名古屋の映像制作会社が解説:産業用機械メーカーを支援する動画制作
- Tomizo Jinno
- 6月17日
- 読了時間: 12分
更新日:6月30日
日本の製造業を牽引する名古屋を中心とした中京工業地帯には、世界をリードする産業用機械メーカーが数多く集積していて、私たち名古屋を拠点とするBtoB PR映像制作会社は長年にわたり、映像の力でこの地域・産業界の技術革新を世界に発信し続けてきました。
近年、新製品のPR映像を撮影するために、機械の背面パネルをはずして、カメラで覗き込むと、ほぼ必ずそこかしこに“KEYENCE“のロゴを見つけます。この会社のセンサー技術とビジネスマネジメント、さらには社員の高給は有名ですが、その力を度々目の当たりにします。それと同時に、進化する産業用機械の内側の技術にも興味が沸きます。
近年、生成AIの普及によって、産業用機械製造の技術は、日々目覚ましい進化を続けています。産業用機械は多くの機能要素が組み合わさって構成されています。そのPR企画、シナリオ作成に関わるものとして、承知しておきたい基本的な技術と、現在のトレンドを調べてみました。次々に登場する新技術に関する知識はいつも更新しておきたいものです。こうした知識が私たちの映像制作に活かされます。
2.1 検出・測定系
2.2 制御・処理系
2.3 駆動・動力系
2.4 機械要素・伝達系
2.5 安全・保護系
2.6 通信・ネットワーク系
2.7 電源・配電系
3.1 産業分野特有の動画ニーズ
3.2 主要なPR映像制作機会
3.3 制作形態別の市場機会
3.4 まとめ

産業用機械の基本的な仕組み
1.1 基本的な情報処理フロー
「感知→判断→動作」の基本サイクル
検出・測定系(感覚器官)が外部情報をキャッチ
制御・処理系(脳)が情報を処理し判断
駆動・動力系(筋肉)が実際の動作を実行
1.2 各要素の役割分担
1.2.1 制御系統の中核
制御・処理系
全体の司令塔として他の全要素を統括
通信・ネットワーク系
各要素間の情報伝達を担当
1.2.2 動作実現系統
駆動・動力系
動力を発生
機械要素・伝達系
動力を適切な形で各部に伝達
1.2.3 支援・保護系統
電源・配電系
全要素への電力供給
安全・保護系
全体の安全確保と異常時の保護
産業用機械の基本的機能技術
2.1 検出・測定系
2.1.2 センサー類
光電センサー
光の遮断や反射を利用して物体の有無を検出
透過型、反射型、回帰反射型に分類
検出距離や対象物の材質に応じて選択
応答速度が速く、非接触検出が可能
近接センサー
磁界の変化を利用して金属物体を検出
誘導型(金属検出)と静電容量型(非金属も検出)
耐環境性に優れ、粉塵や油分の影響を受けにくい
機械的接触がないため長寿命
圧力センサー
油圧・空圧システムの圧力監視
ダイアフラム、ピエゾ抵抗、静電容量式など
流体の状態監視や安全管理に必須
温度センサー
熱電対、測温抵抗体(RTD)、サーミスタ
プロセス制御や機械保護に使用
高温から極低温まで対応する各種タイプ
2.1.2 測定機器
変位計・寸法測定器
レーザー変位計:非接触で高精度測定
リニアスケール:直線位置の高精度検出
品質管理や位置決め制御に必須
画像処理システム
CCDカメラと画像処理コンピューターの組み合わせ
外観検査、寸法測定、位置認識
AI技術の導入により高度な判別が可能
エンコーダー
回転角度や直線位置を高精度で検出
インクリメンタル型とアブソリュート型
モーター制御やロボット制御の基本要素
2.1.3 トレンド技術
エッジAI統合センサー
エッジAI技術(AI処理をクラウドではなく、端末などのエッジデバイス側で行う)が2025年の産業界を革新しており、センサーにAI処理能力を直接組み込むことで、リアルタイムデータ処理と意思決定を可能にしています。従来のセンサーが単純な物理量の検出に留まっていたのに対し、エッジAIセンサーは
