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医療機関における映像コンテンツ活用の可能性と体制構築の重要性

更新日:5 日前

1 医療機関における映像コンテンツ利用の有用性


映像が医療分野に果たせる大きな役割


近年、医療機関においても映像コンテンツの活用が進みつつあります。患者さん向けの分かりやすい治療説明動画、医療従事者の教育研修用コンテンツ、院内外への広報や信頼醸成を目的とした紹介映像など、その役割は多岐にわたります。映像は視覚と聴覚の両方に訴えるため、理解促進効果が高く、言葉だけでは伝わりにくい医療情報を正しく、そして安心感をもって届けることができます。



医療映像制作に伴うリスクと課題


一方で、医療映像の制作には特有のリスクが伴います。誤解を招く表現や不正確な情報は、患者さんの不安を煽ったり、誤った判断を誘発する危険性があります。また、薬機法をはじめとする各種法令、さらには学会や医療機関のガイドラインに準拠しない内容は、法的リスクや信用失墜につながりかねません。こうした背景から、医療映像はその有効性に比して、実際の活用事例はまだ限られているのが現状です。


はい、承知いたしました。以下に記事の目次を作成します。


目次


- 2-1. 患者・家族向け(診療支援/患者体験の改善)

- 2-2. 医療従事者向け(教育・標準化)

- 2-3. 病院広報・地域連携(ブランディング/CSR)

- 2-4. 採用・組織開発(医師/看護師/コメディカル)

- 2-5. 医療機器・製薬(B2B/B2HCP)

- 2-6. 研究・学術発信(アカデミア/学会)

- 2-7. 行政・保健(公衆衛生)

- 2-8. 表現・技術

- 2-9. 制作フローとガバナンス(失敗しない進め方)

- 2-10. パッケージ提案(組み合わせ例)

- 3-1. 患者教育系(術式説明・セルフケア・服薬/デバイス操作)

- 3-2. 医療従事者教育系(手技・手術映像)

- 3-3. 病院広報・地域連携(病院紹介、診療科案内)

- 3-4. 医療機器・製薬関連コンテンツ

- 3-5. 研究・学術発信(症例カンファレンス・ビデオアブストラクト)


VRゴーグルで患部の説明を受ける患者と説明するドクター


適切な監修・監督・チェック体制が成功の鍵


しかし、この課題は決して乗り越えられないものではありません。適切な「医療監修」「リーガルチェック」「学術的監督体制」を構築することで、リスクを抑えながら映像の高い有効性を実現できます。医学的に正確であることはもちろん、患者さんが安心して視聴できる表現、法令に適合した記述を組み合わせることで、映像は安全かつ強力なコミュニケーションツールへと変わります。



経験豊富な映像制作会社がリードするプロセス


私たちは、こうした体制づくりと制作プロセスをリードできる経験を有しています。医療現場や製薬関連での制作実績をもとに、

  • 制作前段階での医師・専門家とのディスカッション

  • 脚本段階での医事・リーガル監修の組み込み

  • 撮影・編集工程での正確性と視認性の担保

  • 公開前の最終リーガルチェック

といった流れを徹底することで、医療機関が安心して映像を活用できる体制を整えます。



2 映像コンテンツ案


2-1 患者・家族向け(診療支援/患者体験の改善)


術式・検査の事前説明アニメーション

  • 目的:不安軽減・同意取得の質向上

  • 形式:3DCG+モーショングラフィックス、3–6分/章立て

  • 配信:院内端末・患者ポータル・YouTube限定公開

  • ポイント:医学監修、専門用語は平易化(やさしい日本語/多言語字幕/音声読み上げ)

  • KPI:説明時間短縮、同意書回収率、質問件数の変化


外来~入院~退院までのオリエンテーション

  • 目的:動線・持ち物・費用・面会ルールの周知

  • 形式:実写+図解、5–8分

  • 配信:初診予約後の自動送付・QR掲示

  • ポイント:当日フローをUI的に見せる(タイムライン/アイコン)

