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名古屋の映像制作会社が解説:金融業界の動画利用の注意点

更新日:6月30日

IR インベスターリレーションのための映像制作が増えています。勢い、BtoB映像制作会社には金融方面の知識も求められます。しかし、映像づくりという仕事をする者の多くは、金融業界は縁が遠く、そのビジネスの仕組みや核心がどういうものなのかを深く理解しているとは言えません。しかし、近年この業界でも映像・動画を使ったビジネスコミュニケーションが盛んに行われています。一般常識程度の知識は持っておきたいものです。



金融業界の基礎知識

1. 金融業界における動画利用


金融業界は、かつては非常に保守的で、情報発信においても堅実さを重視する傾向が強くありました。しかし、デジタル技術の進化と顧客ニーズの変化に伴い、動画の活用が急速に進んでいます。金融業界は動画をどのように活用しているのでしょうか。



1.1 金融業界における動画マーケティングの現状と目的


金融業界における動画マーケティングは、単に商品を宣伝するだけでなく、ブランドイメージの向上、顧客理解の促進、そして最終的な顧客獲得へと繋げるための多角的な戦略として位置づけられています。


1.1.1 複雑な金融商品の分かりやすい解説


金融商品は、その仕組みや専門用語が多く、一般の消費者にとっては理解が難しい側面があります。例えば、投資信託の種類、保険の保障内容、ローンの金利体系などは、文字情報だけでは十分に伝わりにくいものです。動画は、この「分かりにくさ」を解消しています。

アニメーションインフォグラフィックスを使用して、抽象的な概念を図式化し、視覚的に訴えかけ、キャラクターを用いたストーリー仕立ての解説動画や、具体的な生活シーンを想定したシミュレーション動画などがつくられています。



1.1.2 ブランディングと信頼構築


金融機関にとって「信頼」は事業の根幹です。動画は、企業の理念や歴史、社会的責任への取り組みなどを感情豊かに伝えることで、顧客からの信頼感を醸成する上で有効に働いています。


  • 企業理念・ブランドストーリー動画: 創業者や現経営者のインタビュー、企業の歩みを紹介するドキュメンタリータッチの動画は、企業の誠実さや安定感をアピールしています。


  • 社会貢献・ESG活動動画: 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを映像化することで、企業の社会的価値を高め、共感を呼んでいます。例えば、地域の子どもたちへの金融教育活動や、再生可能エネルギープロジェクトへの融資事例などです。


  • 社員の想い・働く姿: 実際に働く社員のインタビューを通じて、彼らがどのような想いで顧客と向き合っているのか、どのようなサービスを提供しようとしているのかを伝えることで、企業への親近感と安心感を高めています。



1.1.3 顧客体験の向上とエンゲージメント強化


顧客が金融サービスを利用する際の体験をよりスムーズで満足度の高いものにするためにも、動画は活用されています。


  • Webサイト・アプリでの活用: 商品ページに解説動画を埋め込んだり、オンラインバンキングの操作方法をチュートリアル動画で示したりすることで、顧客は迷うことなく必要な情報にアクセスし、サービスを利用できます。


  • SNSでのショート動画: InstagramのリールやTikTok、YouTubeショートなど、短い動画で日々の生活に役立つ金融知識や投資のヒントなどを発信することで、顧客との継続的な接点を持ち、エンゲージメントを高めます。


  • 顧客の声・成功事例: 実際にサービスを利用した顧客の成功事例や感謝の声などを動画で紹介することで、新規顧客の安心感を醸成し、サービス利用への後押しをします。



1.1.4 顧客層に合わせたコンテンツ戦略


金融サービスを利用する顧客層は、若年層から高齢者、高所得者からファミリー層まで非常に多様です。それぞれの層の金融リテラシーやニーズ、情報収集行動に合わせて動画コンテンツを最適化しています。


  • 若年層・初心者向け: アニメーションや親しみやすいキャラクターを用いた、基礎的な金融知識や資産形成の重要性を啓発するショート動画。SNSでの拡散を意識した企画。


