企業のIR・BCP・ESG・危機管理を映像で伝えて企業価値を創造
- Tomizo Jinno

- 7月31日
- 読了時間: 24分
更新日:10月11日
はじめに
近年、日本の投資環境は劇的な変化を遂げています。特に新NISA制度の開始により、20代から30代の若年層を中心とした個人投資家が急速に増加し、日本の株式市場における重要なプレイヤーとなっています。
一方で、海外投資家の影響力も増大し続けています。特に注目すべきは、いわゆる「モノ言う投資家」(アクティビスト)の活動が活発化していることです。アクティビストと呼ばれる株主としての権利を積極的に行使する投資家が、さまざまな形で日本株式市場に参入し、日本企業に対して企業価値向上のため影響力を及ぼすことを意図する提案が増加しており、世界のアクティビスト(物言う株主)の提案・要求が2024年に過去最多を更新し、日本を含むアジア圏がここ数年で急増し、世界全体の2割強を占める状況となっています。
一般の人々も、ニュースを通じてこうした海外投資家が日本企業の経営陣に対して様々な要求を行う場面を頻繁に目にするようになりました。株主提案や経営陣との対話を通じて、資本効率の改善、コーポレートガバナンスの強化、事業ポートフォリオの見直し、株主還元の充実などを求める声が強まっており、これらの動きが連日のように報道されています。
このような環境変化を受けて、日本の経営者のIR(投資家向け広報)への取り組み方は劇的に変化しています。従来の受動的で形式的な情報開示から、対話強化と戦略的アプローチにより「日本株のone of them」から脱却を目指す積極的なアプローチへと転換が進んでいます。
個人投資家の拡大と海外投資家の影響力増大という環境変化により、日本企業の経営者は従来とは全く異なる次元でのIR活動を求められており、この変化は今後も継続・加速していくものと予想されます。
今回はIR活動に頻繁に登場するキーワードの相互関係を整理、再解釈して映像制作会社ができることを提案します。名古屋の映像制作会社 株式会社SynAppsのプロデューサーは、“IR・BCP・ESG・危機管理”に関するテーマでの制作実績を持っています。

1. 現代企業経営におけるIRの位置づけ
現代の企業経営において、IR(Investor Relations)は、企業価値の持続的拡大を実現するための戦略的コミュニケーション機能として進化しています。この変化の背景には、ステークホルダー資本主義の浸透、ESG投資の拡大、気候変動をはじめとする社会課題への対応要請の高まりがあります。
企業は今や、財務的な業績向上だけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から持続可能な経営を実践し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献することが求められています。同時に、不確実性の高い事業環境において、レジリエンス(回復力・適応力)を構築し、事業継続計画(BCP)や包括的な危機管理体制を整備することも重要課題となっています。
これらの概念は個別に存在するものではなく、相互に関連し合いながら、企業価値創造の基盤を形成しています。本稿では、これらのキーワードとIRとの関係性を体系的に整理し、図示可能な構造として理解できるよう説明します。
2. 企業価値創造の統合フレームワーク:中核としてのIR
2.1 IRの役割の変化と拡張
従来のIRは、決算情報の開示や投資家との対話を中心とした限定的な機能でした。しかし現在のIRは、企業の長期価値創造ストーリーを統合的に伝える戦略的機能として位置づけられています。
IRは単なる情報発信の窓口ではなく、企業の価値創造プロセス全体を統合し、ステークホルダーとの対話を通じて企業戦略の精度を高める機能を担っています。
2.2 価値創造の階層構造:事業価値を起点とした統合フレームワーク
企業の価値創造プロセスは、事業価値を起点とした以下の階層構造として理解できます。
コア事業価値(Core Business Value)
