PR映像の改訂と映像制作素材データの保存期間
- Tomizo Jinno
- 3月19日
- 読了時間: 4分
更新日:5月2日
作りっぱなしのコンテンツと改訂を重ねるコンテンツ
近年の商品PRや企業CMなど、Webマーケティングを目的としたコンテンツは、数週間から数ヶ月、長くても1年程度の短期間で役割を終えます。そのため、コンテンツが時間経過によって陳腐化する心配は基本的にありません。
しかし、一般的な会社案内ビデオや採用動画、あるいは博物館の展示映像や学校の教育プログラムといった非マーケティング分野の映像作品は、数年から5年程度使用されることが一般的です。これらの映像は、大幅な改訂の必要性は低いものの、社員数や売上高の変動、インタビュー対象者の退職、統計データの更新など、軽微な変更を加える動機は多岐にわたります。こうした改訂の可能性を事前に考慮しておくことが重要です。
改訂の可否:映像編集の重層性
現在の映像編集は、一般的にノンリニア編集という方式で行われており、アナログ時代と比較して改訂の自由度は格段に向上しています。しかし、撮影素材、CG、アニメーション、グラフィック、エフェクト、音楽、効果音、ナレーション、セリフなど、多岐にわたる素材を重層的に、複雑かつ緻密に組み合わせるため、完成した作品の一部分を改訂するには、編集の深い階層まで遡って修正を加える必要が生じることがあります。
場合によっては、技術的に改訂が不可能な箇所も存在し得ます。
改訂を考慮した制作
複雑な作業を伴うノンリニア編集では、制作期間の短縮や納期遵守、あるいは予算圧縮のために、本来であれば可逆的な手順を踏むべき作業を、不可逆的な手法で一気に仕上げることがあります。この場合、完成した映像の品質に差は見られませんが、該当箇所を再編集するには、同じ作業を繰り返すか、全体を編集し直す必要が生じます。将来的な改訂が見込まれる場合は、可能な限りシンプルな編集技術を用い、正規の手順に従って編集することで、改訂作業を容易にし、時間やコストを削減できます。
改訂の可能性について
シナリオの提案、修正、完成の過程において、陳腐化の可能性がある項目については、事前にお知らせください。また、改訂の時期や予算についても、事前に協議しておきたいと考えております。映像編集の過程では、常に素材やプロジェクトの保存に細心の注意を払っておりますが、改訂が見込まれる箇所については、将来的に誰が見ても同じ操作ができるよう、特に整理して保管いたします。
事前協議事項
改訂が見込まれる項目
改訂時期
予算

映像プロダクションのデータ保管期間
契約書に特段の定めがない限り、完成作品のデータが納品物となり、納品をもって契約は終了します。しかし、多くのプロダクションでは、原則として会社が存続する限り、撮影素材から編集プロジェクト、完成オリジナルデータまで、外付けHDDやクラウドサーバに保管しています。特に改訂の可能性があるプロジェクトについては、バックアップを作成しています。
アナログ(テープ)時代には、保管期間を5年や10年と定めていた場合もありましたが、HDDのコンパクト化により、長期保管が可能になりました。
映像技術の進化と陳腐化
アナログからデジタルへの移行期には、旧来の画質がビジネスに耐えられなくなり、再生機器も存在しないという事態が発生しました。この際、大量のフィルムやテープが廃棄されました。今後、新たな技術革新が起こった場合には、素材の保管・廃棄について、社会通念に従って対応させていただきます。お取引が継続している場合は、必ず事前にご相談いたします。
映像素材・編集マザーはプロダクションの財産
前述の通り、映像制作における撮影素材や編集マザーは、将来的に新たな作品を生み出す可能性を秘めた貴重な財産です。これらの素材を大切に保管することは、映像制作プロダクションにとって重要な責務です。弊社では、創業以来すべての素材を保管しております。
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