  • 中堅・ファミリー層向け: 住宅ローンや教育資金、老後資金など、ライフイベントに合わせた具体的なシミュレーションや、専門家によるアドバイス動画。


  • 富裕層・専門家向け: 最新の市場動向分析、税制改正の解説、複雑な金融商品の詳細な説明など、より高度な情報提供を目的とした動画。ウェビナー形式で質問を受け付けるライブ配信など。



1.1.5 獲得チャネルとしての動画広告


金融機関は、YouTube、Facebook、Instagram、TikTokなどの主要な動画プラットフォームで動画広告を積極的に展開しています。


  • ターゲティング広告: 顧客の属性や興味関心に基づいて動画広告を配信することで、特定のターゲット層に効率的にリーチ。


  • リターゲティング広告: Webサイトを訪問したもののコンバージョンに至らなかったユーザーに対し、再度関連性の高い動画広告を表示することで、サービス利用を促進。


  • ブランディング広告: 幅広い層に対し、企業のイメージや提供する価値を効果的に伝え、認知度を向上。



1.2 金融業界における非マーケティング分野での動画利用


動画の活用は、マーケティングに留まらず、金融機関の内部業務や、顧客とのより深い関係構築のための非マーケティング分野でも大きな役割を果たしています。


1.2.1 採用活動と人材育成


金融業界は、デジタル化の進展に伴い、IT人材やデータサイエンティストなど、従来の金融知識に加え、新たなスキルを持つ人材の獲得が急務となっています。動画は、採用活動において企業の魅力を効果的に伝え、ミスマッチを防ぐ上で非常に有効に働いています。


  • 採用ブランディング動画: 企業の文化、職場の雰囲気、社員のやりがいなどを映像で伝えることで、求職者に具体的なイメージを提供。


  • 社員インタビュー動画: 若手からベテランまで、様々な職種の社員が仕事の面白さや苦労、将来の展望などを語ることで、求職者は自分自身が働く姿を具体的にイメージ。


  • 社内研修・教育動画: 新入社員研修、コンプライアンス研修、商品知識研修など、座学では理解しにくい内容を動画で分かりやすく解説します。繰り返し視聴が可能で、場所や時間に縛られずに学習できるため、従業員のスキルアップと教育コストの削減に貢献します。特に、複雑な金融規制や最新の市場動向に関する情報は、動画で視覚的に示すことで理解度を高めています。


  • 社内コミュニケーション: トップメッセージや部署間の情報共有、全社ミーティングの録画配信など、社内コミュニケーションの円滑化にも動画は活用されています。



1.2.2 顧客サポートとコンサルティング


顧客が抱える疑問や課題に対し、動画は効果的なサポートを提供しています。


  • FAQ動画: よくある質問に対する回答を動画で提供することで、顧客はいつでも自己解決でき、コールセンターへの問い合わせ負担を軽減。


  • トラブルシューティング動画: オンラインサービスでのログイン方法、パスワード再設定、送金手続きなど、具体的な操作手順を画面録画とナレーションで示すことで、顧客の自己解決を支援。


  • 個別相談・オンライン面談: 遠隔地の顧客や多忙な顧客に対し、オンライン会議システムを用いた動画通話で個別相談や資産運用コンサルティングを提供します。これにより、物理的な制約を超えて質の高いサービスを提供。



1.2.3 広報・IR活動


株主や投資家、メディア、地域社会といったステークホルダーへの情報発信においても、動画は重要な役割を担っています。


  • 決算説明会動画: 決算発表会や事業戦略説明会の様子を動画で配信することで、より多くの投資家やアナリストが情報にアクセスできるようになります。経営トップの肉声や表情は、企業への理解と信頼を深めています。


  • 統合・再編発表動画: 経営統合やM&Aといった重要な発表の際には、その背景や目的、将来の展望などを動画で説明することで、ステークホルダーへの誤解を招くことなく、正確な情報伝達を行いっています。