企業存在の根源となる収益創出機能です。顧客に価値を提供し、その対価として売上・利益を創出する事業活動がここに位置します。製品・サービスの開発、マーケティング、営業、オペレーション等を通じて、持続的な収益成長を実現します。これは企業の存在理由そのものであり、他のすべての活動はこの事業価値創出を前提として成立します。
基盤強化価値(Foundation Value)
コア事業価値を持続的に創出するための基盤となる価値です。レジリエンス、BCP、危機管理がここに含まれます。これらは事業継続性を確保し、外部環境の変化や危機に対して事業価値創出を守り抜く能力を表しています。
成長拡張価値(Extended Growth Value)
事業価値の創出範囲を拡張し、競争優位性を構築する価値です。ESGやサステナビリティの取り組みがここに位置します。これらは新たな事業機会の創出、ブランド価値の向上、規制リスクの回避等を通じて、コア事業価値創出を強化・拡張します。
社会共創価値(Social Co-creation Value)
事業価値創出を社会全体の持続可能な発展と統合する価値です。SDGsへの貢献がこの階層に該当します。収益性のある事業を通じて社会課題解決に寄与し、社会と企業の共通価値を創造することで、長期的な事業基盤の拡大を実現します。
2.3 IRキーワードの本質:統合的価値創造アプローチ
現代のIRにおいて重要な認識は、レジリエンス、ESG、SDGs等のキーワードが、企業の実質的な価値創造を通じて投資魅力を高めるということです。価値創造こそが投資誘引の本質であり、これらの取り組みは以下の価値創造メカニズムを通じて投資家の関心を集めています。
価値創造メカニズム
レジリエンス:事業継続能力向上と競争優位性構築による長期安定成長の実現
ESG:オペレーション効率化、新事業創出、リスク低減による収益向上と持続性確保
SDGs:社会課題解決を通じた新市場開拓と長期的顧客基盤構築
投資魅力としての発現
ESG投資資金へのアクセス向上:機関投資家の投資基準への適合
サステナビリティ・ファイナンスの活用:グリーンボンド、サステナビリティ・リンク・ローン等
リスクプロファイルの改善:長期的安定性による投資家の安心感醸成
バリュエーション向上:ESG評価を通じた企業評価の底上げ
この価値創造アプローチを理解することで、IRは単なる情報開示を超え、企業の本質的価値向上を資本市場に適切に伝達し、最適な資金調達を実現する戦略的機能として位置づけられます。
IRは、この階層の価値創造プロセスを統合的に投資家・ステークホルダーに伝達する役割を担いますが、より重要なのは、各階層の取り組みが如何に投資魅力を高め、資本コストの低減と成長資金の調達を実現するかを明確に示すことです。つまり、IRは価値創造の説明を通じて、企業の資金調達能力を最大化し、さらなる事業価値創出への投資を可能にする循環を創出する機能として進化しています。
3. コア事業価値:事業価値創出の根源的機能
企業存在の根源は、顧客に価値を提供し、その対価として収益を獲得する事業活動にあります。この事業価値創出機能なくして、企業は存在理由を失い、他のいかなる価値創造活動も意味を持ちません。
3.1 事業価値創出の構成要素
顧客価値創造
顧客のニーズを満たす製品・サービスの開発と提供
市場開拓
新規市場への参入と既存市場でのシェア拡大
競争優位性構築
差別化された価値提案による競合優位の確立
収益モデル最適化
持続可能で成長性のある収益構造の構築
オペレーション効率化
生産性向上とコスト最適化による利益率向上
3.2 事業価値と投資誘引の直接的関係
事業価値の創出は、投資家にとって最も直接的で理解しやすい投資判断材料となります。
収益成長性
売上高成長率、利益率改善による株価上昇期待
市場地位
市場シェア、競争優位性による長期的価値創造期待
事業効率性
ROE、ROIC等の資本効率性による投資魅力 キャッシュフロー創出力:配当原資、再投資資金の安定的創出能力
3.3 IRにおける事業価値説明の戦略的重要性
IRにおいて事業価値を説明する際の重要なポイント
成長戦略の具体性
どのような事業戦略により持続的な収益成長を実現するかの明確な説明 投資効率性の実証:事業投資のROIと長期的な価値創造への寄与の定量化
競争優位性の持続性
競合との差別化要因と優位性維持の仕組み
