描写する際に特に効果的です。
映像技法における 「カットバック(cutback)」 とは、あるシーンから別のシーンに一度カットで切り替え、再び最初のシーンに戻る編集技法 のことを指します。
異なる場所で起きている出来事の関連性を示したり、時間の経過を表現したりする手段としても使われます。
目的と効果
同時進行(パラレル・アクション)の表現
例えば、逃走する犯人とそれを追う警察官を交互に見せる。
これによって「同時に起こっている」ことを観客に理解させ、緊張感やスピード感を高める。
この使い方では「クロスカッティング(cross-cutting)」とほぼ同義で用いられます。
心理的・感情的な対比
たとえば、戦場の惨状と家族の平穏な食卓を交互に映すことで、強い対照効果を出す。
観客に感情的な意味づけを促す編集です。
回想・記憶へのカットバック
現在のシーンから過去の出来事(フラッシュバック)を挟み、その後再び現在の場面に戻る。
物語上の「思い出す」や「振り返る」構造を視覚的に表現します。
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【関連情報】
1. クロスカット
2つ以上の場所で同時に起きている事象について、それぞれのカットを交互に繋ぐことにより、臨場感や緊張感などの演出をする方法です。カットバックとほぼ同義ですが、必ずしも「同時進行」とは限らず、過去と現在、または、別の場所で起きた事象を交互に映し出す事で、関連性を示したり、対比を強調したりする際に用いられることもあります。
2. フラッシュカット
非常に短いカットを挿入する編集技法です。通常とは異なるリズムで、一瞬だけ別の映像を挿入することで、観客に強い印象を与えたり、心理的な効果を生み出したりします。恐怖や興奮、記憶の断片などを表現する際に効果的です。
3. フラッシュバック
物語の現在から過去のシーンへ移行する編集技法です。キャラクターの過去の記憶や出来事を挿入することで、物語の背景やキャラクターの心理を深く掘り下げることができます。例えば、主人公が過去のトラウマを思い出すシーンなどで使用されます。
4. カットアウェイ
主要なアクションやシーンから一時的に離れ、関連する別の映像を挿入する編集技法です。例えば、会話中のキャラクターから、そのキャラクターが見ているものや考えていることに焦点を移す際に使用されます。情報の補足や感情の表現に役立ちます。登場人物の心情を写す場合や、状況の説明、または、時間経過を示す場合に用いられます。
5. マッチカット
二つの異なるカットを、視覚的な要素(形、色、動きなど)を一致させて繋ぐ編集技法です。シーン間のスムーズな移行や、象徴的な意味合いを生み出す効果があります。視覚的な類似性によって、観客に心理的な繋がりを感じさせることができます。