  • 災害時・緊急時の情報提供: 自然災害やシステム障害などの緊急時には、動画で迅速かつ分かりやすく状況説明や対応方針を伝えることで、顧客や社会の不安を軽減し、信頼を維持。



1.2.4 リスク管理とコンプライアンス


金融業界は、マネーロンダリング対策やサイバーセキュリティ対策など、厳格なリスク管理とコンプライアンスが求められます。動画は、これらの分野でも活用されています。


  • 不正防止・セキュリティ啓発動画: 顧客や従業員に対し、フィッシング詐欺や不正アクセスへの注意喚起、パスワード管理の重要性などを、具体的な事例を交えながら分かりやすく伝えています。


  • 社内規定・ガイドライン解説動画: 複雑な社内規定やコンプライアンスガイドラインを動画で解説することで、従業員の理解度を高め、遵守意識を向上。



1.3 今後の展望とBtoB映像制作会社への期待


金融業界における動画の利用は、今後もさらに多様化・高度化していくことが予想されます。


  • パーソナライズ化の推進: AIやビッグデータ分析を活用し、個々の顧客の金融リテラシー、資産状況、ライフステージに合わせたパーソナライズされた動画コンテンツの提供が加速するでしょう。


  • インタラクティブ動画の進化: 視聴者が動画内で選択肢を選んだり、情報を入力したりすることで、個別のニーズに応じた情報提供を行うインタラクティブ動画の活用が進む可能性があります。


  • 新たなプラットフォームへの対応: 短尺動画プラットフォームの多様化や、メタバース空間での金融サービス展開など、新たなデジタル環境に合わせた動画戦略が求められます。


BtoB映像制作会社は、金融業界が抱えるこれらのニーズと課題を深く理解し、単に「きれいな映像」を作るだけでなく、「顧客の金融リテラシーを高める」「信頼を構築する」「複雑な情報を分かりやすく伝える」「行動を促す」 といった具体的な目的を達成できる動画コンテンツの企画・制作力が強く求められています。金融機関のコンプライアンス要件を理解し、専門知識を正確に表現できる制作体制を構築することが、金融業界とのパートナーシップを深める鍵となります。

動画は、金融機関が顧客、従業員、そして社会との接点を多様化し、より深く、より効果的にコミュニケーションを図るため、その重要性を増していくに違いありません。

2. 金融とは私たちの生活とビジネスを支える仕組み


2.1 金融の基本的な役割


金融とは、一言で言えば「お金を必要としている人や企業」と「お金を余らせている人や企業」を結びつける仕組みのことです。

手元に十分な資金がない場合、銀行から融資を受けることを検討するでしょう。一方で、個人投資家が将来のために貯蓄しているお金は、銀行に預けられたり、投資信託を通じて運用されたりしています。このように、資金を必要とする側と供給する側を仲介し、経済活動を円滑に進めるのが金融の重要な役割です。



2.2 金融業界を構成する主要なプレーヤー


金融業界は多様なプレーヤーで構成されています。

最も身近に感じるのは銀行かもしれません。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクのほか、各地域に根差した地方銀行、信用金庫、信用組合などが存在します。これらは、皆様からの預金を企業や個人への融資に回すことで、経済を活性化させています。


次に、証券会社があります。野村證券や大和証券などが代表的ですが、株式や債券の売買を仲介したり、企業の資金調達をサポートしたりしています。BtoB映像制作会社が将来的に株式公開(IPO)を目指す場合、証券会社が重要なパートナーとなるでしょう。


保険会社も金融業界の重要な一翼を担っています。日本生命や東京海上などが有名ですね。私たちは、万が一の事態に備えて保険料を支払いますが、保険会社はその保険料を運用し、事故や病気といったリスクが発生した際に保険金を支払います。


