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映像制作見積書の要点2「プロデューサー費」

更新日:3月20日

まず「プロデューサー」とは何か


映画のエンドロールで見る Producer という肩書は、日本語では「制作」と訳されます。しかし「制作」という言葉は本来「つくること」を意味するため、人の役割を表す言葉としては少し違和感があります。

なぜなら、プロデューサーは直接「つくる人」ではないからです。



プロデューサーは「つくる人」ではない


では、プロデューサーは何をしているのか。

一言で言えば、

「つくる仕組みを設計し、成立させる人」

です。

現場に対して制作の方向性を示し、必要な人材や予算を整え、プロジェクト全体を成立させる。ディレクターが作品そのものをつくる人だとすれば、プロデューサーは「その作品が成立する条件」を整える役割です。



ディレクターとの違い


「つくる指示を出すならディレクターでは?」と思われるかもしれませんが、ここは明確に違います。

  • ディレクター:作品をつくる人(演出・判断の主体)

  • プロデューサー:その制作が成立するように全体を動かす人

プロデューサーも現場に指示を出しますが、それは演出ではなく、予算・スケジュール・体制といった“条件”に関する指示です。



クライアントと現場をつなぐ役割


もう一つ重要なのが、プロデューサーは「お金を出す側」と「つくる側」をつなぐ存在だということです。

クライアントが何を求めているのかを理解し、それを現場が実現可能な形に翻訳する。逆に、現場の事情や制約を踏まえて、クライアントに調整を行う。

つまり、

  • 要望をそのまま伝えるのではなく

  • 実現可能な形に変換して届ける

この往復を担うのがプロデューサーです。



プロデューサーがいないと起きること


この役割が欠けると、プロジェクトは簡単に歪みます。

まず、予算配分が適切に行われなくなります。どこにお金をかけるべきかの判断がなければ、作品の品質は安定しません。

また、クライアントの意図が正しく現場に伝わらず、「言った・言わない」や「イメージと違う」といったズレが発生しやすくなります。

さらに、現場側の負担も増えます。本来分離されるべき判断や交渉が現場に流れ込み、制作そのものに集中できなくなります。



プロデューサーは“全部わかっている”必要がある


こうした役割を担う以上、プロデューサーは映像制作の全工程を理解している必要があります。

演出、撮影、照明、録音、編集——それぞれの工程で「何をするとどうなるか」を把握していなければ、適切な判断ができません。

理想を言えば、どの工程も自分で一通りできるレベルの理解があることです。そうでなければ、条件設計そのものが成立しないからです。



「プロデューサー費」は削っていいのか


クライアントの立場からすると、「プロデューサー費は削れないか」と考えるのは自然です。

実際、数百万円規模までの案件であれば、ディレクターと直接やり取りすることで成立するケースもあります。

しかし、予算が大きくなるほど、関わる人数も要素も増え、調整の難易度は一気に上がります。1,000万円を超えるような案件では、プロデューサー不在はかなり高い確率でリスクになります。

一般にプロデューサー費は総予算の10%前後と言われますが、それによって全体の品質と進行が安定するのであれば、コストとしては合理的とも言えます。



プロデューサーは「つくる責任」を持つ人


プロデューサーは手を動かして作品をつくるわけではありません。しかし、作品が成立するかどうかの責任は負っています。

言い換えれば、

「つくらないが、完成の責任を持つ人」

それがプロデューサーです。


プロデューサー
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映像制作を発注する企業担当者のための情報発信です。

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執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。

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