  • KPI:受付滞留時間、問い合わせ削減


セルフマネジメント(慢性疾患)シリーズ

  • 目的:再入院率・服薬アドヒアランス改善

  • 形式:1–3分×10本(食事・運動・モニタリング)

  • 配信:LINE配信・患者アプリ・待合モニター

  • ポイント:行動変容フレーム(Tiny Habits等)を台本化、季節版を更新

  • KPI:自己測定実施率、HbA1cなどの臨床指標の傾向(施設側で評価)


服薬・デバイス使用ハウツー(吸入器/自己注射)

  • 目的:誤操作防止

  • 形式:上半身マクロ撮影+CGの手順重ね、90–120秒

  • 配信:薬剤交付時のQR、患者アプリ

  • ポイント:手順番号・NG例の対比、手指衛生の強調

  • KPI:使用ミス報告数


リハビリ運動ガイド(自宅編)

  • 目的:家庭での継続支援

  • 形式:30–60秒ショート×20本(部位別)

  • 配信:リハビリ計画書と同梱QR

  • ポイント:誤ったフォームのリスク表示、難易度別に分岐

  • KPI:通院間隔内のエクササイズ実施記録




2-2 医療従事者向け(教育・標準化)


基本手技トレーニング(清潔操作、採血、創傷処置)

  • 形式:俯瞰+術者目線+字幕、各3–5分

  • ポイント:チェックリスト準拠、PPEのドーニング/ドフイングを別章に

  • KPI:インシデント/ヒヤリハットの特定項目削減


手術・処置手技の教育(非公開ライブラリ)

  • 形式:術野カメラ+CGオーバーレイ、10–20分

  • ポイント:症例データの匿名化、術式バリエーション比較

  • KPI:術者間の手技差異の縮小、手技習熟までの症例数


新人看護師オンボーディング

  • 形式:病棟ルール・記録・口頭指示の受け方、2–4分×15本

  • ポイント:判断フロー図・NGトーク例

  • KPI:離職率/3カ月定着率


医療安全ドラマ(再現ドラマ×対話型)

  • 形式:事例→原因分析→再発防止、7–10分

  • ポイント:視聴後クイズ連動(LMS連携)

  • KPI:受講率、理解度テスト、是正策実施率


感染対策マイクロラーニング

  • 形式:30–60秒ショート×30本(環境清拭、ゾーニング等)

  • KPI:サーベイランス指標(HCAI率)のトレンド



2-3 病院広報・地域連携(ブランディング/CSR)


病院紹介・設備ツアー

  • 目的:地域住民の理解・紹介受診の適正化

  • 形式:3–4分、施設案内+診療強みの可視化

  • ポイント:「何ができ、何は他院と連携するか」を明確化

  • KPI:紹介率、適切受診比率


地域包括ケア説明/在宅医療の使い方

  • 形式:2–3分×シリーズ

  • KPI:在宅サービス利用件数、相談件数


災害時BCP・訓練映像

  • 形式:訓練ドキュメント+手順動画

  • KPI:訓練参加率、初動時間短縮


多言語・バリアフリー案内

  • 形式:館内サインの動画化、手話・字幕・UDフォント

  • KPI:外国語問い合わせ件数の減少、迷子動線の短縮




2-4 採用・組織開発(医師/看護師/コメディカル)


レジデント募集ムービー

  • 目的:応募増・ミスマッチ低減

  • 形式:2–3分、指導体制・症例の幅・教育カリキュラム

  • ポイント:個人の体験談に依存せず制度設計の可視化

  • KPI:応募数、一次辞退率


看護部採用/復職支援動画

  • 形式:働き方・夜勤体制・支援制度、1–2分×シリーズ

  • KPI:見学申込、定着率


カルチャーデック動画(内部向け)

  • 目的:理念浸透・ハラスメント抑止

  • 形式:90秒×10本、行動規範のケース別再現

  • KPI:サーベイスコア、相談件数推移



2-5 医療機器・製薬(B2B/B2HCP)