インテリジェント画像解析
製品の外観検査において、従来では検出困難だった微細な欠陥や複雑なパターンをAIが自動判別
予測的異常検知
温度、振動、音響データをリアルタイム解析し、機械の故障を事前に予測
適応学習機能
使用環境や製品変更に応じて自動的に検出パラメーターを最適化
この技術により、データを中央のクラウドサーバーに送信する必要がなくなり、より高速な意思決定と通信コストの削減が実現されています。
2.2 制御・処理系
2.2.1 PLC(プログラマブルロジックコントローラー)
基本機能
入力信号を受けてプログラムに従い出力を制御
リレー回路をソフトウェアで実現
高い信頼性と耐環境性を持つ産業用コンピューター
種類と特徴
小型PLC:単純な制御用
中型PLC:一般的な製造ライン用
大型PLC:複雑なプラント制御用
各種通信機能とネットワーク対応
2.2.2 HMI(ヒューマンマシンインターフェース)
オペレーターと機械をつなぐ操作画面
タッチパネル式が主流
運転状況表示、パラメーター設定、アラーム表示
多言語対応や遠隔監視機能
2.2.3 各種制御装置
温度調節器
PID制御による精密な温度管理
加熱・冷却の自動制御
プロセス工業や成形機械に必須
インバーター(可変周波数駆動装置)
モーターの回転数を無段階で制御
省エネ効果と精密な速度制御
三相交流モーターの標準的な制御方法
2.2.4 トレンド技術
デジタルツイン統合制御
デジタルツイン技術が製造業を革新し、リアルタイムシミュレーション、予防保全、プロセス最適化を可能にしています。2025年のトレンドとして
リアルタイム制御最適化
物理的な製造ラインと完全に同期したデジタルモデルにより、制御パラメーターを動的に最適化
仮想試運転
実際の物理プロセス実行前に複雑なワークフローをシミュレーションし、リスクを最小化
予測制御
デジタルツインの予測能力を活用して、将来の需要変動や機械状態に先回りして制御戦略を調整
主要メーカーは2025年にデジタルツインプラットフォームへの投資を増加させ、サプライチェーンの可視化と製品ライフサイクル管理の改善を図っています。
2.3 駆動・動力系
2.3.1 モーター類
サーボモーター
位置、速度、トルクの精密制御が可能
エンコーダー内蔵で高精度フィードバック制御
ロボットや工作機械の主軸駆動に使用
ステッピングモーター
パルス信号により段階的に回転
オープンループ制御が可能
比較的安価で位置決め精度が良い
誘導モーター(インダクションモーター)
構造が簡単で堅牢、保守性が良い
汎用的な回転駆動源として広く使用
インバーター制御で可変速運転
2.3.2 伝達機構
減速機・ギアボックス
モーターの高速回転を適切な速度に変換
トルクの増大効果
遊星歯車、ウォーム歯車、平歯車など
アクチュエーター
空圧シリンダー:圧縮空気による直線運動
油圧シリンダー:作動油による大出力の直線運動
電動アクチュエーター:電気による精密な位置制御
2.3.2 トレンド技術
コラボレーティブロボティクス(協働ロボット)
人間とロボットの相互作用を改善する高度なセンサー技術が注目されており、新世代の協働ロボットが特徴的です
力覚センサー統合
人間の動作意図を感知し、自然な協働作業を実現
安全性の飛躍的向上
従来の産業用ロボットとは異なり、安全柵なしで人間と同じ作業空間で動作
学習機能
作業者の動作パターンを学習し、効率的な協働方法を自動的に習得
モジュラー設計
用途に応じて容易に再構成可能な柔軟性
2.4 機械要素・伝達系
2.4.1 軸受・案内機構
ベアリング(軸受)
回転運動や往復運動の支持
玉軸受、ころ軸受、すべり軸受
荷重条件や使用環境に応じた選択が重要
リニアガイド
直線運動の案内と支持
ボール循環式が主流
高精度と長寿命を実現
2.4.2 動力伝達要素
ベルト・チェーン
回転動力の伝達