収益の予見可能性
安定的で予測可能な収益構造の説明
現代のIRにおいて、ESGやSDGsが注目される一方で、これらの取り組みも最終的には事業価値の創出・拡大に寄与することで投資家の支持を得ています。事業価値創出能力こそが、企業のすべての活動を正当化する根拠となるのです。
4. 基盤強化価値の構築:レジリエンス・BCP・危機管理
基盤強化価値は、コア事業価値創出を持続的に支える防御的・保全的機能として位置づけられます。レジリエンス、BCP、危機管理は、事業価値創出の継続性を確保し、投資家にとって企業の「安定性・信頼性」を示す重要な投資判断材料となります。
4.1 レジリエンス:事業価値創出の持続性確保
レジリエンスは、企業が予期せぬ変化や危機に対してコア事業価値創出を維持・回復・発展させる能力を指します。これは単なる危機対応能力を超え、変化を事業機会として捉え、より強靭な収益創出能力を構築する機能を含んでいます。
投資家にとってレジリエンスは、収益の安定性・予見可能性を保証する能力として評価され、特に長期投資家やESG投資家からの資金流入を促進する重要な要素となります。
組織的レジリエンス
変化に対する組織の適応能力、学習能力、イノベーション創出能力
財務的レジリエンス
資金調達能力、キャッシュフロー管理、財務健全性
運営的レジリエンス
サプライチェーンの多様化、オペレーションの柔軟性、デジタル化対応
戦略的レジリエンス
事業ポートフォリオの多角化、市場開拓能力、競争優位性の持続
IRの観点から見ると、レジリエンスは投資家にとって企業の持続可能性を判断する重要な指標となります。特に、ESG投資が拡大する中で、企業のレジリエンスは長期投資価値の源泉として認識されており、IRはこの能力を具体的な事例と定量的指標を用いて説明する責任があります。
4.2 BCPの戦略的意義と価値創造への貢献
事業継続計画(BCP)は、災害や危機発生時に企業が事業を継続または早期復旧するための計画ですが、現代では戦略的な価値創造ツールとしても位置づけられています。
BCPの価値創造への貢献は、以下の側面から理解できます
直接的価値創造
事業中断リスクの最小化により、安定的な収益確保と投資家の信頼維持を実現
間接的価値創造
BCP策定プロセスを通じた事業プロセスの見直しと効率化
競争優位価値創造
危機時における事業継続能力の差別化により、市場シェア拡大や顧客信頼度向上を実現
IRにおけるBCPの重要性は、投資家が企業の事業継続能力を評価する際の判断材料となることです。特に、COVID-19パンデミックのような広範囲にわたる危機の経験により、投資家はBCPの実効性をより重視するようになっています。IRはBCPの内容だけでなく、その実効性と継続的な改善取り組みを説明することが求められます。
4.3 危機管理(リスクマネジメント)の統合的アプローチ
現代の危機管理は、個別リスクへの対応を超え、企業価値に影響を与える多様なリスクを統合的に管理するアプローチが主流となっています。
統合的リスクマネジメントの構成要素
戦略リスク
市場環境変化、競合動向、技術革新等による事業戦略への影響
オペレーショナルリスク
事業運営上の問題、システム障害、人的エラー等
財務リスク
為替変動、金利変動、信用リスク、流動性リスク等
コンプライアンスリスク
法規制違反、ガバナンス問題、不正行為等
レピュテーションリスク
企業ブランド毀損、社会的信頼失墜等 ESG
リスク
環境問題、社会問題、ガバナンス問題に起因するリスク
IRの役割は、これらのリスクに対する企業の取り組みを透明性をもって開示し、リスクを機会に転換する企業の能力を投資家に理解してもらうことです。また、リスクマネジメントの実効性を示すKPI(重要業績評価指標)を設定し、継続的な改善状況を報告することも重要な機能です。
5. 成長拡張価値の実現:ESGとサステナビリティ
成長拡張価値は、コア事業価値創出の範囲を拡張し、新たな収益機会を創出する攻撃的・拡張的機能として位置づけられます。ESGとサステナビリティは、事業価値の創出領域を広げ、投資家にとって企業の「成長性・将来性」を示す重要な投資判断材料となります。