製品メカニズム解説3DCG

  • 目的:理解促進・誤使用防止

  • 形式:2–4分、MOA/MODの視覚化

  • KPI:導入率、サポート問い合わせ削減


手技連動デモ(KOL監修)

  • 形式:手技シナリオ別5–8分

  • KPI:採用施設数、学会ブース滞在時間


学会ブース用ループ映像

  • 形式:30–45秒無音ループ×数本

  • KPI:来場スキャン数、商談化率


治験参加者向け説明動画(CRO連携)

  • 形式:3–5分、参加条件・スケジュール・リスク

  • KPI:同意率、ドロップアウト率



2-6 研究・学術発信(アカデミア/学会)


ビデオアブストラクト/Graphical Summary動画

  • 形式:60–90秒

  • 配信:論文ページ・SNS

  • KPI:Altmetrics、被引用増の間接指標


症例カンファレンス教材化

  • 形式:個人情報匿名化・音声合成で再現

  • KPI:教育参加率、評価アンケート


VR/360°シミュレーション

  • 用途:救急トリアージ、外傷初期対応、災害医療

  • KPI:訓練の到達度、対応時間短縮



2-7 行政・保健(公衆衛生)


予防接種・スクリーニング受診勧奨

  • 形式:15–30秒×複数言語/SNS最適化

  • KPI:接種率・受診率


健康危機コミュニケーション(リスク&ハザード)

  • 形式:最短尺の指示型モーショングラフィックス

  • KPI:誤情報拡散抑制、行動遵守率



2-8 表現・技術

  • 医療3DCG:解剖学的正確性、階層的ズーム、透過表示

  • 術者視点/スコープ連携:内視鏡・顕微鏡・Cアームの信号取り回し

  • データ可視化:アウトカム、稼働率、医療の質指標のアニメーション化

  • インタラクティブ:クイズ分岐・LMS連携・視聴データで改善

  • アクセシビリティ:字幕・手話・音声ガイド・ピクトグラム・多言語

  • 360/VR/AR:導線案内、オペ室シミュレーション、ARオーバーレイ

  • セキュリティ:匿名化(顔・声・データ)、局所モザイク、オンプレ配信



2-9 制作フローとガバナンス(失敗しない進め方)

  1. 要件定義:対象(患者/職員/地域)・目的・KPIを明文化

  2. 規制・規程確認:広告規制、個人情報、撮影許可、施設ルール

  3. 医学監修体制:監修医・看護部・薬剤部のレビューゲート

  4. 同意取得:患者・職員の出演同意、撮影エリアの掲示

  5. 匿名化設計:氏名・カルテ・モニタ表示のリスク洗い出し

  6. 編集・保守:更新前提のテンプレ化、院内LMS/ポータル格納

  7. 評価:公開前ABテスト、公開後のKPIトラッキング

  8. 更新:ガイドライン改訂や機器更新時のアップデート枠



2-10 パッケージ提案(組み合わせ例)

患者教育ライブラリ50本セット

  • 章立てテンプレ+多言語字幕、年2回更新


新人向けeラーニング一式

  • 30本+理解度テスト+受講管理CSV


採用ブランディング一括

  • 病院紹介1本+職種別3本+求人LP用短尺6本


学会出展キット

  • ループ映像3本+製品CG1本+ブース用無音字幕版




3 医療映像制作における監修・リーガルチェックリスト


3-1. 患者教育系(術式説明・セルフケア・服薬/デバイス操作)


医療監修

  • 担当医師・専門医による シナリオ段階からの確認

  • 使用する図・CGが 解剖学的に正しいか

  • 医学的リスク・副作用・禁忌事項の 記載漏れがないか

  • 推奨する行動(食事・運動・薬の飲み方)が ガイドライン準拠

  • 監修医の氏名・肩書き をエンドロールや資料で明示


リーガルチェック

  • 医療法に基づく 広告規制(虚偽・誇大・比較優良・体験談) に抵触しないか

  • 説明内容が 薬機法の承認範囲を逸脱していないか

  • 多言語版を作る際は 誤訳が誤診誘発しないか(公式翻訳プロセス)