Vベルト、タイミングベルト、チェーン
伝達距離や負荷に応じて選択
カップリング
軸と軸を連結して回転力を伝達
軸のずれを吸収する機能
フレキシブル、リジッド、オルダム型など
ボールねじ
回転運動を直線運動に変換
高効率で精密な位置決めが可能
CNC工作機械の送り機構に多用
2.4.3 トレンド技術
スマートベアリング・センサー内蔵機械要素
従来の受動的機械要素にセンサーとIoT機能を統合
状態監視ベアリング
温度、振動、回転数をリアルタイム監視し、摩耗状態や潤滑状態を自動診断
インテリジェントカップリング
トルク伝達効率の最適化と軸ずれの自動補正
自己診断リニアガイド
摩耗進行の予測と最適交換時期の提案
予防保全の自動化
機械要素自体が保守要求を発信し、計画停止を最小化
2.5 安全・保護系
2.5.1 安全機器
安全センサー・ライトカーテン
作業者の危険エリア侵入を検知
光線の遮断により機械を緊急停止
国際安全規格に準拠した設計
安全リレー・安全コントローラー
安全回路の構築と監視
冗長化による高い安全性
故障時の安全側停止を保証
非常停止システム
緊急時の機械即座停止
機械安全の最終手段
操作しやすい位置への設置が重要
2.5.2 トレンド技術
AI駆動サイバーセキュリティ
産業システムがますます接続される中、サイバーセキュリティが重要な懸念事項となり、2025年にはAI駆動の脅威検出とリアルタイム監視が不可欠となっています
異常行動検出AI
ネットワークトラフィックや機械動作パターンから異常を自動検知
ゼロトラスト産業ネットワーク
すべてのデバイスとユーザーを継続的に認証・認可
自動脅威対応
攻撃検知時の自動隔離と復旧プロセス
セキュリティデジタルツイン
サイバー攻撃の影響をシミュレーションし、対策を事前検証
2.6 通信・ネットワーク系
2.6.1 産業用通信
フィールドバス
制御機器間のデジタル通信
DeviceNet、PROFIBUS、CC-Linkなど
配線の簡素化と高速通信を実現
産業用イーサネット
Ethernet/IP、PROFINET、EtherCATなど
高速・大容量データ通信
IT技術との親和性が高い
IoT・Industry 4.0対応
機械データのクラウド収集・分析
予防保全や生産最適化
セキュリティ対策の重要性
2.6.2 トレンド技術
プライベート5G産業ネットワーク
ワイヤレスプライベート5Gによる高速で信頼性の高いデータ伝送が、工場全体でのロボットセンサーからのデータ通信を実現しています
超低遅延通信
1ms以下の遅延でリアルタイム制御を実現
大容量データ伝送
4K映像や3Dスキャンデータの瞬時伝送
ネットワークスライシング
用途別に最適化された仮想ネットワークの構築
エッジコンピューティング統合
5Gとエッジコンピューティングにより、デバイス間のリアルタイムデータ交換が可能
2.7 電源・配電系
2.7.1 電源装置
産業用電源
各種機器への安定した電力供給
スイッチング電源が主流
高効率と小型化を実現
UPS(無停電電源装置)
停電時の継続運転
データ保護と安全停止
重要なシステムには必須
2.7.2 配電・制御盤
制御盤設計
各種制御機器の収納と配線
熱対策と保守性の考慮
規格準拠と安全性の確保
配電機器
ブレーカー、リレー、接触器
電力の分配と保護
適切な容量設計が重要
2.7.3 トレンド技術
スマートグリッド統合エネルギー管理
持続可能な製造への要求が高まる中、インテリジェントな電力管理が注目
動的負荷分散
工場内の電力需要をリアルタイム予測し、最適な電力配分を実施
再生可能エネルギー統合
太陽光発電や風力発電との協調運転
エネルギーストレージ最適化
バッテリーシステムの充放電を生産スケジュールと連動
カーボンフットプリント最小化
生産プロセス全体のエネルギー効率を自動最適化
予測保全
電力機器の劣化予測による計画的メンテナンス