近年では、これまでの枠組みにとらわれない新しい金融サービスを提供するFinTech企業も台頭しています。スマートフォン決済サービスのPayPayや、クラウド会計ソフトを提供するfreee、マネーフォワードなども、広義の金融業界に含まれるようになっています。映像制作会社の皆様にとっても、経理業務の効率化や決済手段の多様化において、これらのサービスは非常に身近な存在となっているのではないでしょうか。



2.3 金融の3つの重要な機能


金融には主に3つの機能があります。


  • 資金仲介機能: 最も基本的な機能で、先述の通り、資金の借り手と貸し手を結びつけます。これにより、資金が効率的に必要な場所に供給され、経済全体が活性化します。


  • リスク移転機能: 個人や企業が単独では負いきれないリスクを、多くの人や組織で分散して負担する仕組みです。保険がその代表例で、例えば火災保険は、万が一の火災による損害リスクを保険会社が引き受け、多くの契約者で分担します。


  • 決済機能: お金のやり取りを円滑にする機能です。現金だけでなく、クレジットカード、電子マネー、銀行振込など、多様な決済手段を提供することで、商取引や個人の消費を支えています。BtoB映像制作においても、クライアントからの報酬の受け取りや、機材購入の際の支払いは、すべてこの決済機能によって成り立っています。




2.4 多様な金融市場


金融市場にはいくつかの種類が存在し、それぞれ異なる機能を持っています。


  • 信用市場: お金の貸し借りが行われる市場で、期間によって短期金融市場(1年未満の取引)と長期金融市場(1年以上の取引)に分かれます。


  • 資本市場: 株式や債券といった有価証券が売買される市場です。東京証券取引所がその中心であり、企業が資金を調達したり、投資家が企業の成長に投資したりする場となっています。


  • 外国為替市場: 異なる国の通貨が交換される市場です。円とドル、円とユーロなどの取引が行われ、国際的な貿易や投資を支えています。


  • デリバティブ市場: 先物取引やオプション取引など、金融商品を原資産とした派生商品が取引される市場です。リスクヘッジや投機の目的で利用されます。




3. 各金融機関の具体的な役割とビジネスモデル


3.1 銀行業界:預金と融資の架け橋


銀行の最も基本的なビジネスモデルは、皆様からの預金を預かり、それを企業や個人への融資に回し、その金利差から収益を得るというものです。例えば、普通預金の金利が非常に低い一方で、住宅ローンや事業性融資の金利を高く設定することで利益を上げています。

しかし、近年は超低金利政策の影響で、この金利差が縮小し、銀行の収益性が圧迫されています。このため、メガバンクは海外事業を強化し、アジアの新興国市場への進出を加速させています。一方で、地方銀行は人口減少や高齢化による融資需要の減少に直面しており、地銀同士の合併・統合が活発化しています。BtoB映像制作会社が地方に拠点を置く場合、地域の金融機関の再編の動きは、取引銀行の選択や融資条件にも影響を与える可能性があります。



3.2 証券業界:企業の資金調達と個人の資産形成を支援


証券会社の収益源は多岐にわたります。


  • 委託手数料: お客様の株式や債券の売買を仲介する際に受け取る手数料です。


  • 引受手数料: 企業が新株発行や社債発行などで資金調達を行う際、その有価証券の引き受け業務を担うことで得る手数料です。


  • トレーディング収益: 証券会社自身が株式や債券を売買して得る利益です。


  • 資産管理手数料: お客様の資産を預かり、運用アドバイスや管理を行うことで受け取る手数料です。



近年では、SBI証券や楽天証券といったネット証券が台頭し、店舗を持たない分、手数料を大幅に安く提供することで顧客層を拡大しています。また、1株から株式を購入できるサービスや、少額からの自動積立投資サービスなど、投資初心者でも気軽に始められるサービスが増え、個人の資産形成を後押ししています。



3.3 保険業界:リスクマネジメントのプロフェッショナル


保険は大きく生命保険と損害保険に分けられます。生命保険は、人の死亡や病気、介護などに備えるもので、終身保険、医療保険、がん保険などがあります。損害保険は、自動車事故や火災、地震などの財産に関する損害に備える保険です。