  • 患者映像使用時は インフォームド・コンセント取得書類 があるか



3-2. 医療従事者教育系(手技・手術映像)


医療監修

  • 学会・厚労省の 標準手順やガイドライン との整合性確認

  • 術野映像や処置映像は 専門医による複数レビュー

  • 病院ごとの差異がある場合は 「当院の手順」表記を明記


リーガルチェック

  • 撮影時に 患者同意(術中映像利用同意書) があるか

  • 個人情報(モニター画面、カルテ、顔声)は 匿名化処理済みか

  • 外部公開の場合、学会発表・教育用途のみ に限定しているか

  • 万一誤使用があった場合の 免責文言 があるか



3-3. 病院広報・地域連携(病院紹介、診療科案内)


医療監修

  • 各診療科責任者による メッセージ内容の承認

  • 公表するデータは 最新かつ公的出典あり(例:DPCデータ、学会認定数)

  • 「できること/できないこと」 の境界を曖昧にしていないか


リーガルチェック

  • 医療広告ガイドラインに基づき

    • ✗ 「必ず治ります」などの断定表現

    • ✗ 「当院はNo.1」などの優良比較

    • ✗ 患者の体験談の掲載(原則禁止)

  • 施設の理念・症例数・認定資格など 客観的事実の範囲 に留める

  • 利用するBGM・映像素材の 著作権処理 を確実に



3-4. 医療機器・製薬関連コンテンツ


医療監修

  • 作用機序(MOA)、使用法(IFU)が 承認資料と一致

  • 監修医師と企業の 利害関係(COI) を明示

  • 学会発表素材として流用する場合、学術的正確性の担保


リーガルチェック

  • 薬機法 の「承認内容を超える効能効果」記載禁止

  • 添付文書・IFU に記載されていない表現をしていないか

  • 海外データを引用する場合は 日本未承認である旨 を注記

  • 治験・臨床試験関連は GCP(治験実施基準) 遵守+倫理委員会承認



3-5. 研究・学術発信(症例カンファレンス・ビデオアブストラクト)


医療監修

  • 学術的誤りがないか(データ・画像・統計解析の正確性)

  • 症例提示に倫理委員会の承認 があるか

  • 学会形式に沿った 開示事項(COI、倫理承認番号) を表示


リーガルチェック

  • 個人情報保護法に基づき、患者特定可能な情報(顔・声・珍しい症例)は完全匿名化

  • 海外ジャーナルに提出する場合は 国際的規範(ICMJE、CONSORT、CARE) 準拠か

  • 二次利用(学会→YouTube公開など)の際は 改めて同意確認



4 医療機関の未来に貢献する映像制作


映像は、医療現場の信頼性を高め、患者さんとのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、地域社会に向けた情報発信や、医療従事者教育の効率化にもつながります。これらの効果は、適切な監修体制さえ整えば、必ず実現可能です。

私たちは、医療機関の皆さまとともに、こうした新しいコミュニケーション手段を積極的に活用し、医療の現場をさらに前進させていきたいと考えております。ぜひ一度、映像制作の可能性にトライしてみてください。

名古屋の映像制作会社SynAppsのプロデューサーは、医療関係の映像コンテンツ制作の経験を豊富に積んでいて、あなたの目指す理想の医療のお手伝いをします。お気軽にお問い合わせください。


【当社プロデューサー・医療関係実績】

藤田医科大学病院・メディカルインバウンド「藤田医科大学医院国际医疗中心」

エーザイ・ジャパン「急性期病院における身体拘束ゼロ病棟達成の取り組み」

社会保険中京病院/熱傷センター症例映像制作

名古屋大学医学部胸部外科・脳神経外科学会映像制作


【執筆者】

本記事はこれまでに名古屋大学病院、社会保険中京病院、藤田医科大学病院など、数多くの医療機関や製薬会社などの課題解決のための映像を制作してきた、名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps代表が執筆しました。

会社概要はこちら → [当社について] [当社の特徴]


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