産業機械技術関連 PR映像制作の市場機会
3.1 産業分野特有の映像ニーズ
製造会社向けの動画マーケティングは、視覚的に魅力的な方法で製品、サービス、能力を紹介することを可能にし、潜在顧客が彼らの提供内容を理解し評価することを容易にします。AIなどの技術に支えられた急速なデジタル化の加速により、メーカーは効率性を向上させ、熟練労働者不足に対処することが可能になっています。
3.2 主要なPR映像制作機会
3.2.1 技術実証・デモンストレーション映像
背景
複雑な産業技術を視覚的に説明する需要の増加
実際の動作を見せることで信頼性を証明
バーチャル展示会やオンライン商談の普及
制作アプローチ
エッジAIセンサーの学習機能を分かりやすく映像化
デジタルツインの同期動作を物理システムと並行して撮影
協働ロボットの安全性を人との相互作用で実演
ターゲット企業
センサーメーカー(Keyence、オムロン、ファナック等)
ロボットメーカー(安川電機、川崎重工業、FANUC等)
制御システムメーカー(三菱電機、シーメンス等)
3.2.2 デジタルトランスフォーメーション(DX)事例紹介映像
市場機会
製造業のDX推進により、成功事例の可視化需要が急増
投資判断材料としての具体的効果測定の重要性
経営層向けの分かりやすい説明資料の必要性
コンテンツ例
従来工程 vs DX後工程の比較映像
ROI(投資対効果)の数値的変化を視覚化
作業員の働き方改善を人物中心で描写
エネルギー効率改善の定量的効果を表現
想定クライアント
システムインテグレーター
コンサルティング会社
産業用IoTソリューション企業
3.2.3 安全・サイバーセキュリティ啓発映像
需要拡大の背景
産業システムの接続化に伴うセキュリティリスクの増大
法規制強化によるコンプライアンス対応の必要性
経営陣のセキュリティ意識向上の必要性
映像コンセプト
サイバー攻撃のシミュレーション映像
AI駆動セキュリティシステムの動作原理
ゼロトラスト環境の可視化
インシデント対応プロセスの紹介
3.2.4 持続可能性(サステナビリティ)PR映像
市場トレンド
ESG経営の重要性増大
カーボンニュートラル目標への対応
サプライチェーン全体での環境配慮
制作内容
スマートグリッド統合による省エネ効果
再生可能エネルギー活用事例
廃棄物削減・リサイクル技術
環境負荷削減の定量的成果
3.2.5 人材採用・企業ブランディング映像
背景
製造業の人材不足深刻化
DX人材の獲得競争激化
若手エンジニアへの訴求力強化
映像戦略
最新技術に携わる魅力的な職場環境
技術者のキャリアパス紹介
イノベーション創出の現場
グローバルプロジェクトへの参画機会
3.3 制作形態別の市場機会
3.3.1 短尺動画(30秒〜3分)
用途・配信先
LinkedIn、YouTube Shorts
展示会デジタルサイネージ
ウェビナー冒頭映像
営業プレゼンテーション導入
制作のポイント
インパクトのある映像で開始
技術の核心を短時間で伝達
明確なコールトゥアクション
3.3.2 長尺動画(5分〜30分)
用途・配信先
企業ウェブサイト
技術セミナー・ウェビナー
展示会ブース映像
顧客向け技術説明会
制作のポイント
ストーリー性のある構成
詳細な技術解説
複数の事例紹介
3.3.3 インタラクティブ映像
新たな機会
3.4 まとめ
産業用機械技術関連のBtoB PR映像制作市場は、デジタル化の進展、技術革新の加速、リモートコミュニケーションの普及により今も成長しています。
単なる映像制作技術ではなく、産業技術への深い理解と、それを分かりやすく伝える表現力の組み合わせが重要です。
産業用機械製造業界の皆様へ、名古屋で映像制作会社をお探しならご相談はこちらへ
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