特に現代において、ESGは投資資金誘引の最も有効なツールの一つとなっており、実質的な事業価値向上と投資誘引効果の両面で機能しています。
5.1 ESGによる統合的価値創造
ESG(Environment, Social, Governance)は、企業の持続可能性を評価する三つの基準として広く認識されていますが、単なる評価指標を超え、企業の本質的価値創造の源泉として機能しています。
環境(Environment)への取り組みと価値創造
環境課題への対応は、コスト要因ではなく、イノベーションと競争優位性の源泉として認識されるようになっています。
省エネルギー・再生可能エネルギーの導入によるコスト削減
循環経済モデルの構築による新規事業機会の創出
環境配慮型製品・サービスの開発による市場拡大
環境規制の先取りによる競争優位性の確保
環境ブランディングによる顧客ロイヤリティ向上
社会(Social)への貢献と価値創造
社会課題の解決は、企業の持続的成長の基盤となる社会基盤の強化と、新たな市場機会の創出を実現します。
従業員エンゲージメント向上による生産性向上
ダイバーシティ推進によるイノベーション創出
地域社会との関係強化による事業環境の安定化
社会課題解決型ビジネスモデルの構築
ステークホルダーとの信頼関係構築
ガバナンス(Governance)の強化と価値創造
優れたガバナンスは、企業の意思決定の質を向上させ、ステークホルダーとの信頼関係を構築します。
透明性の高い意思決定プロセスによる戦略実行力向上
多様な視点を取り入れた取締役会による戦略の精度向上
リスク管理体制の強化による企業価値の安定化
ステークホルダーとの対話促進による戦略改善
長期的視点での意思決定による持続的成長の実現
5.2 サステナビリティ経営の統合的アプローチ
サステナビリティ経営は、ESGの考え方をより包括的に捉え、企業の事業活動そのものを持続可能な社会の実現に貢献するものとして位置づけるアプローチです。
価値創造プロセスの再設計
サステナビリティ経営では、従来の利益最大化を目的とした事業プロセスを、社会価値と経済価値を同時に創造するプロセスに再設計します。
原材料調達から製造、販売、廃棄まで、バリューチェーン全体での環境・社会影響を考慮
ステークホルダーとの協働による共通価値創造
長期的視点での投資判断と事業運営
サーキュラーエコノミーの原則に基づく事業モデルの構築
マテリアリティ(重要課題)の特定と戦略統合
企業は、自社の事業活動が社会に与える影響と、社会課題が自社の事業に与える影響を分析し、最も重要な課題(マテリアリティ)を特定します。この特定されたマテリアリティを事業戦略に統合し、KPIを設定して継続的に改善を図ります。
5.3 IRにおけるESG・サステナビリティの位置づけ
IRにおいて、ESGとサステナビリティは以下の役割を果たします
投資判断への影響
ESG投資の拡大により、投資家はESGパフォーマンスを投資判断の重要な要素として考慮するようになっています。IRは、ESGの取り組みが如何に企業価値向上に貢献するかを具体的に説明する必要があります。
リスク・機会の開示
気候変動リスクをはじめとするESGリスクと、サステナビリティに関連する事業機会を投資家に適切に開示し、企業の対応戦略を説明します。
長期価値創造ストーリーの構築
ESGとサステナビリティの取り組みを通じて、企業がどのように長期的な価値創造を実現するかのストーリーを構築し、投資家との対話を深めます。
6. 社会共創価値の実現:SDGsとの接続
6.1 SDGsの企業経営への統合
国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成される国際的な開発目標です。企業にとってSDGsは、単なる社会貢献活動の指針ではなく、新たなビジネス機会の源泉として認識されています。
SDGsビジネスの価値創造メカニズム
SDGsへの貢献は、以下のメカニズムを通じて企業価値を創造します
新規市場の開拓:社会課題の解決により、これまで存在しなかった市場を創造
イノベーションの促進:社会課題解決のための技術開発や事業モデル革新
パートナーシップの構築:政府、NGO、他企業との協働による事業機会拡大
ブランド価値の向上:社会貢献を通じた企業ブランドの差別化
