【人事必見】採用動画10タイプ別の成功ポイント|失敗しない企画選びのコツ
- Tomizo Jinno
- 8月10日
- 読了時間: 8分
更新日:10月11日
このパターン化は、採用活動の現場において、企業の採用担当者が主体的に採用ツールを企画し、制作に関わるようになったことの証左です。
求職者の多様なニーズを理解し、彼らが本当に知りたい情報を届けるためには、企業側が「どんなテーマで、どのように伝えるか」を戦略的に考える必要があります。多くの採用担当者がその課題に正面から向き合い、試行錯誤を重ねた結果、「企業理念の紹介」「社員インタビュー」「職場環境」「一日の業務密着」といった、求職者が求める具体的な情報を提供する形式が、効果的な手法として確立されてきたということでしょう。
しかし、近年この傾向に比例して、ウェブ上で見かける採用動画の中には、テーマと制作手法・材料の選択が一致していない例が増えています。私は映像プロデューサーとして、この数多くの採用動画の企画制作を手がけてきましたが、伝えたいメッセージと見せ方がずれていると、求職者に響くどころか、かえって不信感を与ることを知っています。
今日のテーマ「類型から選択する採用動画と肝心なこと」では、WEB上でよく見かける採用動画のテーマパターンを10タイプ挙げ、それぞれのタイプで「これだけは気をつけてほしいこと=肝心なこと」を一つずつ紹介したいと思います。どのタイプを選ぶべきなのか、社内事情と求人の実情をよく観察して、「肝心なこと」に留意いただけると幸いです。
実際の制作は映像制作会社に外注することを前提として、技術的なことは除きます。
1. 企業紹介・ブランディング動画
企業の理念、歴史、事業内容を包括的に紹介する動画。
会社の全体像を伝え、企業ブランドへの理解と共感を促進します。
肝心なポイント
理念と実態の一致性を示すこと。美辞麗句だけでなく、具体的な取り組みや実績で理念の実現を証明する。視聴者が「本当にそうなのか?」と疑問を持たない説得力のある構成にする。エビデンスとなる「もの」や「こと」が見せられることが肝心です。

2. 社員インタビュー・体験談動画
実際に働く社員が仕事のやりがいや成長体験を語る動画。リアルな声により、求職者に具体的なイメージを提供し、信頼性を高めます。
肝心なポイント
台本感を排除し、自然で率直な発言を引き出すこと。質問内容の事前開示は良し悪しがあります。なによりも「社を代表するひとりとして相応しい人選」が重要です。撮影場所が粉塵業務現場でないかぎりマスクは不可です。視聴者はマスクで口を隠している人の話を信用しずらいものです。

3. 職場環境・オフィス紹介動画
働く環境やオフィスの雰囲気を映像で紹介する動画。
職場の居心地の良さや設備の充実度をアピールし、働きやすさを訴求します。
肝心なポイント
漠然と働いている様子ではなく、背景に映り込む社員一人一人も、すべて見られていると考え、真剣、あるいは明るく業務に励んでいるいることが重要です。粉塵業務現場でない限り、背景に映る人もマスクの着用は不可です。受け止め方は様々ですが、総じて職場の人間関係がすこぶる良好であるとは受け取りにくいからです。

4. 一日の業務密着動画
特定の職種の社員に密着し、一日の業務の流れを紹介する動画。
具体的な仕事内容や業務プロセスを可視化し、職種への理解を深めます。
肝心なポイント
業務の大変さや難しさも隠さないこと。やりがいだけでなく、現実的な課題や忙しさも含めて紹介し、入社後のギャップを防ぐ。具体的なスキルや経験が必要な部分を明確に示します。人選を決して妥協しないことが重要です。

5. 研修・成長支援制度紹介動画
新人研修やキャリア開発制度、スキルアップ支援などの成長環境を紹介する動画。
学習意欲の高い求職者にアピールし、長期的なキャリア形成への安心感を提供します。
肝心なポイント
制度の存在だけでなく、実際の活用実績と成果を示すこと。「制度があります」ではなく「○名が活用し、こんな成長を遂げました」という具体的な事例を提示します。

