映画撮影・映像制作で使われるショット用語
- Tomizo Jinno

- 6月1日
- 読了時間: 11分
更新日:6 日前
ムービーカメラによる撮影方法や画像の定義に付けられた「ショット名」を分類してみました。
しかし、さまざまな映像分野、技術分野には、それぞれに独特の流儀があり、これらの用語は、あくまでその独特の流儀を共有している者同士が、制作上のコミュニケーションにおいて共通の理解を得るために用いています。そのため一般的には使われない言葉や、同じ言葉でも意味が異なる場合が多々あります。
特にデジタル一眼レフカメラによる動画撮影が一般化した現在は、専門用語の解釈が従来の映像業界のそれとは異なることが増えてきました。しかし、すべての用語を私が承知しているわけではないため、やむを得ず、一部の用語はインターネットの力を借りて調べています。LLM(生成AIの大規模言語モデル)が登場して以来、社会の小集団であっても、発信力が強い特定の集団の言説が、一般的な理解であるかのように流布される傾向が高まり、このページの記述も、一部分でその影響を受けている可能性があることを、あらかじめご了承ください。また、名古屋の映像制作業界で約40年働くプロデューサーですので、ローカルルールもあるかも知れません。
【ショットの分類】
序文に代えて〜ショット名の本質的機能
ショット名は、そのショットを実現するために使用された具体的な撮影技術の記述であり、同時にその技術的選択によって生まれる映像的効果や表現的特質の伝達手段として機能しています。
技術的要素の記述
「ハイアングルショット」→ カメラを高い位置に設置するという技術的操作
「ドリーショット」→ カメラを台車で移動させるという技術的手法
「クローズアップ」→ 被写体に近接してフレーミングするという技術的選択
個性(効果)の予測可能性
これらの技術的要素の組み合わせによって、そのショットが持つ視覚的特性や感情的効果が予測可能になる。つまり、ショット名を聞けば、どのような映像になり、観客にどのような印象を与えるかが想像できます。
コミュニケーション機能
制作現場では、「次はバストショットで」「ローアングルで煽って」といった指示によって、技術的手法と期待される表現効果の両方が同時に伝達されます。
ショット名は、技術と表現を橋渡しする専門用語体系です。
1. 被写体のサイズによる分類 (Shot Size / Field Size)
エクストリームロングショット (Extreme Long Shot / ELS)
広大な風景や状況を説明的に見せるショット。
日本語ではあまり使われませんが、「大ロング」という言い方をする場合はあります。
ロングショット (Long Shot / LS)
被写体の全身、全体や周囲の状況が広範囲に映るショット。
人物や物を被写体にしない場合にも、周囲の状況が広範囲に映るショットを言います。
登場人物の全容を示したり、状況説明をします。

フルショット (Full Shot / FS)
被写体の全身、全体が画面いっぱいに入るショット。
被写体の全容を示します。
フルフィギュア(Full Figure / FF)
フルショットとほぼ同義ですが、被写体が人物の場合に限られます。

ミディアムロングショット (Medium Long Shot / MLS)
人物の膝上から頭までを捉えるショット。
複数の人物をフレームに収めやすくなります。
ニーショット (Knee Shot)
ミディアムロングショットとほぼ同義です。
ミディアムショット (Medium Shot / MS)
人物の腰から上を写すショット。
背景と人物の表情や上半身の動きをバランス良く見せられます
ウエストショット (Waist Shot)
ミディアムショットとほぼ同義です。

ミディアムクローズアップ (Medium Close-up / MCU)
人物の胸から上(バストショット)あるいは肩から上を写すショット。
表情をより強調します。
バストショット (Bust Shot)
ミディアムクローズアップとほぼ同義です。
クローズアップ (Close-up / CU)
人物の顔や、特定の対象物を大きく写すショット。
感情表現や細部の強調に使われます。

ビッグクローズアップ (Big Close-up / BCU)
顔の一部など、さらに被写体に寄ったショット。
日本語ではあまり使われませんが、「どアップ」という言い方をする場合はあります。
エクストリームクローズアップ (Extreme Close-up / ECU / XCU)
目や口など、被写体の一部を極端に大きく写すショット。
日本語ではあまり使われませんが、この場合も「どアップ」という言い方をすることがあります。
タイトショット (Tight Shot)
被写体に対して余白が少なく、ぎりぎりにフレーミングされたショット。
ルーズショット (Loose Shot)
被写体に対して余白が多く、ゆったりとフレーミングされたショット。
2. カメラアングルによる分類 (Camera Angle)
アイレベルショット (Eye-level Shot)
人間の目の高さと同じ高さから撮影するショット。
最も自然で客観的な視点とされます。
ハイアングルショット (High-angle Shot)
被写体を見下ろすように高い位置から撮影するショット。
被写体を小さく、弱く見せる効果があります。
ローアングルショット (Low-angle Shot)
被写体を見上げるように低い位置から撮影するショット。
被写体を大きく、強く、威圧的に見せる効果があります。

