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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。
抜け
カメラが狙っている被写体の背後の景色、つまり背景のことです。また、クロマキーを使用した時に輪郭がくっきりする時に「抜けがいい」とも言います。
背景という意味の「抜け」
ディレクターが「ここからアレを狙ってヨ」と言うと、カメラマンが「アレね。でもここだと抜けが悪いんだよね」という使い方をします。構図をつくる上で、背景が芳しくないという意味になります。
通常の映像撮影時の「抜けがいい」とは、そのまま「抜け(背景)が(ちょうど)いい」と言う意味になります。必ずしも以下にあるような「クリアである」という意味ではありません。
綺麗に切り取れる「抜け」
またクロマキーを使った撮影や編集時に、モニターを見て「綺麗に抜けているじゃん」と言うのは、透明化した部分と画像の輪郭が綺麗に分離している状態を指します。
クリアを表す「抜け」
ちなみに音響の世界では、音がこもっていない、クリアに聞こえることを「抜けがいい」と言いますし、写真の世界では、はっきりとクリアに見え、鮮明に見えることを「抜けがいい写真」と言うそうです。
【抜き】
これは「抜け」とは別の次元の用語です。画面に映る大勢の中から、話題に登場した人をカメラがアップで捉えることを「抜く」と言い、そのカットを「抜き」と言います。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
空間の「余白」としてのニュアンス
「背景」という言葉が単に後ろにある壁や景色を指すのに対し、「抜け」と呼ぶ場合は、そこに広がりや余白があるかどうかも考慮されています。例えば、人物の後ろにすぐ壁がある状態では「抜けがない」と言い、遠くまで見通せる空間がある状態を「抜けがある」と言います。つまり、被写体を際立たせるための「逃げの空間」というニュアンスが含まれています。
演出意図を共有するための共通言語
撮影前のロケハンやアングルチェックにおいて、「抜けに空を入れたい」「抜けに街の明かりが欲しい」といった使われ方をします。これは、主役だけでなく、その背後にある情報の質が映像全体の印象を決定づけるという認識があるからです。「抜け」は、単なる物理的な背景ではなく、映像の奥行きや情緒をコントロールするための重要なデザイン、構図設計要素として扱われています。