保険会社のビジネスモデルは、多くの契約者から保険料を集め、その保険料を株式や債券などで運用し、万が一の時に保険金を支払うというものです。運用益を上げることが、保険会社の安定経営に不可欠です。

少子高齢化が進む日本では、介護保険や認知症保険といった高齢化社会に対応した商品の開発が進んでいます。また、InsurTech(インシュアテック)と呼ばれる技術革新も活発で、AIを活用した保険金支払いの自動化や、IoTデバイスと連携した健康増進型保険などが注目を集めています。映像制作会社としては、企業活動における様々なリスク(例えば機材の破損やサイバー攻撃など)に備える損害保険は不可欠であり、最新の保険サービスを検討することは事業継続性を高める上で重要です。



3.4 資産運用業界:「貯蓄から投資へ」を推進


資産運用業界には、投資信託を運用する投資信託委託会社、年金資金を運用する年金基金、富裕層の資産管理を行うプライベートバンクなどが含まれます。

日本の家計金融資産の約2,000兆円のうち、半分以上が現金・預金で保有されているという現状に対し、政府は「貯蓄から投資へ」の流れを推進しています(2023年3月末時点のデータでは50%超が現金・預金)。NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度は、個人投資家が資産形成をしやすい環境を整備するために導入されました。

近年では、ESG投資やSDGs投資といった、環境・社会・ガバナンス(企業統治)の要素を重視した投資手法も注目されています。持続可能な社会の実現に貢献する企業に投資することで、長期的な視点でリターンを得ようとするものです。BtoB映像制作会社が企業のブランディング映像を制作する際、クライアント企業のESGへの取り組みをどのように表現するかは、今後の企業価値を高める上で重要な視点となるでしょう。




4. 金融業界を巡る最新のトレンドと将来展望


4.1 デジタル化の波とFinTechの台頭


金融業界に押し寄せている最も大きな変化は、デジタル化です。キャッシュレス決済の普及は皆様も肌で感じていることでしょう。PayPayやLINE PayといったQRコード決済サービスは、特にコロナ禍を経て急速に浸透しました。

銀行業務もデジタル化が進み、スマートフォン一つで口座開設から送金、投資まで完結できるサービスが登場しています。BtoB映像制作会社の皆様も、オンラインバンキングやクラウド会計サービスを活用することで、経理業務の効率化を図っていることと思います。

また、FinTech(金融とテクノロジーの融合)企業が次々と新しい金融サービスを生み出しています。AIを活用したロボアドバイザーは、個人の投資をサポートし、専門知識がなくても最適なポートフォリオを提案してくれます。従来の金融機関も、これらの技術を積極的に取り入れ、利用者にとってより便利で使いやすいサービスの提供に注力しています。



4.2 暗号資産とブロックチェーン:新たな可能性と課題


以前は「仮想通貨」と呼ばれていた暗号資産(ビットコインなど)は、ブロックチェーンという分散型台帳技術を基盤としています。ブロックチェーンは、取引記録を分散して管理するため改ざんが非常に困難であり、暗号資産だけでなく、国際送金や契約管理など、様々な金融サービスへの応用が期待されています。

しかし、暗号資産は価格変動が非常に激しく、投資には高いリスクが伴います。また、法整備も発展途上であり、今後の動向を注視する必要があります。BtoB映像制作会社がクライアントから暗号資産での報酬受け取りを提案される可能性も将来的にはゼロではないかもしれません。そのリスクと法的側面を十分に理解しておく必要があります。



4.3 グリーンファイナンス:環境と経済の調和


環境問題への意識の高まりとともに、「グリーンファイナンス」という分野が注目されています。これは、再生可能エネルギー事業への融資や、環境改善に資するプロジェクトに特化した債券(グリーンボンド)の発行など、環境に配慮した事業や技術への投資・融資を指します。