人材獲得・定着:意義のある事業への参画による従業員エンゲージメント向上
規制リスクの低減:社会課題への先行対応による将来の規制リスク回避
6.2 SDGsウォッシングの回避と実質的貢献
SDGsへの取り組みが注目される一方で、表面的な取り組みに留まる「SDGsウォッシング」への批判も高まっています。企業には、実質的な貢献を実現し、その成果を適切に測定・報告することが求められています。
実質的貢献のための要件
本業との関連性:企業の中核事業を通じたSDGsへの貢献
長期コミットメント:短期的な取り組みではなく、長期的な戦略としての位置づけ
定量的目標の設定:具体的で測定可能な目標の設定と進捗管理
ステークホルダーとの協働:単独の取り組みではなく、多様なステークホルダーとの連携
負の影響への対処:正の貢献だけでなく、負の影響の最小化への取り組み
6.3 IRにおけるSDGs報告の重要性
IRにおけるSDGs報告は、以下の観点から重要性を増しています
投資家の関心の高まり
特にESG投資を行う機関投資家は、企業のSDGsへの貢献を投資判断の重要な要素として考慮しています。IRは、SDGsへの取り組みが如何に長期的な企業価値向上に貢献するかを説明する必要があります。
社会的インパクトの可視化
企業の事業活動が社会に与える正の影響を定量的に示し、企業の社会的存在意義を明確にします。これは、特に若い投資家や消費者からの支持獲得において重要です。
リスク管理の観点
SDGsが掲げる課題に対応しないことは、将来的な事業リスクとなる可能性があります。IRは、これらのリスクへの対応策としてのSDGsの取り組みを説明します。
7. 統合フレームワークの相互関係と動的メカニズム
7.1 各要素間の相互関係
これまで説明してきた各要素は、独立して存在するものではなく、相互に関連し合いながら企業価値創造に貢献しています。
レジリエンス ⇔ ESG の相互強化
レジリエンスの構築は、ESGの各要素を強化します
環境変化への適応能力向上(E)
多様性の推進による組織力強化(S)
ガバナンス体制の強化による意思決定力向上(G)
同時に、ESGの取り組みはレジリエンスを向上させます:
環境配慮による規制リスク低減
社会との良好な関係による事業環境安定化
優れたガバナンスによる危機対応力向上
BCP・危機管理 ⇔ サステナビリティ の循環
BCPと危機管理の強化は、サステナビリティ経営を支える基盤となります
事業継続能力の確保による長期的取り組みの実現
リスク管理能力の向上による社会課題対応力強化
サステナビリティの取り組みは、BCPと危機管理を向上させます
社会課題への先行対応による将来リスクの低減
ステークホルダーとの関係強化による危機時の支援確保
ESG・サステナビリティ ⇔ SDGs の統合
ESGとサステナビリティの取り組みは、SDGsへの貢献の基盤となります:
ESGの各要素がSDGsの複数目標に貢献
サステナビリティ経営がSDGsビジネスの創出
SDGsへの取り組みは、ESGとサステナビリティを向上させます:
国際的な目標への貢献によるESG評価向上
社会課題解決を通じたサステナビリティ経営の深化
7.2 IRを通じた統合コミュニケーション
IRは、これらの相互関係を統合的に投資家・ステークホルダーに伝達する役割を担います
統合報告書の活用
財務情報と非財務情報を統合した報告書により、企業価値創造プロセス全体を説明します。
ストーリーテリングの重要性
個別の取り組みを断片的に報告するのではなく、一貫したストーリーとして価値創造プロセスを説明します。
双方向コミュニケーション
投資家との対話を通じて、市場の期待と企業の取り組みのギャップを把握し、戦略改善に活用します。
7.3 動的メカニズムとしての価値創造サイクル
企業価値創造は、静的な構造ではなく、継続的に進化する動的なサイクルとして理解する必要があります。
Phase 1: 基盤構築 レジリエンス、BCP、危機管理による企業の持続可能性確保
Phase 2: 価値創造 ESG、サステナビリティを通じた競争優位性と社会価値の創造
Phase 3: 社会統合 SDGsへの貢献を通じた社会との価値共創