6. 福利厚生・働き方紹介動画
充実した福利厚生制度やワークライフバランスの取り組みを紹介する動画。
働きやすさや待遇面での魅力を訴求し、多様な働き方への対応をアピールします。
肝心なポイント
制度の利用しやすさと実際の利用率を示すこと。制度があっても使えない環境では意味がないため、上司の理解や同僚のサポートなど、利用を支える文化があることを証明します。よほど自信がある福利厚生、働き方体制でない限り、中途半端には扱わな方がいい事項です。

7. 企業文化・チームワーク動画
社内イベントやチームの連携、企業独自の文化や価値観を紹介する動画。
組織の雰囲気や人間関係の良さを伝え、帰属意識の醸成を図ります。
肝心なポイント
表面的なイベントだけでなく、日常業務での協力関係を映すこと。懇親会の楽しい様子だけでなく、困った時の助け合いや意見交換の場面など、実質的なチームワークを示します。客観的に見て素敵な職場に見えるよう描けそうもない時は、この企画は避けます。

8. 社長・経営陣メッセージ動画
経営トップが直接、企業のビジョンや求める人材像について語る動画。
経営者の人柄や熱意を伝え、企業の方向性と安定性をアピールします。
肝心なポイント
抽象的なビジョンではなく、具体的な行動計画と社員への期待を明確に示すこと。経営者の人柄が伝わる自然な表情や話し方を重視し、威圧的にならないよう注意します。どんな場所(部屋、背景)で収録するかは非常に重要です。必ず事前にロケハンして背景とあかり(照明)を完璧にしましょう。この手法が似合わない社長の場合は、この手法は避けます。

9. プロジェクト・成果紹介動画
具体的なプロジェクトの成功事例や社会的インパクトのある取り組みを紹介する動画。
仕事の意義や達成感を伝え、やりがいのある仕事であることをアピールします。
肝心なポイント
社外の人、無関係な人が見てもインパクトがある事案であり、そのことを視聴者が理解、納得できるよう描けるプロジェクトがない場合は、このタイプは採用しないこと。必ずしもわかりやすいプロジェクトでなくても、納得できるよう描ければOK。

10. 内定者・新入社員フォロー動画
内定者や新入社員の成長過程や先輩社員のサポート体制を紹介する動画。
入社後の不安を軽減し、受け入れ体制の充実をアピールして安心感を提供します。
肝心なポイント
不安や悩みを抱える新人の等身大の姿を見せること。完璧にできている新人ではなく、試行錯誤しながら成長する姿と、それを支える先輩や上司の具体的なサポート内容を示します。
人選は重要です。早々に退社してしまった場合の対策はしておくべきです。

まとめ
ネット上で見かける採用動画を数多く視ていると、人事担当の方も「あ、これかっこいい」とか「この会社いいかも」と思う動画があり、これはぜひ自社にも採用してみたいと考えるのは無理もありませんが、その採用動画がかっこいい、いい会社に見えるのはその会社が実際にかっこよくて、いい会社だからです。
ここをよく勘違いされるのですが、実は「映像は嘘がつけません」。それこそ生成AIで素敵な映像なんて簡単!?なんて事はあり得ません。プロに頼めばなんとでもなる、ということもありません。プロはなんとかなる材料と方法を見つけ出しているのです。
ご一緒に、あなたの会社にある「いいところ」をみつけて映像を作りましょう。
あなたの会社の自慢はなんですか?素敵な社員のみなさんを、素敵に描きだしましょう。
採用動画の企画制作は、名古屋の映像制作会社 株式会社SynAppsへ。
【弊社プロデューサー制作事例】
日本代表する企業グループのIT企業として川上に位置する企業ならではの、人材スクリーニングを企図したインタビューを多数掲載しています。インタビューの背景には、意図的にオフィスの様子を散りばめています。
旋盤工という仕事の職人性とリアルを、DSLRによってシネマティックに描くことで、的確な人材の獲得と企業ブランディングを図っています。
東海地方を代表するゼネコンとして、確固たる基盤を築いていることを映像で印象づけながら、職場のリアルと働きがい、社員としての「居場所がある」ことを表現してます。
四日市海運グループ(非公開)
採用担当者から「港湾荷役という3Kと言われる職場であっても、働きがいがある「かっこいい」職場であることを高校生たちに見せたい」と依頼を受け、15分を超える長編で描きました。DVDに動画ファイルを入れ、県内の高校に配布して希望者に見てもらっています。
職場のリアルをかっこよく描くことで、志望動機の獲得と、人材スクリーニングを両立しました。
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【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。
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