日本の金融機関も、石炭火力発電への融資を段階的に減らしたり、ESG投資の残高を増やしたりと、環境への配慮を強化しています。BtoB映像制作会社が環境関連のプロジェクトを手掛ける際、金融機関が提供するグリーンファイナンスの活用も視野に入れることができるかもしれません。




5. 名古屋を中心とした愛知県の金融機関の現状と展望


愛知県は、製造業が集積する日本の経済を牽引する地域であり、金融業界においてもその特徴が色濃く反映されています。


5.1 名古屋・愛知県の金融業界の特徴


愛知県の金融業界は、全国でも有数の競争が激しい地域として知られています。名古屋市に本店を置く普通銀行としては名古屋銀行があるほか、2025年1月1日に合併し「あいち銀行」として営業を開始した(旧愛知銀行・旧中京銀行)が名古屋市に本店を置いています。これに加えて、多数の信用金庫や信用組合が地域に根差した営業を行っており、メガバンクの三菱UFJ銀行(旧東海銀行の流れを汲む)が強い地盤を持っています。

特に注目すべきは、製造業、特にトヨタ関連企業が多い三河エリアにおける信用金庫の存在感の大きさです。岡崎信用金庫、碧海信用金庫、豊橋信用金庫など、地域に密着した強固な顧客基盤を持っています。

こうした金融機関の多さから、愛知県では「名古屋金利」と称されるほどの熾烈な低金利競争が繰り広げられてきました。これは、資金需要が旺盛な企業が多い一方で、金融機関間の競争が激しく、結果として融資金利が低く抑えられてきた歴史を示しています。



5.2 現在の課題:再編圧力と収益性確保


愛知県の地域金融機関は、全国的な低金利環境に加え、地域内での厳しい競争に直面しています。貸出金利の低下や預貸金利差の縮小により、収益性の確保が大きな課題となっています。

このような状況の中で、2022年10月には愛知銀行と中京銀行が経営統合し「あいちフィナンシャルグループ」を設立しました。そして2025年1月1日には、両行が合併し「あいち銀行」として新たなスタートを切っています。この統合は、規模の拡大による経営効率化と収益力の強化を目指すものです。

この大規模な統合を皮切りに、愛知県の地方銀行や信用金庫の間では、さらなる再編の可能性が指摘されています。人口減少や事業承継問題の増加といった地域課題に、個々の金融機関だけで対応していくことの難しさが増しているためです。



5.3 今後の展望:地域特性を活かした戦略とデジタル化の推進


愛知県の金融業界は、今後も再編の動きが加速する可能性があります。一方で、地域の特性を活かした戦略がより重要になるでしょう。


  • 製造業との連携強化: トヨタ自動車をはじめとする強力な製造業集積を背景に、サプライチェーン全体を支援するような金融サービスの提供が期待されます。BtoB映像制作会社にとっても、製造業クライアントの資金調達ニーズに応える金融機関との連携は、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性があります。


  • 事業承継支援: 中小企業が多い愛知県では、経営者の高齢化に伴う事業承継問題が深刻化しています。金融機関は、M&Aのマッチングや事業承継コンサルティングなど、より専門的なサービスを通じて地域経済の活性化に貢献することが求められています。


  • デジタル化の推進: 競争激化に対応するため、デジタル技術への投資は不可欠です。オンラインでの手続きの簡素化、AIを活用した顧客対応、データ分析に基づく新たな金融商品の開発などが進められるでしょう。


  • 新しい収益源の開発: フィンテック企業との連携、ESG金融への積極的な取り組み、地域振興ファンドの設立・運用なども、金融機関が新たな収益の柱を築く上で重要な戦略となります。



名古屋・愛知県の金融業界は、競争の激しさゆえに、全国の地域金融機関の中でも効率化や革新への圧力が強く、先進的な取り組みが期待される地域と言えます。BtoB映像制作会社も、こうした金融業界の動きを理解することで、自社の事業戦略やクライアント企業への提案力を高めましょう。


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