映像編集の基礎知識(4)コンティニュイティ編集
- Tomizo Jinno

- 2024年9月7日
- 読了時間: 4分
更新日:10月23日
時間、場所が異なる、バラバラに撮影されたショットでありながら、ある事情について同一・類似であるショットを繋ぎ合わせることで、それらがひとつの意味をもつシーンになるつなぎ方をコンティニュイティ編集と呼びます。
時間も空間も異なるショット同士がつながるにも関わらず、ある同一の関連性要素によって、その連続性が統一性ある意味をもつシーンに変わるのだから、人間の脳って不思議です。
今回は「コンティニュイティ編集」についてですが、この記事で紹介するこうした用語って、ほとんどの映像編集マンは使わないと思います。
人は話すときに文法を用いますが、誰も「次は逆説つなぎでいこうか」なんて考えないのと同様、次のショットは⚪︎⚪︎つなぎで行こうなどとは考えていません。
ただ、いくつかのショットをとっかえひっかえ繋いで試す、その時間は文法を考えていると言えます。
撮りあがった映像の中で作品を仕上げるという仕事をしている私たちは、手元にある素材をどう繋げばシナリオを実現させ、より効果的にストーリーが進むのか、その最善策をいつも考えながら編集作業をしているだけです。
でも、たまには自分が普段何気にやっていることを理屈で整理してみるのも面白いことです。
(1)アイライン・マッチ
画面に映る人の目がある一定の方向(スクリーンの外)を見た後、その視線と同一の角度で捉えた物のショットに切り替わると、その物はその人が見ていることになります。

(2)マッチ・カット
視聴者が気づく画面の中の1要素(形状であったり、物であったり、人であったり、動きであったり、変化であったり、なんでもOK)が、次のショットに連続していることによって、視覚的にスムーズである(気持ちいい、リズムが出る)と同時に、時空を超えた意味の繋がりを表現できます。ある意味で、この項の(1)(3)(4)どれもがマッチ・カットとも言えます。

(3)アクションつなぎ
これは映像編集を覚えはじめると、まず誰もが最初に使ってみる技巧ではないでしょうか。一連の動作や工程を撮影したのだけれど、ひとつの角度から撮ったショットではコンプリートしない。けれど、別の角度から撮ったショットと合わせればコンプリートする・・・なんてときに、そのショットの中にあるアクションの瞬間に、ショットを切り替えたりします。あと、下のようなインパクトの瞬間を連続させるやつ、気持ちいいからついやってしまいます。

(4) コンスタント・ダイレクション
画面の中を移動する人や物を動きの方向性を一致させて繋ぐことを言います。単なる1シーンにもなりますが、サイズや被写体が違っていれば、さまざまな意味が生まれます。

【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは名古屋映像制作研究室を主宰し、映像制作のノウハウ集、カット割りとカメラワークと編集、映像制作用語辞典、多様なビジネスフィールドの知見と映像提案、といったBtoB映像制作のための知見を集積して、名古屋から日本のBtoB映像文化を育てる、新しい知的拠点を目指しています。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。(2025年10月現在)




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