Phase 4: 進化・深化 ステークホルダーとの対話を通じた戦略の改善と取り組みの深化
IRは、この価値創造サイクル全体を投資家に伝達し、対話を通じてサイクルの質的向上を図る機能を果たします。
8. 実践的統合アプローチ:IR戦略の設計
8.1 統合的IR戦略の設計原則
効果的なIR戦略を設計するためには、以下の原則に基づく統合的アプローチが必要です。
一貫性の原則
レジリエンス、ESG、SDGsの各取り組みが、企業の長期ビジョンと整合し、一貫したメッセージとして発信される必要があります。
透明性の原則
取り組みの成果だけでなく、課題や失敗についても透明性をもって開示し、継続的な改善への取り組みを示します。
具体性の原則
抽象的な理念や目標だけでなく、具体的な取り組み内容、KPI、進捗状況を定量的に示します。
双方向性の原則
一方的な情報発信ではなく、投資家・ステークホルダーとの対話を通じて、相互理解を深め、戦略改善につなげます。
8.2 KPIフレームワークの構築
統合的な価値創造を測定・報告するためのKPIフレームワークの構築が重要です。
財務KPI
売上高成長率、営業利益率、ROE等の従来指標
ESG投資収益率、サステナビリティ関連売上比率等の新指標
非財務KPI
ESGスコア、従業員エンゲージメント、顧客満足度
CO2削減量、社会課題解決への貢献度
統合KPI
経済価値と社会価値を統合した指標
長期的な企業価値創造を示す指標
8.3 ステークホルダーエンゲージメント戦略
効果的なIRには、多様なステークホルダーとの戦略的エンゲージメントが必要です。
投資家セグメント別アプローチ
長期投資家:ESG・サステナビリティの長期価値創造効果を重点的に説明
ESG投資家:定量的なESGパフォーマンスと改善計画を詳細に報告
アクティビスト投資家:ガバナンス体制と株主価値向上への取り組みを強調
マルチステークホルダー対話
投資家だけでなく、顧客、従業員、地域社会、NGO等との対話を通じて、企業の社会的存在意義を確認し、戦略改善に活用します。
9. 今後の展望と課題
9.1 規制・制度環境の変化への対応
ESG情報開示の法制化、気候変動関連財務情報開示の義務化等、規制環境の変化に対応したIR戦略の継続的な見直しが必要です。
9.2 技術革新の活用
デジタル技術を活用したIRの効率化・高度化:
AIを活用した投資家ニーズ分析
ブロックチェーンを活用した情報開示の透明性向上
VR/ARを活用したイマーシブなIR体験の提供
9.3 グローバル標準化への対応
国際的なESG・サステナビリティ報告基準の統合に対応したIR戦略の構築が求められます。
10. 映像制作による価値創造フレームワーク支援の提案
10.1 映像コミュニケーションの戦略的重要性
現代のIR活動において、複雑な価値創造フレームワークを効果的に伝達するためには、従来の文書ベースの情報開示を超えた視覚的コミュニケーションが不可欠です。特に、レジリエンス、ESG、BCP、サステナビリティ、SDGsといった抽象的概念を具体的な投資価値として理解してもらうには、映像による表現が極めて有効です。
名古屋を拠点とする企業にとって、地域の映像制作会社との連携は、コスト効率性と地域性を活かした効果的なIRコミュニケーション戦略の構築を可能にします。
10.2 価値創造プロセス別映像制作アプローチ
コア事業価値の映像化
企業の根幹となる事業価値を映像で表現することで、投資家に対する理解促進を図ります:
製造現場の生産性向上の取り組みを定点観測映像で記録
顧客価値創造のプロセスをストーリー仕立てで表現
事業戦略の実行状況を経営陣のインタビューと現場映像で統合的に構成
基盤強化価値(レジリエンス・BCP・危機管理)の可視化
目に見えない企業の強靭性を映像によって具体化します:
災害時のBCP発動シミュレーション映像の制作
危機管理センターの24時間体制運営の密着記録
過去の危機対応事例の再現映像とその効果の検証
サプライチェーンの多様化戦略を地図とアニメーションで表現
成長拡張価値(ESG・サステナビリティ)のストーリーテリング
ESGの取り組みを単なる報告ではなく、価値創造のストーリーとして映像化します:
環境配慮型製品開発の舞台裏を研究開発から市場投入まで追跡