俯瞰(ふかん)ショット (Bird's-eye View Shot / Top Shot / Overhead Shot)
真上から見下ろすショット。
客観性や位置関係を強調します。
煽り(あおり)ショット (Worm's-eye View Shot)
地面すれすれのような極端なローアングルから見上げるショット。
ダッチアングル / ダッチティルト (Dutch Angle / Dutch Tilt / Canted Angle)
カメラを意図的に傾けて撮影するショット。
不安定さ、緊張感、非日常的な感覚を表現します。
主観ショット (Point of View Shot / POV Shot)
登場人物の視点から見た映像を表現するショット。
3. カメラの動きによる分類 (Camera Movement)
パン (Pan / Panning)
その場でフレーミングAからフレーミングBにカメラを向けること。
ティルト (Tilt)
カメラを固定したまま、垂直方向に(上下に)振る動き。
ただし、従来のムービーカメラマンはあまり使わない用語。
ドリーショット (Dolly Shot)
カメラを台車(ドリー)に乗せて、被写体に近づいたり遠ざかったり(前後)、あるいは平行移動したりする動き。
ドリーアウト (Dolly Out)
被写体から遠ざかる動き。
ドリーイン (Dolly In)
被写体に近づく動き。
トラックショット (Tracking Shot / Trucking Shot)
カメラが被写体と平行に移動する動き。ドリーショットの一種ですが、特に左右の平行移動を指すことが多いです。動く被写体を追いかける際にも使われます。
クレーンショット (Crane Shot)
クレーンを使ってカメラを大きく上下させたり、空中を移動させたりするショット。壮大な視点やダイナミックな動きを表現します。
ジブショット (Jib Shot)
ジブアーム(小型のクレーン)を使ったショット。クレーンショットより小規模ながら、滑らかな上下移動や回り込みが可能です。
ステディカムショット (Steadicam Shot)
ステディカムという手ブレ補正機能付きの機材を使って、移動しながらも滑らかで安定した映像を撮影するショット。
ハンディショット / 手持ちショット (Hand-held Shot)
カメラを肩に担いだり手で持ったりして撮影するショット。意図的にブレや揺れを生じさせ、臨場感や主観的な視点を強調します。
アークショット (Arc Shot)
被写体の周りを円弧を描くようにカメラが移動するショット。
フォローショット (Following Shot)
移動する被写体をカメラが追いかけるショット。
ズーム (Zoom)
レンズの焦点距離を変化させて、被写体を拡大したり縮小したり見せる効果。厳密にはカメラの物理的な動きではありませんが、カメラワークの一種として扱われます。
ズームイン (Zoom In)
被写体に寄っていくように見える。
ズームアウト (Zoom Out)
被写体から引いていくように見える。
ドリーズーム / ヴァーティゴショット / トロンボーンショット (Dolly Zoom / Vertigo Effect / Trombone Shot)
ドリーによるカメラの前後移動とズーム操作を逆方向に行うことで、被写体の大きさは変えずに背景だけが変化するような、歪んだ空間表現を生み出す特殊効果。
ヘリコプターショット (Helicopter Shot)
ヘリコプターから撮影する空撮ショット。
ドローンショット (Drone Shot)
ドローン(無人航空機)を使って撮影する空撮ショット。ヘリコプターより小回りが利き、低空からのダイナミックな映像も可能です。
スピンショット (Spin Shot)
カメラ自体を回転させるショット。混乱やめまいなどを表現します。
ウォークイン / ウォークアウト (Walk-in / Walk-out)
登場人物がフレームの外から入ってくる、あるいはフレームの外へ出ていくショット。
リビールショット (Reveal Shot)
最初は隠れていた重要な情報や被写体が、カメラの動きや他の被写体の移動によって明らかになるショット。
サーチショット / サーチングショット (Searching Shot)
何かを探しているかのようにカメラが動くショット。観客に探索感を共有させます。
エスタブリッシングショット (Establishing Shot)
シーンの冒頭で場所や状況、時間帯などを説明的に示すショット。多くはロングショットやエクストリームロングショットです。
マスターショット (Master Shot)
あるシーン全体の状況を把握できるように、広めに撮影されたショット。
エスタブリッシングショットとほぼ同義です。
リアクションショット (Reaction Shot)
ある出来事やセリフに対する登場人物の反応(表情や行動)を映すショット。
インサートショット (Insert Shot) / カットイン (Cut-in)
手紙の文字、時計の針、手元のアップなど、ストーリー上重要な細部を強調するために挿入される短いショット。
カットアウェイ (Cutaway)
メインの被写体やアクションから一時的に離れて、別の関連する被写体や状況を写すショット。時間の経過を示したり、観客の注意を別の場所に向けたりします。
ツーショット (Two Shot)
二人の人物を同一フレーム内に収めたショット。
スリーショット (Three Shot)
三人の人物を同一フレーム内に収めたショット。

グループショット (Group Shot)
複数の人物を同一フレーム内に収めたショット。
カウボーイショット (Cowboy Shot)
西部劇でガンマンの腰の銃が見えるように、太ももの中間あたりから頭までを捉えるショット。ミディアムロングショットの一種です。

クリーンシングル (Clean Single)
一人の人物だけをフレームに収め、他の人物の体の一部などが映り込まないショット。
ダーティシングル (Dirty Single)
一人の人物をメインに捉えつつ、前景に他の人物の肩や頭の一部などが意図的に映り込んでいるショット。OTSに近いですが、よりメインの人物に焦点があります。
オーバーショルダーショット (Over the Shoulder Shot / OTS)
ある人物の肩越しに、対面する別の人物や対象物を撮影するショット。
会話シーンなどで多用されます。
リバースショット / 切り返しショット (Reverse Angle Shot / Reverse Shot)
あるショットの反対側(通常180度近く)から撮影されたショット。
会話シーンで交互に使われます。
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【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは名古屋映像制作研究室を主宰し、映像制作のノウハウ集、カット割りとカメラワークと編集、映像制作用語辞典、多様なビジネスフィールドの知見と映像提案、といったBtoB映像制作のための知見を集積して、名古屋から日本のBtoB映像文化を育てる、新しい知的拠点を目指しています。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。(2025年12月現在)
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