ダイバーシティ推進の実際の効果を従業員インタビューで構成
地域社会との共創プロジェクトの長期的影響を記録
社会共創価値(SDGs)のインパクト映像
SDGsへの貢献を社会的インパクトとして映像で表現します:
社会課題解決型事業の受益者への直接インタビュー
地域社会の変化を時系列で記録したドキュメンタリー
グローバルなSDGs貢献の現地レポート映像
10.3 名古屋地域における映像制作パートナーシップの構築
地域映像制作会社との戦略的提携
名古屋を拠点とする企業にとって、地域の映像制作会社との長期的パートナーシップは、以下のメリットを提供します:
コスト効率性:東京の大手制作会社と比較した制作費用の最適化
機動力:緊急時の迅速な対応と継続的なコンテンツ更新への対応
地域性の活用:中部圏の産業特性を理解した制作アプローチ
長期関係構築:企業の価値創造プロセスを深く理解したコンテンツ制作
統合的映像コンテンツ戦略の実装
年間を通じた戦略的な映像制作計画の策定:
四半期決算説明会用の業績ハイライト映像
年次統合報告書連動の価値創造ストーリー映像
ESG投資家向けの専門的コンテンツ
危機管理・BCP実効性証明のための記録映像
ステークホルダー対話促進のためのインタラクティブコンテンツ
10.4 映像制作による投資誘引効果の最大化
デジタルIRプラットフォームの構築
映像コンテンツを中心としたデジタルIRプラットフォームにより、投資家との継続的なエンゲージメントを実現:
オンデマンド配信による投資家の利便性向上
多言語対応による海外投資家へのリーチ拡大
アナリティクス機能による投資家関心度の定量的把握
インタラクティブ機能による双方向コミュニケーションの促進
ROI測定可能な映像IR戦略
映像制作投資の効果を定量的に測定する仕組みの構築:
投資家エンゲージメント率の向上度測定
ESG評価機関からの評価改善への貢献度分析
株価パフォーマンスとIR映像配信の相関分析
新規機関投資家との接触機会創出効果の測定
10.5 持続可能な映像IR戦略の構築
内製化支援とパートナーシップの最適化
名古屋地域の映像制作会社との連携により、企業の映像制作内製化を段階的に支援:
初期段階:専門制作会社による高品質コンテンツ制作
発展段階:企業担当者への制作ノウハウ移転
成熟段階:戦略企画は内製、制作実務は外部パートナー活用
継続的改善サイクルの構築
映像IRの効果を継続的に改善するPDCAサイクルの確立:
Plan:年間映像制作計画の策定
Do:地域制作会社との協働による制作実行
Check:投資家反応と事業成果の定量的評価
Action:評価結果に基づく戦略改善
11. まとめ:統合的価値創造フレームワークとしてのIR
名古屋を拠点とする企業にとって、地域の映像制作会社との戦略的パートナーシップは、複雑な価値創造フレームワークを効果的に可視化し、投資家との深いエンゲージメントを実現する重要な手段となります。映像による価値創造ストーリーの表現は、単なる情報開示を超えて、企業の長期的な投資魅力を高める戦略的手段として位置づけることができます。
企業は、この統合的フレームワークを活用し、映像制作による効果的なコミュニケーション戦略と組み合わせることで、財務価値と社会価値を同時に創造する経営を実践し、持続可能な成長と社会への貢献を両立させることが可能になります。
名古屋でIR関連の情報を映像化する時には、映像制作会社 株式会社SynAppsまでお問い合わせ、ご相談ください。
【弊社制作協力実績】
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【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、さまざまな業界の知見を収集・分析しながら、企業や団体が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、その産業分野ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。




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